マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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田中町光明寺花祭り

2011年05月19日 06時42分47秒 | 奈良市へ
仏教を開いたお釈迦さんの生誕を祝う行事は、灌仏会(かんぶつえ)とか仏生会(ぶっしょうえ)と呼ばれる仏教行事で、各地の寺院では4月8日に営まれている。

民間信仰の高まりで、明治のころから花まつりと呼称されるようになった。

その日はウヅキヨウカ(卯月8日)とかオツキヨウカとも呼ばれる日でお釈迦さまの誕生日。

お寺に行って甘茶を誕生仏にかけてそれを飲む風習だ。

その釈迦像は、一方の手で天、もう一方で地を指すお姿。

お釈迦さんが誕生したときに、七歩歩いて右手で天を指し、左手で地をさして「天上天下唯我独尊」と言った姿だという。

生きとし生けるものはみな尊い命をもっているという意だそうだ。

広大寺池の西に位置する奈良市田中町の光明寺でもその花祭りが行われている。

元禄十四年(1701)四月十四日の大火でそれまでの記録などほとんどを失ってしまった田中村。

尼寺円照寺の尼宮さんの慈悲で庵室古材を提供、再建に尽くされたとされる光明寺。

それから300年という永い年月に風雪で傷んでしまったお寺は平成13年に建て替えられた。

同寺には正徳三年(1713)三月十五日に和州添上之郡田中村の施主念仏講中が寄進したと刻印がある双盤鉦がある。

同地付近には六斎念仏講が多くあった。

田中村にもそれがあったという物証であるがそれ語るものは他にないが葬儀のときに呼び出し鉦として今でも使われている。

正徳三年と言えば八王子神社の座入名簿が記されている時期と同じだ。

頭家行事は遅滞なく連綿と行われてきた。

大火から復興した村中はそのころには盛大になってきたのであろう。

昼過ぎ、お堂に集まってきたのは尼講と呼ばれているご婦人たちと檀家総代。

今市の僧侶が花御堂の祭壇前に座られて念仏を唱えられた。

花御堂の屋根には近くで採ってきたレンゲの花で飾られている。

その中にはお釈迦さんの誕生仏。

アマチャヅルで煎じられた甘茶の湯に浸かっている。

この日はつきもののヨモギダンゴも供えられた。

木魚を叩いて三巻の般若心経を唱える間はお焼香。



手を合わせて拝んだあとはその甘茶を仏さんにかける。

産ぶ湯に見立てた甘茶の湯だ。

一人一人は祭壇前に進み出てお参りをしていく。

(H23. 4. 8 EOS40D撮影)