マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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東明寺薬師法会

2011年04月03日 07時35分30秒 | 大和郡山市へ
昨日の奈良はどことも大雪になった。

矢田山も真っ白になった。

残雪がたっぷりと山肌を白くする。

急な坂道を登るにはそれなりのタイヤでなければあがれない。

数台の車は止めざるを得なかった勧請縄の地

そこからはさらに急な山道で向かった先は鍋蔵山東明寺だ。

日本書紀の撰者で名高い舎人親王の開創といわれている。

前々日に買い出しを終えていたからいいものの、昨日は車を動かせる状態ではなかったそうだ。

今日は同寺で法要が営まれる。

集まってきた信者さんはおよそ50人。

昨年よりは多いかもしれない。

近在の人たちや大阪の和泉市、兵庫県に遠くは愛知県常滑からも。

いつも通り団体さんはマイクロバスで来た。

僧侶は七人。

導師は法類(親類)にあたる矢田寺南僧坊の住職だ。

和歌山橋本など若い僧侶たちが招かれて薬師法会を営まれる。

ご本尊の薬師如来坐像の前の祭壇に灯明を点して始まった。

薬師法会は公表されている東明寺の唯一の年中行事で、本堂外陣には信者たちで満席になった。

「お薬師さんは厳しい顔をしている。悪魔を追い払って心の病を助けみなさんを助ける顔だ」と仰る。



一時間ほどの法要は厳しい。

冷たい空間の堂内を静めていく。

ありがたいことだから足は崩せないと話す信者たち。

そのころにはミゾレが降り出した。



信者さんの靴が濡れてはならないとシートを被せるお手伝い。

傘もたくさん集めた。

急な対応措置に暖かさを感じる。

「本来は修二会の行法だった薬師法会。お水取りで有名な二月堂で行われる修二会とは様相が違うが悔過法要にあたる法会は徐々に復興していきたい」と信者に導師が語った。

法要を終えればありがたい笹酒の接待。

切り出した竹の猪口は笹の葉がついている。



僧侶たちは堂外で信者に酒を注ぐ。

手にした猪口を持って大広間へ。

そこでは同寺が手数をかけて作ったカヤクゴハンの弁当が並ぶ。



お席が狭くて申しわけないと話す。

弁当にはカス汁が付く。

サケはもちろんにダイコン、ニンジン、サトイモなど具だくさん。

これらの材料を買いだしされていたのが一昨日だった。

ありがたい接待料理に感謝していただいた。

それをよばれて帰るころにはミゾレが転じて雪が舞っていた。

東明寺地区の行事の日は判りやすかった。

ツナカケとオンダが1月11日、薬師法会は2月12日、イノリが3月13日と決まっていた。

末尾の日にちが月と同じだからとにかく覚えやすい。

地区の軒数は少ない。

平成22年には1軒が転居されたので9軒になった。

サラリーマンが多くなった関係で東明寺の薬師法会を除いて休日に移行された。

それから判りにくくなったという行事の他には愛宕さん、お伊勢さん代参もある(日待ちはなくなった)ので当番になればその年はとても忙しい。

この年はツナカケ・オンダが東明寺だった。

作るのも当番の家だ。

そのときに配られた松苗をお家に供えている。



村の約束事を決めるイノリの日もあたっている。

代参も含めて年中行事を支えているのがその当番家なのだ。

9軒しかない地区では当番の回りが早い。

(H23. 2.12 EOS40D撮影)