夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』

2021年02月08日 | 映画(な行)
『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』
総監督:大森貴弘
監督:伊藤秀樹
声の出演:神谷浩史,井上和彦,堀江一眞,黒田祟矢,岡村明美,
     チョー,松山鷹志,下崎紘史,金本寿子他
 
なんばで4本ハシゴの2本目。
なんばパークスで前述の『43年後のアイ・ラヴ・ユー』を観てから
TOHOシネマズなんば本館へ移動して。
 
あれれ、この『夏目友人帳』のタイトルには「劇場版」と付いていない。
ということはこれは劇場版ではないのですね?
コミックのうち、人気のある2つのエピソードをアニメ化したらしい。
原作の21巻に収録されている「石起こし」と、
24巻に収録されている「怪しき来訪者」をオムニバス形式で。
そしてこれはどうやら先月の限定上映だったようです。
 
ひとつめは「石起こし」。
ある日、夏目はちっこい妖怪ミツミと遭遇。
ミツミは今年の「石起こし」の役目を賜ったのだという。
石起こしとは、祠で眠る神格の妖怪・岩鉄(がんてつ)を起こす大役。
ミツミにとって岩鉄は命の恩人。
どうしても岩鉄の役に立ちたいと思っているのだが、
岩鉄が眠りから覚めて気前よく振る舞う褒美目当てに
ミツミの役目を奪おうとする妖怪がぞろぞろと現れて……。
 
ふたつめは「怪しき来訪者」。
夏目の友人・田沼のもとを連日訪ねてくる客がいるらしい。
田沼は夏目同様に妖力は高いものの、あやかしは見えない。
心配した夏目が様子を見に行ったところ、
その来訪者はやはりあやかしだった。
あやかしは田沼を傷つけるつもりはないと夏目に言い、
また田沼のほうもしばしあやかしとの交流を楽しみたいと言う。
しかし田沼が少しずつ体調を崩してしまい……。
 
コロナで新作の公開が次々と延期されているからなのか、
アニメの上映がやたら多く、こんな隙を突いた上映もあります。
ヒマつぶしにはもってこいだと思うし、
原作のコミックもアニメ版もきっととても楽しいでしょう。
どちらも知らない私には、まぁ、こんなもんかな。
 
害のないあやかしたちには会ってみたいものですね。

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『43年後のアイ・ラヴ・ユー』

2021年02月07日 | 映画(や行)
『43年後のアイ・ラヴ・ユー』(原題:Remember Me)
監督:マルティン・ロセテ
出演:ブルース・ダーン,カロリーヌ・シロル,シエンナ・ギロリー,ベロニカ・フォルケ,
   セレーナ・ケネディ,ベン・テンプル,ブライアン・コックス他
 
次年度に繰り越せない有休を消化するモードに入りました。
なんばで4本ハシゴの1本目は、なんばパークスシネマにて本作を。
本当に高確率で当たるんですよ、これ。
 
ご存じですか、ブルース・ダーン。御年84歳、ローラ・ダーンのお父ちゃん。
父親も別にイケメンじゃないし、娘も絶世の美女ではない。
でもこうして父娘そろっていつまでも年相応の役をできる人。
整形とかをして広角が上がりすぎると、年相応の役はできない気がします(笑)。
 
2年前に妻に先立たれたクロードだが、それなりに老後を楽しんでいる。
料理の腕前はプロ級だし、その他の家事も厭わない。
隣人シェーンとは気の知れた仲だから寂しくもない。
 
そんなクロードを唯一イラつかせるのは、ひとり娘セルマの夫デヴィッド。
昔からデヴィッドのことを頭のなか空っぽな奴だと思っていたが、
政治家のデヴィッドはこのたび公金で売春をし、巷で叩かれまくっている。
そのせいでセルマと孫娘タニアまでマスコミに追いかけられる始末。
 
ほとぼりが冷めるまでセルマとタニアが実家に身を寄せられるよう、
掃除を始めたところ、昔なつかしの写真が出てくる。
演劇評論家のクロードが若かりし頃に恋焦がれた相手リリィ。
 
リリィがアルツハイマー老人ホームに入所していると知ったクロードは、
シェーンに無理やり協力を頼み込み、自らもアルツハイマーのふりをして入所。
リリィに自分のことを思い出してもらおうと策を練る。
 
ところが、ドタバタに嫌気がさしたタニアが家出して、
祖父クロードの家に泊めてもらおうとやってくる。
留守宅の様子からクロードが老人ホームに入所したと知るタニア。
たまらずセルマに連絡したものだから、えらい騒ぎになって……。
 
年相応の役ができる人と最初に書きましたが、本作は70歳の設定なんですねぇ。
いやいや、それは無理でしょう。どう見ても80歳。(^^;
まぁ、おじいちゃんの役には違いないのだから、歳はどうでもいいとして。
 
