マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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吉野山口の地蔵盆

2017年04月18日 08時24分25秒 | 吉野町へ
吉野町の香束(こうそく)から下っていけば吉野山口に着く。

当地に鎮守の神社がある。

吉野山口神社である。

神社行事の一つに秋祭り大祭がある。

その行事は平成18年の12月3日に取材させてもらった。

ここを通る度に奉納される餅御供を詰めた器の「ぼっかい」を思い出す。

「ぼっかい」は「ほっかい」が濁った「ぼっかい」の呼び名で表現していた。

充てる漢字は「行器」である。

通り抜けようとした吉野山口に明かりが灯る。

今まさに始まろうとしていた地蔵盆である。

当番と思われる女性が提灯にローソクを灯していた。

その先にも明かりが見える。

近づけばそこも地蔵盆。

ローソクを灯した場に僧侶が立つ。

周りを囲むように地区の人たちが居る。



僧侶は地区浄土宗西蓮寺のご住職。

念仏を唱えていた。

そこの念仏を唱え終わると先ほど拝見した地蔵さんに向かう。

何人かの人たちが付いていった。

急がねばならないが、念仏を唱えた地蔵さんに供えた野菜造りの立て御膳を拝見することを優先した。



香束と同様に串挿しの土台はカボチャ。

香束とは違って大小2個のカボチャを雪だるまのように二段構えにしている。

眉毛はオクラ。

目はトマト。

鼻はナスビに口は赤ピーマン。

耳はホウズキで両手はナスビだ。

お腹部分には花丸模様であろうか。

この立て御膳は怖い顔のように見えた。

話しを聞けばその通りの怪物版。

20年ほど前から立て御膳をするようになったと云う。



そこには木桶に盛った平べったい餅がある。

3斗も搗いたハンゴロシオゴクだという。

「ハンゴロシ」は餅米1に対して粳米は2の量。

米の角を取って半日がかりで搗いたそうだ。

「オゴク」は御供である。

それらを拝見して先の地蔵さんの場に急行する。

お念仏は終わっていなかった。

提灯の灯りだけなので辺りは真っ暗だ。



申しわけないがストロボを当てさせてもらって撮った。

24日は地蔵さんのお勤め。

なむあみだぶつと十篇唱えさせてもらっていますと云う。

お念仏を終えたら恒例のゴクマキ。

地蔵さんにそなえた「ハンゴロシオゴク」を撒く。

この場もそれほど明るくない。

これもまたストロボを発光させてもらってシャッターを押す。

小さな子供たちは前へ。



そこに優しく手渡す「オゴク」である。

それもあれば皆が喜んで取り合いするゴクマキに熱中して地蔵盆を終えた。



吉野山口の行事はこの日の地蔵盆以外に8月17日の十七夜(かつては盆踊りがあった)や同月28日の風日待、9月1日の八朔盆踊り、同月の24日の午後と夕刻にマツリをしているという。

また、7月10日はコムギモチもあれば柿の葉寿司もある。

これらは村の各戸が作って食べているそうだ。

12月7日もマツリ。

かつては青年団が戸板に餅を乗せて運んでいたそうだ。

吉野山口の行事は多彩。

是非とも再訪したいものである。

(H28. 8.24 EOS40D撮影)