マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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染野の傘堂祈願

2010年07月03日 08時27分37秒 | 葛城市へ
その昔、染野の傘堂へ参る人々がいた。

シモの世話にならんように祈っていた。

それを見かねた石光寺の先代住職が形式を調えられて現在に続いている。

受付をしている方は先代住職の弟さんのN氏と奥さん。

同寺の檀家さんだ。

子どもが幾つのときやったからかれこれ30年も経つと話される。

それ以前は傘堂の隣の家の座敷を借りていた。

雨が降ったり風が強いときはそうしていた。

その後はテントを張って受付をしている。

今日は雨が降らんやろうとテントはない。

幕を張り祭壇を設え終えたころには参拝者がやってきた。

いつもの通り、持参した晒し木綿布にお参りの傘堂のご朱印を押してもらう。

朱印は有料だ。

初回は離苦生安楽の”無病祈願”で2回目は”正念祈願”。

3回目に”晴朗祈願。



4回目で”神祇祈願”。

5年目となるお礼参りの”廣済衆厄難”で満願成就。

楽に往生できるようにと願いをかけてきた参拝者。

ときにはオコシ(腰巻き)を持参される参拝者もいる。



ハンカチでも構わない。

特にこれでないといけないということはない。

「自分のためだけでなく、人のために尽くして参るのです」と奥さんは話す。

県内はもとより和歌山、神戸、大阪、京都からもやってくる。

住職の法要が始まるころは十数人になっていた。

灯明に火を灯して「なむあみだぶー」とお念仏を唱える。

一人ずつ垂れ幕の中に入っていった。

時計回りにぐるりと回る。

まず真柱に向かって拝む。

そして身体を逆転して手を合わせる。



このとき真柱に身体を寄せ付ける。

特にシモ辺りを柱に寄せる。

これを柱面の四カ所にわたり手を合わせる。

本来は時計回りに3周し、反転して戻り1周するのだが、時間がかかるので短縮していると奥さんは話す。

一心不乱に祈る参拝者。

他人の視線が真剣な祈りを邪魔してはならないと幕を張られた。

お念仏が終わったあとも訪れる参拝者。

當麻寺の聖衆来迎練供養会式が始まるころまで受付をされている。

その間にやってきたハイカーたち。

何をしてはるのですかと問い合わせる人も多い。

これはお祭りでもなく行事でもない。

個人が願う安楽信仰なのだ。

問われても解説はしにくい。

(H22. 5.14 EOS40D撮影)