三条東洞院の鬼殿 ・ 今昔物語 ( 27 - 1 )
今は昔、
この三条大路の北、東洞院大路の東の角は鬼殿(オニドノ・空き屋敷が、いわゆる幽霊屋敷のような状態になっていたのか?)という所である。そこに、霊(リョウ・精霊。ここでは悪霊を指している。)が住んでいた。
その霊は、昔、まだこの京に都移りもしていなかった頃、その三条東洞院の鬼殿のある所に、大きな松の木があったが、その辺りを一人の男が馬に乗り胡録(ヤナグイ・矢を入れて背負う武具)を負って通り過ぎようとしていたが、にわかに稲妻が走り雷鳴がとどろき、大雨が降り出したので、その男は先に進めず、馬から下りて、自ら馬を引いてその松の木の根元に座り込んでいると、そこに雷が落ちてきて、その男も馬も蹴り裂いて殺してしまった。そして、その男はそのまま霊になったのである。
その後、都移りがあって、その場所に家が建ち人が住むようになったが、その霊はそこから離れることなく、いまだに霊が住んでいると人々が伝えている。それにしても、実に長い間住み続けている霊である。
そのため、その所では度々凶事が起きている、
となむ語り伝へたるとや。
☆ ☆ ☆
今は昔、
この三条大路の北、東洞院大路の東の角は鬼殿(オニドノ・空き屋敷が、いわゆる幽霊屋敷のような状態になっていたのか?)という所である。そこに、霊(リョウ・精霊。ここでは悪霊を指している。)が住んでいた。
その霊は、昔、まだこの京に都移りもしていなかった頃、その三条東洞院の鬼殿のある所に、大きな松の木があったが、その辺りを一人の男が馬に乗り胡録(ヤナグイ・矢を入れて背負う武具)を負って通り過ぎようとしていたが、にわかに稲妻が走り雷鳴がとどろき、大雨が降り出したので、その男は先に進めず、馬から下りて、自ら馬を引いてその松の木の根元に座り込んでいると、そこに雷が落ちてきて、その男も馬も蹴り裂いて殺してしまった。そして、その男はそのまま霊になったのである。
その後、都移りがあって、その場所に家が建ち人が住むようになったが、その霊はそこから離れることなく、いまだに霊が住んでいると人々が伝えている。それにしても、実に長い間住み続けている霊である。
そのため、その所では度々凶事が起きている、
となむ語り伝へたるとや。
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