マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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藤井町の子供の涅槃

2014年09月12日 08時34分08秒 | 天理市へ
3年経ってようやく実見できた天理市藤井町の子供の涅槃。

朝8時に子供が集落を巡ってお米集め、昼に涅槃図を掲げた東福寺でお参りして三角アゲ等の料理を食べる、夕方5時には夜食を食べると聞いていた。

第二日曜辺りのようだと話していた。

朝8時までに到着できるよう出かけたが、誰一人も公民館には集まっていなかった。

この日でなかったのかと思って、前区長のK家を訪ねた。

「よう来た、今日やで」の返事にほっとしたが、昨年に簡略化したと云う。

つい先日に六人衆入りされたK家では「イリク」の摂待をしていたそうだ。

ご馳走を作ってもてなした。その際には「よろしくお願いします」と口上を述べたと話す。

今年のマツリには新装した提灯を持っていくと云う。

手伝いさんから声があがって手間がかかるお米集め、夜食は中止した子供の涅槃。

村集会で決定したのである。

平成24年にはお米集めも夜食もしていたが、やむを得ないことである。

藤井の集落は全戸で21戸。

上・北・南垣内それぞれが7戸で、小学生以下の子供が居るのは北と南垣内。

合計9人が集まる子供の涅槃だ。

ヤクを勤めるのは上・北・南垣内から1軒ずつ。

かつてヤク家でこしらえていた料理はカマスゴ、イカを入れたワケギのヌタ和え、ちらし寿司だったとK家婦人は話す。

いつの頃か判らないが、子供が好きそうな料理に転換したのである。

この年のメニューはエビフライ、ソーセージ、ハンバーグ、シューマイ、ポテトサラダ、三角アゲにシロメシオニギリ。

献立はヤクが決めるが、三角アゲだけは今でも続けていると云う。

公民館の炊事場で献立料理ができるまでは遊びにふける子供たち。

先日降った雪が残っていた。

「おじさん、サッカーしよう」と云われたが、身体がついていかないからとやんわり断った。

12時になれば料理もできあがって、涅槃のお軸を掲げた東福寺にあがる子供たち。



お供えは昼食の料理にリンゴやミカンだ。

ローソクに火を灯して正座するが、手を合わすこともない。



親から云われてなんとなくしかけた手合わせ。

ちゃめっけたっぷりのK家の孫の動きに思わずシャッターを押した。



かつては笠の融通念仏宗派妙円寺の住職が念仏を唱えていた。

そのころはきちんとしていたかも知れない。

藤井町は融通念仏宗派。

9月8日は大阪平野大念仏がやってくる大和ご回在がある。

3年に一度の山廻りで、今年がアタリの年である。

昼食を食べる場は公民館の座敷。



ヤクの人たちがこしらえた料理をいただく。

場が公民館に移ったのは5、6年前。

それまではヤクの家であった。

夕食までは時間がある。

お腹が減ったときにはパンも食べていたそうだ。

涅槃の掛軸を掲げるのは年に一度。

虫干しのようでもある。

何年か前に表装をしなおして煌びやになった。

掛軸および軸箱を拝見したが、年代記を示す書は見られなかった。

ちなみに3月30日は旧暦閏年の庚申塔上げがある。

前回は一昨年であったから廻りが早い年である。

藤井の庚申講は3垣内それぞれで、ヤドがもてなす料理をいただいてから庚申塚に参るのであるが、これもまた簡略化されたと云う。

(H26. 3. 9 EOS40D撮影)