マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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お腹の虫やしない

2014年08月18日 07時26分31秒 | 民俗あれこれ
この日に訪れたのは山田の庚申講である。

これまでにも川辺垣内や奥垣内の住民にも聞いていた庚申講。

初庚申がこの日であることを願って来たのであるが、二日前の日曜日に行われていたことを知る。

始めに聞いたのは東茶ノ前垣内の住民。

昨年に訪れたご主人がおられた。

カンピョウ干しをされていたご主人だ。

話しによれば、村の初集会で実施日が決まったらしく、本来ならその年に初めて迎えるかのえさる(庚申)の日にされるのだが、集まりやすい日曜日になったと云う。

垣内の講中の都合の良い時間帯であって、今年は12時。

最寄りの庚申塚に集まって般若心経一巻を唱えたそうだ。

それを終えてトーヤ家でヨバレとなる。

今年は冬期オリンピック。

オリンピックの年には庚申さんの「モウシアゲ」もするという。

その日も村の初集会で決まった日。

今年は4月6日の日曜日。

これまでも実施日は4月の始めの日曜日。

「モウシアゲ」の場合はモチを供えて般若心経を三巻唱えることになると云う。

ご主人話した奥垣内の講中。

集落中央辺りにある庚申さんが場。

そこには橿原市の八木町にある愛宕神社を祀った社もあるらしい。

奥垣内と云えばF家がある。

行事取材でお世話になったF氏が住む家は母家にあたるそうだ。

以前に聞いていた川辺垣内もしていたようだと話す。

時間帯はそれぞれであった。

足を伸ばして宮講右座のお家も尋ねてみた。

ご主人曰く、おじいさんが生前に始めたと云う庚申講。

小高い丘のコバカに社で覆った庚申塚があった。

畑を作らねばというわけで場を移した。

そのうち、庚申塚もどこかへ行ってしまって行方不明。

そうした状況であったが、庚申塚を調べていた男性が訪れた。

その人は測量をして地図を作製していたらしい。

一組(東垣内であろう)は2カ月おきに講中が集まってお勤めをしているが、西茶ノ前垣内では年に一度の寄り合い。

ごっつおを作って食べていた。

講中の各家を回って茶碗、おひら、膳をもらってくる。

ヤドの家で料理を作って椀に盛りつけしていた。

講中は5軒ぐらい。

今年は欠席が多くて3人の寄り合いになった。

他の垣内と同様に2月の第一日曜にしたと云う。

ここでは旧暦の閏年には「モウシアゲ」をしているそうだ。

ハンノキを採ってきて願文を書く。

願文の内容は決まっていて見本を見ながら書くそうだ。

ハンノキはここら辺りには生えていない。

わざわざ都祁の吐山まで出かける。

そこにはずらりとハンノキがあるらしい。

それも面倒になってここら辺りにある木で代用している。

ハンノキには葉を落とす。

片方が二股になっている木を選ぶ。

「モウシアゲ」を終えたヤドはハンノキをツシに納めていたが、改築の際に捨てたそうだ。

そんな話を提供してくださった場に婦人が「おなかのムシやしない」と云って差し出されたピーナッツクリームを挟んだパン。

「えっ、今なんて言ったの」。

「ムシやしない」よ。

「なんでんねん、それ」と返した言葉は「お腹のたしに」という桜井市山田の住民。

ここらだけの言い方なのか判らないと話す。

「ムシやしない」。ラジオで伝えていた奇しくも今日は奄美大島の方言の日らしく。

奈良大和で初めて聞いた方言のひとつと思われる「ムシやしない」を解説するに、「空いた腹の虫をたしに養う」ということだそうで。

それにしても手作りパンが美味しかった。

(H26. 2.18 SB932SH撮影)