リリィはかつての人気舞台女優。
夫のある身だったから、クロードとの恋は不倫。
各地を公演で回るときのみの逢瀬。
でもふたりとも本気の恋でした。
 
クロードの企みを知ったタニアは、それが祖父の初恋で、
祖母と出会う前の恋だったとわかると応援します。
祖父の血筋か、演劇を愛するタニアが凄く良い子。
途中からはクロードのことよりもむしろタニアのことを応援したくなる。
 
リリィには今も夫がいるから、
43年後に恋が実るというハッピーエンドにはなりません。
でも、こんなふうに好きだった相手と逢えたなら、
人生に後悔はないかもしれない。

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『チャンシルさんには福が多いね』

2021年02月06日 | 映画(た行)
『チャンシルさんには福が多いね』(英題:Lucky Chan-sil)
監督:キム・チョヒ
出演:カン・マルグム,ユン・ヨジョン,キム・ヨンミン,ユン・スンア,ペ・ユラム他
 
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの3本目。
 
キム・チョヒ監督は女性です。
ホン・サンス監督の作品10本でプロデューサーを務めた人らしい。
加瀬亮を起用した『自由が丘で』(2014)を撮った監督でもあるのですが、
私はサンス監督のことが苦手。というのか、好きになれません。
支持者の方には申し訳ないけれど、なんといえばいいのかなぁ、
「男性にとって女性はこうあってほしい」という妄想(笑)を感じます。
 
そんなサンス監督のプロデューサーを務めた人の作品って、ちょっと期待薄。
でも、どんな作品を撮るのかが気になって、この目で確かめに行きました。
ところどころ睡魔に襲われましたが、サンス監督より断然ええやん。
 
チャンシル(♀)は映画が好きで好きでたまらない映画プロデューサー。
映画に関わらない人生なんて考えたこともなかったが、
ある日、ずっと支えてきた映画監督が飲み会の席で急死する。
 
その途端、これまで目をかけてきてくれたはずの女社長は、
「プロデューサーなんて誰でもできる仕事でしょ」と言い出す。
仕事を失って金もない、独身だから家庭もないし、男もいない。
とりあえずは引越して、老女がひとりで暮らす丘の上の家に間借りする。
 
無職になったチャンシルは、妹分のような存在の女優に「働きたいのだ」とすがりつき、
彼女の家の家政婦として働きはじめるのだが……。
 
チャンシルさんは40歳。
女優の家にフランス語を教えに来ている年下の男性にひと目惚れします。
彼との映画の話が結構可笑しい。
チャンシルさんは小津安二郎を崇拝していて、小津こそ世界一の映画監督だと考えています。
それを恋する相手に話したのに、「小津は僕にはちょっと退屈だ」とかぬかしやがる。
じゃあ彼はどんな監督が好きなのかと思ったら、クリストファー・ノーラン
それを聞いたときのチャンシルさんの「ノーラン!?」には笑った。
 
また、チャンシルさんの目の前には幽霊が現れます。
幽霊がレスリー・チャンを名乗るのにもワラける。
レスリーにちっとも似ていないんだもの(笑)。
 
チャンシルさんが住む家の大家さんが泣かせます。
期せずしてこの日のハシゴ1本目と同じく、大家さんは読み書きができない。
いろいろと交渉や折衝は娘に任せてきたのに、その娘が早世してしまった。
請求書すら読めなくて困るから、市民センターで勉強を始めたと言うのです。
たまに大家さんの宿題を手伝うようになったチャンシルさん。
大家さんの詩を聴くシーンは一緒に泣きました。
 
そんなわけで、サンス監督の作品みたいだったらどうしようという懸念はどこかへ飛んで。
なんだか憎めない作品でした。

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『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』

2021年02月05日 | 映画(ま行)
『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』(原題:Mission Mangal)
監督:ジャガン・シャクティ
出演:アクシャイ・クマール,ヴィディヤ・バラン,タープシー・パンヌー,ソーナークシー・シンハー,
   シャルマン・ジョシ,ニティヤ・メネン,キールティ・クリハーリー他
 
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの2本目。
あんまり踊らないインド作品ですが、やっぱりボリウッドに外れなし。
 
さて、私は自分で政治経済に疎い(というのかアホ)と思っていたのですが、
政治経済のみならず、時事ネタ全般について物知らずだったようです。ガクッ。
火星探査機の打上げにアジアで初めて成功したのがインドだとは知りませんでした。
本作はその快挙に秘められた実話に基づく。
 
監督は『パッドマン 5億人の女性を救った男』(2018)で助監督を務めたジャガン・シャクティ。
主演も『パッドマン』のアクシャイ・クマール、
共演は『女神は二度微笑む』(2012)のヴィディヤ・バラン。
『ドリーム』(2016)がお好きだった人にはこちらもぜひお薦めしたい。
 
