月ヶ瀬の嵩(だけ)で風の祈祷行事をしていると知ったのは平成24年8月28日に訪れた近隣大字の月瀬である。
その日は月瀬の八柱神社でも風の祈祷行事をしていた。
大祓詞を唱えて祈祷したお札を村境の4カ所に立てた。
嵩においても同じような形式で行っていると話していた。
それから4年も経った。
行事がある日は8月27日。
月瀬よりも一日早い。
その日に伺えば関係者がおられるだろうと思って訪れた。
着いた時間は行事が始まる少し前の時間帯。
八柱神社の拝殿にお供えを揃えている宮総代にお声をかけた。
その場で本日の行事を取材のお願いを申し出た。
月瀬の十人衆や大字尾山の岡本和生宮司から聞いていた風の祈祷との違いなどを取材したいとお願いしたら承諾された。
ありがたいことである。
嵩では3人の宮総代がおられる。
宮総代は神社行事のお手伝い。
お供えの調達や調整ごともあるし行事の進行やオトナの接待もある。
なにかと忙しく駆け回っているようだ。
宮総代のうち代表を務めるⅠさんは社務所、参籠の座の場でもある嵩総合センターにオトナの人たちがおられるからと云われて挨拶をさせていただく。
オトナを充てる漢字は「翁戸那」。
宮オトナとも呼ぶ長老四人衆である。
オトナは亡くなるまで嵩の年中行事を支える長老衆。
最近は自らの意思をもって引退する場合もあるらしい。
嵩のマツリは10月26日がヨミヤで27日が大祭だった。
今では月末の土曜日、日曜日に移した。
大名が支配していた嵩のかつての時代は藤堂藩。
他の大字は郡山藩だったという。
当時、殿さんのために新しい道を造った。
大祭以外に本日の風の祈祷、祈年祭、新穀感謝祭などの中祭もあるが、毎月初めの一日は小祭の一日座(朔座)がある。
また、八柱神社傍に建つ薬師寺の行事もある。
寺行事は薬師講に大般若、薬師会式などがある。
嵩の薬師寺は長谷寺真言宗派。
京都の南山城村の田山も出仕されている住職が来られるそうだ。
また、旧波多野村に属している月ヶ瀬嵩が参列される山添村中峯山(ちゅうむざん)神波多(かんはた)神社の秋季例祭行事がある。
旧波多野村は春日村、大西村、菅生村、西波多村(上津・下津)、遅瀬村、中峯山村、広代村、中之庄村、吉田村、鵜山村、片平村、葛尾村、広瀬村に嵩村である。
明治22年に町村合併、その後の明治30年に嵩村を編入されて波多野村になった。
その関係をもって今では奈良市に編入された月ヶ瀬嵩は、現在の山添村の各大字とともに一同が揃うお渡りに一番役を務めている月ヶ瀬嵩が中心的役割を担っているという。
そうした月ヶ瀬嵩に関わる件を話してくださったオトナも宮総代も拝殿に登って神事が行われる。
祓の詞、祓えの儀に一同揃って唱える大祓詞。
尾山の宮司が斎主されるここら辺りの地域はどこも同じように大祓詞を唱和する。
そして始まる祝詞奏上に玉串奉奠である。
神饌は洗米や塩、お酒もあるが、この日のための「奉祈祷悪風雨除大麻」の版で刷った祈祷札もある。
神饌棚にはサバ缶詰やジャコの盛りにセキハンもある。
二百十日の大風に祈祷札は3枚。
昔の道にあたる村境の3カ所の入口に立てる。
昔は悪病除けに風雨順調を願ったようだ。
嵩総合センターに戻ったオトナは早速作業に移る。
伐りとってきためろう竹と乾かして作っておいた昨年もんの竹の皮が要る。
めろう竹はススンボの竹ではなく竹箕の原材料になる竹である。
フジの木で叩いて柔らかくしためろう竹を編んで箕にするという。
祈祷札は二つ折りにした竹の皮の内側に納める。
何故にそうするのか。
祈祷札は先を三つに割いためろう竹に直に挟む状態であれば風雨に晒されて破損してしまう。
祈祷札は何時までも保ってもらいたいから竹の皮で包む。
隣村の月瀬も同じ形態だった。
まるで逆三角形になった竹の皮は外れないように上部は白い紐のようなもので縛っておく。
3本とも調整できれば直会に移る。
注文したオードブルもあるが神饌を下げたジャコ、昆布、海苔とセキハンを肴にお神酒をよばれる。
およそ1時間の直会を済ませたオトナや宮総代は手分けして村境にでかける。
村境といってもすぐ近くだ。
一本は八柱神社や薬師寺を下りた山添村遅瀬に繋がる道傍である。
もう一本はそこよりさらに下った山添村大塩へ行く道傍だ。
もう一本は西の村入口。
月瀬寄りの処になるが、場所は特定できなかった。
ちなみに嵩には明治時代なのか、それとも云十年前なのかわからないが、何代か前の爺さん時代に能面があったそうだ。
その能面は見ることはできないが10月に行われるマツリについて話される宮総代も一カ所に立てた。
マツリの直会に謡いがある。
武蔵野の名がある大きな酒盃で酒を飲む。
謡いは四海波。
朗々と謡うそうだ。
座でよばれる酒の肴はナスビの田楽にトーフ、コンニャクに煮しめ、青豆のクルミがある。
クルミはサトイモに塗して食べる料理である。
この内容を聞いて是非とも今年に取材したいと願ったのは言うまでもない。
ところで嵩にもトンド行事がある。
各戸の注連縄を子供が集めて縄にする。
それをどうするかは聞いていないが、たぶんにトンド組みに使う括りであろう。
朝6時に点火するという。
