マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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慈眼寺十夜の柿供養

2010年12月14日 07時41分50秒 | 奈良市へ
北小路町の慈眼(じげん)寺本堂に集まったのはおよそ20人のご婦人たち。

同寺の檀家宗徒である。

毎年13日は柿を供えて十夜の法要が営まれる。

その柿は樹齢400年とされる古木から収穫された。

天候不順で実なりも良くなくて、お供えができるだろうかと心配されたほどでもなく、喜ばれる出来映えとなった。

「例年ならもっと熟した柿ができるのですよ」と仰る柿の品種は大学がDNA鑑定された結果、トヨカだったと話す住職。

400年前のことだといえば秀吉の時代で相当な古木で奈良市の指定文化財になっている。

当時は渋柿だったらしい。

その後、江戸時代初期のころに接ぎ木されて、その柿はとても美味しい甘柿になったそうだ。

お花を飾り、5品の御膳を供えた祭壇。

中央には香物(ワケギのぬた和え)。

メシ椀、レンコン、ニンジンの酢物に煮染めと汁椀だ。

左右脇には採れたての甘柿の盛りがある。

鉦が打たれ住職たちが入堂して法要が始まった。



そして大きな椀に盛られた甘柿が供えられた。

見事な大盛りだ。

般若心経など唱えられるお経の声は堂内に響きわたる。

外は往来が激しい車道。

子供たちの声も聞こえてくるが扉が閉められた本堂内は荘厳な空気に包まれている。



そして法要は焼香、ご先祖の塔婆回向へと移っていった。

「なむあみだぶー なむあみだぶー」と唱えられた十日十夜(じゅうにちじゅうや)の柿供養の法要。

「私たちは生かせている者が良いことをしましょう。良いことをしても相手は十人とりようによっては悪いようにとらえてしまう人も居る。それは誤解というもの。そして父母の恩があって生まれてきた人たち。愛情を注がれてそだってきた。命の恩は連綿と古代から続いてきた。これからも未来永劫まで・・だから命をいただく食事。ようは無駄にしないことだ。」と命の大切さを説かれた。

十夜は収穫された新米を仏さんに供える。

野菜はのっぺ汁にして、お米はアカゴハン。

祝い事の食事であるというが今日はお話だけ。

供えられた慈眼寺の甘柿のお下がりを手にした檀家たちは家路についた。

(H22.11.13 EOS40D撮影)