雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

法華八講と四十の賀 ・ 望月の宴 ( 90 )

2023-09-22 08:17:40 | 望月の宴 ③

      『 法華八講と四十の賀 ・ 望月の宴 ( 90 ) 』 


女院(一条天皇の生母詮子)は、石山詣でから帰京なさると、間もなく、法華八講をお始めになられた。すべてにおいて、これまでの御八講に勝る盛大さは推察していただきたい。
講師(コウジ・法会において高座に登り経を講説する僧。法華八講では八人が一座ずつ勤める。)たちは、現世の御事、後世の御事を立派に奉仕なさった。
万事ぬかりなく十分に準備なさった御儀式の有様は、口にすれば通り一遍のものになってしまうほど、恐ろしいほどのすばらしさであった。
殿(道長)もその様子をご覧になられて、あらゆる山々寺々の御祈りをおさせになった。

こうして十月になると、女院の御賀(四十の賀)が行われた。土御門殿(道長の本邸)で開催なさった。
行幸などもあり、まことに立派な御賀であった。御屏風の歌の数々は、この道の上手たちが詠進した。その数は多いが、同じ筋のものは書くのを省略する。
八月十五日の夜に、男と女が物語して妻戸のもとに座っている絵には、弁の輔尹(ベンノスケタダ・蔵人であった藤原輔尹のことか?)が、
 『 天の原 宿し近くは 見えねども すみ通はせる 秋の夜の月 』
 ( 大空の 近くにこの宿があるとは 見えないが 澄み渡った秋の夜の月のもと 仲睦まじく男が通ってきている )
また、神楽を演じている所の絵に、兼澄(カネズミ・蔵人の源兼澄)が、
 『 神山に とる榊葉の もと末に 群れゐて祈る 君がよろづ代 』
 ( 神前で 榊葉を取って 本方・末方が 群れ集まって 君の長寿を祈っている )
などがあった。

舞人は一族の君達(公達)である。
様々な儀式が次第に終り近くになって、殿(道長)の君達お二人が童舞をなさった。高松殿(道長の妻明子)がお生みになった巌君(イワギミ・後の頼宗)は納蘇利(ナソリ)をお舞になった。殿の上(道長の正妻倫子)がお生みになった田鶴君(タヅギミ・後の頼通)は陵王をお舞になった。

土御門殿の有様は、広々として風情がある。築山の木々はすべて紅葉し、中島の松にまつわっている蔦の色を見ると、紅や蘇芳(スオウ・黒みを帯びた紅色)色の濃いのや薄いのや、青色黄色など、様々な色の艶めいた布切れなどを作り出しているように見えて、まことにすばらしく、池の上には、同じ色そのままに紅葉や錦が映っていて、水が鮮やかに見事な景観を生み出している。
その、色々の錦の中から現れた船の上で演奏する音楽を聞くと、身が引き締まるほどにすばらしい。
すべて、口にするにも満足に表現できず、筆をとっても書き尽くすことも出来ない。
ありとあらゆる趣向を尽くされた立派な催しであられた。

中宮(道長の娘彰子)は西の対にいらっしゃって、女院は寝殿(寝殿造の正殿)にいらっしゃるので、帝(一条天皇)も同じ寝殿の東廂(ヒガシヒサシ)の南面を御座所になさっている。殿の上(倫子)は東の対にいらっしゃって、上達部(カンダチメ・上級貴族)などは渡殿(ワタドノ)に着座なさっている。諸大夫、殿上人などは幄(アゲバリ・庭に設けた周囲と上方を布で覆った仮小屋。)に着座している。女院の女房たちは寝殿の西南の渡殿に控えている。御簾の際などの出衣(イダシギヌ)がたいそう美しい。

すべての儀式などが終り、帝は還御になられる。
帝への御贈物、上達部への禄、殿上人への被け物(カズケモノ・目下の者に与える引き出物、褒美。)など、いずれも心が込められた物であった。
神無月の日脚は短く、いつしか暮れてしまったので、諸儀式がすべて終って、女院は三条院に次の日にお帰りになられた。
これまでの御賀などはどのようなものであったのだろうか。この度のはまことに立派なものであった。入道殿(女院の父兼家)の六十の賀を、女院がまだ后宮と申し上げていた時にお催しになられたが、とてもこれほどではなかったとお思いになられるのだった。
あの舞姿の君達の可愛らしさを、誰も誰も感激の涙のあふれるままに拝見する人が大勢いたのである。

     ☆   ☆   ☆

 

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オリックスは三連覇

2023-09-21 18:53:37 | 日々これ好日

      『 オリックスは三連覇 』

    プロ野球 パリーグは
    オリックスが 堂々の三連覇
    強力な投手陣を軸に 安定した戦いぶりだった
    クライマックスシリーズは まだ少し先だが
    オリックスもタイガースも 勝ち抜いて
    ぜひとも 日本シリーズは
    御堂筋決戦と いきましょう!!

