雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

不言の教え ・ ちょっぴり『老子』 ( 6 )

2015-06-19 15:05:07 | ちょっぴり『老子』
          ちょっぴり『老子』

               不言の教え

黙って付いて来い

「聖人處無為之事、行不言之教」
これは第二章の中にある言葉です。日本語にすれば、「聖人 無為の事に處(オ)り、不言の教えを行う」といった感じです。
この言葉の意味を、「黙って俺に付いて来い」などと同義語にしてしまうと『老子』先生に叱れるでしょうが、「沈黙は金」とか「巧言令色鮮し仁」などというのも、同様の教えだと思われます。
聖人というのは、『老子』の説く『道』を体得しているような人を指すと思うのですが、そのような人物は、小手先の知恵などを振り回すようなことはなく、無防備なほど自然体でいて、何を語ることなくして人々を導くということなのでしょうか。

功を誇ることもない

先の言葉に続いて『老子』は、「『道』というものは、天地の万物を生み出しながら一言も語ることはない。また、生み出したものを所有しようとはしない。大きな働きをしても、それから得られるものを頼みとしない。功績をあげても、それから得ることができる地位にいようとしない。そもそもそのようなことを考えてもいないから、むしろその功績はその身から去らないのである」
と、記しているのです。

わが国には、「実るほど頭が下がる稲穂かな」という教えもあります。
言葉の意味はよくわかりますが、さて、実行するとなると、そうそう簡単なことではありません。
ただ、わずかな功績を我が物顔に吹聴するのだけは、慎みたいものですねぇ。

                                        ( 第二章より )

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