マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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国王神社大祭

2010年12月03日 08時10分14秒 | 十津川村へ
心配された台風14号が過ぎ去ったというのに雨が降ってきた。

国王神社に向けてお渡りが出発するころのことだ。

一週間前から実行委員長はやきもきされていた。

台風が直撃するようなら中止もやむなしと判断されていたが、台風のコースが南下と気象庁の情報に変化があったことから開催の決断をされたのだ。

昼間ではもつだろうと思っていたが降り出した。

丁度そのころは出発の神事の真っ最中。

竈の廻りを三周している間に雨つぶが大きくなった。

国王神社のいわれを説き、伊勢、春日、住吉の大明神、吉野蔵王、大峰などの権現に御(ご)幣(へい)を奉る表(ひょう)白(びゃく)の詞。

「そもそも当社は…」「河津に国王 大明神は…」と唱えれば、行列一行が「万(まん)歳(ざい)楽(らく)」と唱和する。

20名ほどの裃(かみしも)姿の警固役に宮司や神職も大きく唱和して大合唱。

1km先の神社まで長い列のお渡りだ。



上野地の山々は雨で煙っている。

車の往来も気にせず表白の詞は十津川村上野地にこだまする。

神社に着いても表白は謡い続ける。

舞殿の周りを出発と同じように三周する間も謡っている。

一文字笠を被っていても裃衣装はしっとりと濡れている。

心配なのは太鼓だ。

鼓の皮は水分が大敵。

御幣も扇も何もかもがしたたり落ちる雨天の祭典となった。

昨年も神事が始まったときから降り出した。

2年連続の雨となったが祭典は執行された。



黒袴の河役童子は背中に挿した扇子を取り出して、正面に向けて一歩前に差し出す。

詞は発しない。

次ぎに御幣を持った緑袴の津役童子。

御幣を差し出し、扇ぐような所作で上下に振る。

これらの所作は7回繰り返される。



国王神社に祭られた七社の御神霊に捧げる所作だという。

このあと河役童子は右回りして正面、右面、左面へ交互に扇子を3回ずつ振る。

その際、初回だけは「氏子中に御幣をあげましょう」と口上する。

これは河津の宮が元々、上、中、下地区の河津の祭礼であったことに所以しているもので御幣を9回振る。

青袴の宮役童子は立ったままの姿勢で所作はない。

一連の所作を終えて御幣は本殿に供えられた。



神事を終えて奉納餅つき踊りが始まった。

踊り子は女性、カラフルな千本杵を持つのは男性たち。

保存会の人たちだ。



女性は目立つ赤色の着物にたすきがけ。

前列はお櫃、後列の女性はモチを模したモノを持つ。

それは箕に入れてある。

その後列は扇を2枚持つ。

唄い手は伊勢音頭の囃子唄を歌い出した。

太鼓を打つ人は二人を先頭に出発した一行は境内で餅搗き踊りを踊る。

雨のために衣装は法被になったが踊りはリズミカルで見ていてとても楽しい。

その後も歌謡ショーや餅撒きなどがあったが家路を急いだ。

(H22.10.31 EOS40D撮影)