                ☆☆☆ 

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大谷サーン さすがの決断

2023-09-20 18:24:57 | 日々これ好日

     『 大谷サーン さすがの決断 』

    大谷翔平選手が 右肘手術に成功と報告
    手術の詳しい内容は よく分らないが
    それにしても 決断するのが早く
    さすがだと思う
    あとは 回復を待つのみ
    来年は 打者に専念らしいが
    むしろ そうしたシーズンも見たい と思う
    順調な回復を お祈りします

                ☆☆☆
    

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ゼレンスキー大統領 国連総会出席

2023-09-19 18:57:40 | 日々これ好日

     『 ゼレンスキー大統領 国連総会出席 』

    ゼレンスキー・ウクライナ大統領が
    国連総会に出席のため 米国ニューヨーク市に
    到着したとのニュース 
    対ロシア戦での支援を求めて ゼレンスキー大統領の
    積極的な外交が目立つ
    ロシアのプーチン大統領は 海外渡航に制限があるようだが
    親しい関係国との外交努力は 実に積極的だ
    両国とも 積極的に 話し合いで交渉しているのに
    両国間では 話し合いという行動は 霧消しているようだ
    国連というのは 難しい問題を
    話し合いで解決する場だと 思うのだが
    全く期待できないのが 実に残念だ

                  ☆☆☆
    
     

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紅葉せぬ

2023-09-19 08:12:24 | 古今和歌集の歌人たち

    『 紅葉せぬ 』


 紅葉せぬ ときはの山は 吹く風の        
         音にや秋を 聞きわたるらむ

           作者  紀淑望

( 巻第五 秋風下  NO.251 )
    もみじせぬ ときはのやまは ふくかぜの
              おとにやあきを ききわたるらむ


* 歌意は、「 青々として紅葉しない ときわの山は 吹く風によって秋の訪れを 味わっているのだろう 」といったものでしょうか。
この和歌の前書き(詞書)には、「秋の歌合しける時によめる」とありますから、実感というより、やや技巧が感じられるような気がします。
「ときはの山」が実在かどうかは不明ですが、「常磐の山=常緑樹の山」として詠んだものでしょう。

* 作者 紀淑望(キノヨシモチ)は、平安時代前期の貴族、学者です。
紀氏は、祖先をたどれば武内宿禰まで遡る名族です。この時代においては、必ずしも一流の氏族ではなかったのでしょうが、古今和歌集の撰者である紀貫之・紀友則に見るように、学術分野を中心に中下級の貴族として、一定の勢力を保っていました。淑望もそうした一人と言えます。ただ、貫之や友則とは、五、六代前に枝分かれしていて、血統としてはかなり遠くなっていたようです。

* 淑望の父は、従三位中納言・紀長谷雄です。長谷雄も学術の世界で名を上げ、菅原道真や宇多天皇・醍醐天皇から評価され公卿の地位まで上っていますので、政務面の能力も高かったのでしょう。
淑望の生年は未詳です。
896 年に文章生となり、902 年に民部少丞に任ぜられています。この年は、父の長谷雄が参議に就いた年にあたりますので、父の影響があったのかも知れませんが、民部少丞と言う役職は従六位下程度ですから、それほど大きな恩恵とは思われません。
906 年に、従五位下刑部少輔に叙任、貴族の仲間入りを果たしています。
財政・司法といった文官を務め、後には大学頭の就き、保明親王(醍醐天皇第二皇子)の東宮学士も勤めています。
912 年に従五位上に昇りましたが、919 年に逝去しました。行年は不詳ですが、五十歳前後だったのでしょうか。

* 現在、私たちが紀淑望という人物と出会う一番の機会は、古今和歌集の「真名序」の作者だということではないでしょうか。
古今和歌集には、「真名序」と「仮名序」があります。作者は、漢文による真名序が紀淑望、仮名序が紀貫之ということで、ほぼ定説になっています。
ただ、研究者はともかく、趣味として古今和歌集を学ぶ程度の者にとっては、真名序はなじみが薄いようです。私も同様です。
そこで、解説書などの力を借りてですが、この二つはほぼ同じ内容でありながら、所々差異があるようです。また、古今和歌集にはいくつかの伝本がありますが、真名序が伝えられている物は少ないようです。内容も、仮名序に比べて真名序の方がやや稚拙とされているようです。その一方で、まず真名序が書かれて、それに従って仮名序が書かれたという意見の方が有力なようなので、どうも分りにくいのです。

