マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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切幡神明神社桃の節句

2011年05月09日 07時46分27秒 | 山添村へ
3月3日は桃の節句。

雛祭りをする家庭は多い。

昨今は家庭で飾られた雛飾りを集めてそれを展示する会場が各地でみられる。

それを取り上げるニュースも度々映し出される。

大和郡山市番条町に住んでいた婦人が家の行事を書き記したものに3月3日は雛祭りをしていたとある。

娘の初節句には実家から雛人形を送ってもらった。

嫁ぎ先からは次は男の子が生まれるようにと大きな菱餅を作って祝ってもらったとある。

その菱餅は実家にも送られた。

菱餅は一升五合の餅米を一臼として緑と紅に色付け。

それにシロモチの三種類。

菱餅を作る型はコウジブタ(麹蓋)を再利用したそうだ。

その蓋のなかに菱型の枠を作って搗きたてのモチをそれに入れて作ったとある。

大きな家はそうであったようだ。

桃の節句につきものだった雛飾りとヒシモチ。

近年ではそのようにされてきた家庭の祝いは見ることがなくなった。

そのような風習に近い行事が山添村切幡で行われている。

1カ月遅れの桃の節句といって風呂敷に包んだヒシモチを持って神明神社に参って供える。

そのヒシモチはヨモギを混ぜたモチだ。

近くになければ遠くまで行って採ってきたヨモギの葉。

それを蒸して一握りのヨモギをモチゴメと一緒に入れて搗く。
搗くといっても現代はモチ搗きの機械で一臼作る。

それを平らに延ばして包丁で切る。

分度器で計るわけでもないから菱型の角度は家によってまちまちになるという。

ヨモギの量も違うからそれぞれに味わいがある。

シロモチは別途に一臼作る。

そのシロモチはヒシモチの上に載せてさらに桃の花を枝ごと添える。

それは紙包に入れて神社に供えた。

実際のヒシモチは2段になっていると村の神主はいう。

一段は神社会所の神道黒住教の祭壇に供える。

二つの種類を供えるのはその信者であるという。

お供えを終えるといつもの通りお神酒やオコワのアズキメシを神主から受けていただく。

そして、おまし(供え)た節句の御供を交換するかのようにたばって帰る。



それは他所で見られる節分の豆交換と同じやり方である。

会所で手渡す御供は神主がころ合いを見計らって移動している。

桃の節句は神社の行事であるが始まりも終わりも式典はみられない。

参拝にくる人たちは前もって連絡された時間にくるから途切れ途切れ。

その後に始まる村の敬老会に場を譲る。

(H23. 4. 3 EOS40D撮影)