マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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和田祈年祭の出合い

2014年08月10日 08時06分53秒 | 楽しみにしておこうっと
桜井市の三谷の神縄掛祭取材を終えて立ち寄った同村和田。

鎮座する高龗(オカミ)神社では村行事の祈年祭を終えたばかりだった。

平成24年に大改正された行事である。

その年以前までは、オコナイの行事があった。

稲穂や(ネコ)カワヤナギを作ってゴーサンの朱印を額に押していたトーヤ(頭屋)座があった。

大字和田の12戸の営みであった。

頭屋家がふるまう馳走もあったが、座を廃止することに決められたのである。

宮司を勤めておられたのは小夫の桑山宮司。

度々の行事取材でお世話になっている。

この日の和田の行事には間に合わなかったがご挨拶をさせていただいた。

祈年祭では幕を張っていた。

祭典を終えた村の人たちは神社下に建つ新福寺会所で直会を始められる。

「あんたも上がって」と区長らから云われてありがたく同席させていただいた。

供えたモチをストーブで焼く。

こんがりしたモチは美味しい。

和田を訪れた目的がある。

旧暦閏年に行われるうる庚申である。

平成25年2月にマツリの件の聞取り調査をした。

お話ししてくださったのは下垣内のN夫妻だ。

トーヤ(頭屋)座を廃止され神社祭祀に移ったと云っていた。

そのときに聞いていたのが祈年祭である。

夫妻に教えてもらったうる庚申の場を探してみた。

和田村講中が寄進した青面金剛石仏前に祭った竹製のハナタテとゴクダイが残っていた。

そこで行われるうる庚申について尋ねたかったのだ。

この日に集まっていた氏子たちにその件を尋ねた。

平成26年は旧暦閏年。和田ではどうやら大の月に行うそうだ。

日程はまだ決まっていない。

和田では庚申トアゲと呼んでいるうる庚申。

9月か10月辺りになるそうだ。

講中は上・下垣内であるが、上は解散したこともあり、直前ぐらいに日程が決まる。

決まれば区長から連絡すると伝えられた。

ありがたいことである。

直会の座におられた桑山宮司は小夫や和田の他にも兼務社を勤めている。

話しを伺えば白河(しらが)も吉隠(よなばり)もそうである。

この日に訪れていた白河の秉田(ひきた)神社。

「ケイチン」行事で行われた弓・矢の映像を見てもらった。

「ケイチン」行事は旧家の特定家の営みであるゆえ、宮司は出仕されない。

初めて知ったと云う。

この月の23日には秉田神社の祈年祭に出仕される。

村の人たちとお会いされるので聞いておきたいと話していた。

この日の出合いはありがたい繋がりになったのである。

桑山宮司が出仕される吉隠の行事も教えてくださった。

吉隠には山頂に鎮座する春日神社と集落中央辺りに天満神社がある。

かつて山頂にあった5軒集落。

正月初めに春日神社に登って弓打ちをしていると云う。

かつては旧暦の1月8日であったが、今では成人の日の前日の日曜日だ。

当日は祈年祭。

弓打ちのケイチンやオンダ祭もあると云う。

オンダ祭は籾撒きをして松苗を植える所作がある。

それを終えて座ヨバレ。

区長も参集されるので7人の集まりであると云う。

(H26. 2.11 記)