インド・カルナータカ州のベンガルールにあるISRO(インド宇宙機関)。
2010年、インドの宇宙事業の命運をかけた月へのロケット打上げが失敗に終わり、
プロジェクト責任者のラケーシュの立場が危うくなる。
暗にISROを退職するように求められるが、ラケーシュは辞めるつもりなどない。
 
見限られたラケーシュの後任は、NASAに在籍していたインド人ルパート。
ラケーシュは火星探査プロジェクトに異動させられるが、
このプロジェクトは絶対に成功しないと思われているのだから、事実上の左遷。
共に異動となったのは、ラケーシュのもともとの部下タラ。
火星探査プロジェクトの予算は非常に少ないうえに、
ルパートが新しくあてがってきたスタッフは経験の浅い二軍クラス以下の面子で……。
 
タラは非常に優秀な女性研究者ですが、最初のロケット打上げに失敗したのは彼女のミス。
しかしラケーシュは彼女のことをまったく責めず、お偉方の非難をひとりで浴びます。
そんなラケーシュと共に働き、なんとか夢を叶えようとするタラがとても良い。
彼女には夫も息子もいて、夫は妻の仕事に理解のない駄目な奴(笑)。
でも息子は母親の応援団でもあります。そして彼女は実に良き母。
 
火星まで行くには燃料が足りない。
なんとか節約する方法はないものかと考えていたとき、
プーリー(揚げパン)を作る途中でガスが切れたことにヒントを得るのが面白い。
研究者の頭の中ってどうなっているんでしょうね。賢いなぁ。
 
プロジェクトの面々は若い女性か、童貞男子か、年金暮らしを待つ老人。
やる気のなかった面々をどう奮い立たせるか。
そして奮い立った彼女ら彼らがどうやってこのプロジェクトを成功させるか。
ぜひご覧ください。
と薦めてはみたものの、今まだどこかで上映しているかしらん。

100から数えるのは縁起が悪いから101からカウントダウンとか、
目からウロコの発言もちらほらあります。そこも面白いのにな〜。
 
しかし揃いもそろってみんな美人♪

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『GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生』

2021年02月04日 | 映画(か行)
『GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生』(原題:Gogo)
監督:パスカル・プリッソン
 
外国人観光客が増えてから、駐車料金が急騰した梅田スカイビル周辺。
しかしコロナで人通りがめっきり減ったせいかおかげか、
今は駐車料金が最高値時期の半値ぐらいになっています。
1日中駐めても1,000円前後というのはありがたいこと。
そんなわけで車で梅田へ。最大料金900円の駐車場に空きあり。
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴ。
 
監督は『世界の果ての通学路』(2012)のパスカル・プリッソン。
今度はアフリカに暮らす94歳の現役小学生に密着。
 
ケニアの小さな村に暮らすプリシラ・ステナイさん。
みんなから“ゴゴ(=おばあちゃん)”と呼ばれ、愛され慕われている。
軍人の夫は早くに亡くなったが、3人の子どもがそれぞれ結婚し、
22人の孫と52人ものひ孫がいます。
 
彼女が生まれた村の人々は、女は学校になんて行かなくてよいと思っている。
少女だった頃、父親から牛の世話を手伝うように言われ、
それが当たり前だと彼女自身も思っていた。
でも、90歳を過ぎてから、就学していない女性たちを見て、
本当にこのままでよいのか、教育を受けるべきではと思うようになり、
自分がまずはお手本を示すつもりで小学校入学を希望します。
 
前代未聞のことだから、どの小学校もすんなりとは受け入れてくれない。
やっと彼女の思いに応えてくれた学校に、ひ孫のひとりと通い始めます。
 
村から離れて数カ月は寄宿舎暮らし。
ほかの小学生と同じ制服を着るゴゴのなんと愛らしいこと。
読み書きだけ学ぶのかと思ったら、数学も英語も習うし、
1週間の校外学習にも出かけて、野生のライオンとも遭遇。
90年以上生きてきて、村を出るのが初めてだという彼女の表情がまぶしい。
 
校外学習に出かける途中に立ち寄った村では、
少女の就学状況がゴゴの村と必ずしも同じではないと知ります。
彼女の村では妊娠すれば学校を辞めるのが当たり前。
でもほかの村では妊娠しても学校には通い続ける。
絶対に学校を辞めるべきではないと、ゴゴは自分の村の妊婦に説きます。
 
勉強することが如何に楽しくて大切かを皆に語ってきた彼女なのに、
ある日突然学校にはもう行かないと言い出します。
小学校の卒業試験に落ちたことにスネてかと思いきや、そうではなかった。
白内障を患った目では答案用紙も見えず、断念したのでした。
その事情を知った校長は都会の病院を手配。晴れて彼女の目はまた見えるように。
 
もっと多くの少女が安心して教育を受けられるよう、
ゴゴは少女たちのための寄宿舎の造成にも携わりました。
 
何事も、始めるのに遅すぎることはない。
おばあちゃんの思いが世界中に届きますように。

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