* しかし、伝えられている淑望の経歴を見る限り、学者としての力が貫之に劣るとはとても思われません。ただ、真名序が淑望の作だとした場合、なぜ彼が執筆したのかという疑問が残ります。
まず、なぜ撰者でもない彼が選ばれたのか、ということです。淑望が学者として評価が高かったとしても、歌人として決して高名でもなく、古今和歌集には掲題の一首が採用されているだけなのです。また、古今和歌集の編纂において中心的な役割を果たしたと思われる貫之とは、同じ紀氏とはいえ、血脈的にはかなり遠い関係で、特に優先させるとは思われないのです。
ただ、選ばれる理由があるとすれば、漢学者としてよほどの評価を受けていたか、醍醐天皇辺りから強い意向が働いたとか、それくらいしか見当たらないのです。

* 作者の紀淑望が学者として一流であったことは確かなのでしょう。ただ、個人的には、真名序の作者というのには首を傾げてしまうのですが、これは、ほぼ定説になっていることです。
そこで、あえて推定すれば、彼の父の長谷雄は、あの「竹取物語」の作者候補の一人に挙げられていますので、もしかすると、淑望にも当時の人たちを惹き付ける文章力が知られていたのかも知れません。

     ☆   ☆   ☆


 

 

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大谷サーン 治療に専念を

2023-09-18 18:14:17 | 日々これ好日

      『 大谷サーン 治療に専念を 』

    大谷翔平選手の 今シーズンが終ってしまった
    成績からいえば ホームラン王は取れそうなので
    すばらしいと言えるが
    やはり 故障の状況が 心配される
    今シーズン ほんとうに多くの感動をいただき
    感謝 感謝なので
    せめて 今度は
    怪我の状態が 少しでも軽いように
    そして 治療がうまく行くようにと
    祈らせていただきます

                  ☆☆☆  

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圧倒的な自然

2023-09-17 18:37:43 | 日々これ好日

      『 圧倒的な自然 』

   世界遺産を紹介している テレビ番組で
   ガボン共和国の イヴァンド国立公園が紹介されていた
   ガボン共和国は アフリカ大陸中部の赤道直下の国だが
   紹介されている映像は ジャングルや滝やマルミミゾウが
   中心だが 映像からだけでも 自然の力に圧倒される
   地球にとって こうした熱帯地方の自然は大切だが
   政治不安がつきまとうのが 残念だ

                  ☆☆☆   
   

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目指せパリ バレーボール女子

2023-09-16 18:34:10 | 日々これ好日

    『 目指せパリ バレーボール女子 』

   バレーボール女子の 五輪予選が始まった
   今回の大会は 8チームの総当たり戦で
   上位2チームが 五輪出場権を得る
   負けても次のチャンスもあるが
   ぜひ この大会で決めて欲しい
   その為には 上位2位に入ることが必要で
   ランキングでいえば わが国は3位なので
   簡単ではないが 可能性も十分ある
   まずは 間もなく始まる ペルー戦が大事だ
   ガンバレ ガンバレ

               ☆☆☆  

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17年連続はすばらしい

2023-09-15 18:40:52 | 日々これ好日

     『 17年連続はすばらしい 』

   ユニークな科学研究などに贈られる イグ・ノーベル賞
   わが国から 今年も受賞者が出た
   明治大学の宮下芳明教授と
   東京大学大学院の中村裕美特任准教授が
   栄養学賞を 受賞した
   研究内容は 味覚に関するもので
   「電気を通す箸」という 斬新な物らしい
   これで わが国からの受賞者が
   17年連続だそうで 実にすばらしい

              ☆☆☆
 

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少々早すぎますが

2023-09-14 18:27:47 | 日々これ好日

      『 少々早すぎますが 』

     少々早すぎますが 今日にも
           タイガースの『 アレ 』が 実現しそう
     それにしても マジックが出てから
     早いこと 早いこと
     18年間の 鬱憤を晴らすかのように
     ここに来て 10連勝
     慌てることはないけれど 
     甲子園で 対巨人戦とは 舞台としては最高
     あっさり決めるとしますか オカダさん!!

                 ☆☆☆ 
     

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