マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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切幡社日のミトマツリの聞き取り

2013年08月05日 07時46分01秒 | 山添村へ
正月7日に行われた山添村切幡のオコナイ。

極楽寺で行われる仏事行事の正月修正会。

オコナイの世話役は神明神社の宮守神主の二人である。

村の行事は二人の村神主が勤める。

かつてはランジョーの作法(村ではダンジョーと呼ぶ)もあったようだ。

切幡は上出と下出の2垣内。

それぞれの垣内の宮守神主が勤めるオコナイはお札がある。

上出は「極楽寺 牛玉宝印」の書で、下出は「常住院 牛の玉」の文字だ。

それぞれには朱の宝印を押している。

常住院は村に存在しない。

かつてあった証しが「宝印」の書なのである。

オコナイを終えればたばって家に持ち帰る。

そのお札は苗代に挿す。JAから苗を購入するようになってからは苗代を見ることはない。

そのような状況になった切幡では畑に挿す家もあるが、今尚苗代作りを終えてお札を挿す家もある。

今年もそうしているだろうと思って訪れたT家の苗代。

当家では社日のミトマツリと云って、今年は先月の23日に挿したと話す。

当日は立ちよったがなかった。

聞けば昼頃になったと云う。

オコナイの宝印はウルシ木に挟んでいる。

その場には梅の木とツバキも挿した。

前年に聞いた話では手作りの杉苗も挿すと云っていたが見当たらない。

かつては4月3日の桃の節句に松苗を供えていた神明神社の春の祭り。

オンダ祭が廃止されて松苗を見ることがなくなった。

仕方なく自家製の松苗をこしらえて祭るというミトマツリの在り方。

昔はアオマメや煎ったハゼゴメを一升枡に入れて供えたと云う。

桃の節句でたばった杉の木も立てたそうだ。

社日は毎年変動する。

苗代時期に相応しくない場合もある。

この年の苗代のモミオトシは4月5日にされた。

「卯」のつく日はモチを搗いてはならぬ。

タネマキもしないと話す当家では祝いに重箱のご馳走があったと云う。

コーヤドーフ、カマボコ、シイタケなどの煮もの。

タマゴもあるが主な料理はタケノコだったそうだ。

田植え初めはウエゾメ。

そのときにもナリバナのモチを煎って食べたという。

ナリバナは正月のナリバナをしていた。

今から30年も前のことだ。

予めに探しておいたツツジの木。

細い枝は先を3本ほど折る。

正月の搗きたてのモチは柔らかいうちにツツジの木に付ける。

それを床の間の神さんに供えていたそうだ。

(H25. 4.21 EOS40D撮影)