マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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南六条町南方の苗代作り

2013年08月24日 08時41分16秒 | 天理市へ
GWともなれば奈良県内の平坦盆地部では一斉に苗代作りが始まる。

天理市南六条町の南方においても農家を営む人たちがせわしく作業をしている。

南方の苗代田は杵築神社の北側。

何軒かの農家がそれぞれの苗代田をもつ。

午前中にされる家もあれば、午後いちばん。

或いは15時頃。

特に決まっている時間でもなく、手伝いさんが支援できる日程、時間となるために農家の事情によりけりだ。

この日は15時頃に訪れた。

5年前に取材したときは4日の朝だった。

苗代作りを終えた朝8時前。

杵築神社から授かった牛玉宝印のお札と共に花を添えて立てる。

お札を結ぶ箇所は二股になっているヤナギの木。

それが決まりだといっていたDさん。旧頭屋の一人である。

既に苗代作りを済ませた農家は5軒。

それぞれにお花とヤナギの木に挿したお札が見られる。

そのほとんどがイロバナを巻きつけたような形式である。

お札もなぜか苗代の水に沈んでいるようだ。

その付近で苗代作りに励んでいた農家はM家とT家の2軒。

いずれも手伝いさんの支援を煽いでの作業である。

モミオトシをした苗箱を軽トラに乗せて運んできた。

それまでに済ませておいた苗床作り。

一つ一つを運んで苗床に並べていく。

手伝いさんは家族や友人。

お店を営むT家では店のアルバイトの人まで応援を求めた。

穴空きシートを被せて苗代田の泥を手で掬ってダンゴ状にする。

それをシートの両端に間隔を空けて置いていく。

M家ではこれからイロバナを買いにいくといって走り去っていった。

T家は泥だけでなく、棒を両脇や上から押さえるように置いていく。

風でシートが飛ばされないようにしているという。

昨年は東の池にいた鵜がたくさん飛んできた。

苗が育って芽が出たころだ。

蒔いたモミダネを食べてしまった野の鳥の鵜。

これでは実りが少なくなるといって30枚ほどの苗箱を買い足したそうだ。

カラスが何十匹も死んだというニュースを聞いて思わず拍手したそうだ。

一旦は家に戻ってイロバナと神棚に奉っていたお札を持ってきたご主人。

苗代傍、泥で塗り固めた畦に挿す。

ヤナギの木に括っているお札は雨風に耐えるようにとビニール袋に入れている。

お札は正月初めに行われた旧頭屋のオンダ祭。

行事を終えて南方の各家に配られる。

神社の東側にある田んぼは旧ドーヤ(頭屋)の田。

その行事にはフリアゲがある。

お伊勢さんに参って授かったお札で当番の人を決める神事には区長や農家組合が立ち会って見届けるそうだ。

苗代にお札を挿したTさん。



豊作を願うのは「心のヤスミ」だと云う。

水口のマツリをしているが、鵜には利き目が通じないと話していた。

M家、T家とも苗箱は160枚。

家族や一族が食べられるだけの米を作っていると話す。

(H25. 5. 3 EOS40D撮影)