(H28. 8.27 EOS40D撮影)
その日は月瀬の八柱神社でも風の祈祷行事をしていた。
大祓詞を唱えて祈祷したお札を村境の4カ所に立てた。
嵩においても同じような形式で行っていると話していた。
それから4年も経った。
行事がある日は8月27日。
月瀬よりも一日早い。
その日に伺えば関係者がおられるだろうと思って訪れた。
着いた時間は行事が始まる少し前の時間帯。
八柱神社の拝殿にお供えを揃えている宮総代にお声をかけた。
その場で本日の行事を取材のお願いを申し出た。
月瀬の十人衆や大字尾山の岡本和生宮司から聞いていた風の祈祷との違いなどを取材したいとお願いしたら承諾された。
ありがたいことである。
嵩では3人の宮総代がおられる。
宮総代は神社行事のお手伝い。
お供えの調達や調整ごともあるし行事の進行やオトナの接待もある。
なにかと忙しく駆け回っているようだ。
宮総代のうち代表を務めるⅠさんは社務所、参籠の座の場でもある嵩総合センターにオトナの人たちがおられるからと云われて挨拶をさせていただく。
オトナを充てる漢字は「翁戸那」。
宮オトナとも呼ぶ長老四人衆である。
オトナは亡くなるまで嵩の年中行事を支える長老衆。
最近は自らの意思をもって引退する場合もあるらしい。
嵩のマツリは10月26日がヨミヤで27日が大祭だった。
今では月末の土曜日、日曜日に移した。
大名が支配していた嵩のかつての時代は藤堂藩。
他の大字は郡山藩だったという。
当時、殿さんのために新しい道を造った。
大祭以外に本日の風の祈祷、祈年祭、新穀感謝祭などの中祭もあるが、毎月初めの一日は小祭の一日座(朔座)がある。
また、八柱神社傍に建つ薬師寺の行事もある。
寺行事は薬師講に大般若、薬師会式などがある。
嵩の薬師寺は長谷寺真言宗派。
京都の南山城村の田山も出仕されている住職が来られるそうだ。
また、旧波多野村に属している月ヶ瀬嵩が参列される山添村中峯山(ちゅうむざん)神波多(かんはた)神社の秋季例祭行事がある。
旧波多野村は春日村、大西村、菅生村、西波多村(上津・下津)、遅瀬村、中峯山村、広代村、中之庄村、吉田村、鵜山村、片平村、葛尾村、広瀬村に嵩村である。
明治22年に町村合併、その後の明治30年に嵩村を編入されて波多野村になった。
その関係をもって今では奈良市に編入された月ヶ瀬嵩は、現在の山添村の各大字とともに一同が揃うお渡りに一番役を務めている月ヶ瀬嵩が中心的役割を担っているという。
そうした月ヶ瀬嵩に関わる件を話してくださったオトナも宮総代も拝殿に登って神事が行われる。
祓の詞、祓えの儀に一同揃って唱える大祓詞。
尾山の宮司が斎主されるここら辺りの地域はどこも同じように大祓詞を唱和する。
そして始まる祝詞奏上に玉串奉奠である。
神饌は洗米や塩、お酒もあるが、この日のための「奉祈祷悪風雨除大麻」の版で刷った祈祷札もある。
神饌棚にはサバ缶詰やジャコの盛りにセキハンもある。
二百十日の大風に祈祷札は3枚。
昔の道にあたる村境の3カ所の入口に立てる。
昔は悪病除けに風雨順調を願ったようだ。
嵩総合センターに戻ったオトナは早速作業に移る。
伐りとってきためろう竹と乾かして作っておいた昨年もんの竹の皮が要る。
めろう竹はススンボの竹ではなく竹箕の原材料になる竹である。
フジの木で叩いて柔らかくしためろう竹を編んで箕にするという。
祈祷札は二つ折りにした竹の皮の内側に納める。
何故にそうするのか。
祈祷札は先を三つに割いためろう竹に直に挟む状態であれば風雨に晒されて破損してしまう。
祈祷札は何時までも保ってもらいたいから竹の皮で包む。
隣村の月瀬も同じ形態だった。
まるで逆三角形になった竹の皮は外れないように上部は白い紐のようなもので縛っておく。
3本とも調整できれば直会に移る。
注文したオードブルもあるが神饌を下げたジャコ、昆布、海苔とセキハンを肴にお神酒をよばれる。
およそ1時間の直会を済ませたオトナや宮総代は手分けして村境にでかける。
村境といってもすぐ近くだ。
一本は八柱神社や薬師寺を下りた山添村遅瀬に繋がる道傍である。
もう一本はそこよりさらに下った山添村大塩へ行く道傍だ。
もう一本は西の村入口。
月瀬寄りの処になるが、場所は特定できなかった。
ちなみに嵩には明治時代なのか、それとも云十年前なのかわからないが、何代か前の爺さん時代に能面があったそうだ。
その能面は見ることはできないが10月に行われるマツリについて話される宮総代も一カ所に立てた。
マツリの直会に謡いがある。
武蔵野の名がある大きな酒盃で酒を飲む。
謡いは四海波。
朗々と謡うそうだ。
座でよばれる酒の肴はナスビの田楽にトーフ、コンニャクに煮しめ、青豆のクルミがある。
クルミはサトイモに塗して食べる料理である。
この内容を聞いて是非とも今年に取材したいと願ったのは言うまでもない。
ところで嵩にもトンド行事がある。
各戸の注連縄を子供が集めて縄にする。
それをどうするかは聞いていないが、たぶんにトンド組みに使う括りであろう。
朝6時に点火するという。
(H28. 8.27 EOS40D撮影)