桜井市の大字出雲に旧暦閏年の庚申行事がある。
下見を兼ねて訪れたのは平成24年の4月7日だった。
地福寺や十二社神社付近を中心に集落民家を探してみれば玄関軒に塔婆があった。
辺りを歩けば掲げている家が何軒も見つかる。
刻みの段を入れたところに五文字の梵字。
その下に「奉勧請 青面金剛童子 村内無事 家内安全 五穀成就 如意祈修」の文字が書いてあった。
材はカシの木である。
街道を通りがかった高齢の婦人に聞けば、9組の講中があるという。
行事の日を教えてもらったが、生憎のブッキング。
それから5年も経った今年。
精力的に語り部活動をされている知識人、奈良まほろばソムリエの会の雑賀耕三郎さんが出雲の旧暦閏年の庚申トウゲの日程を伝えてくださった。
ところがこれもまた生憎のブッキングであるが、その日の取材先は出雲よりそれほど遠くない宇陀市榛原の大字柳。
ここもまた旧暦閏年の庚申行事。
午前の部を終えた昼からは午後の部。
その間に少しでも拝見できればと思って片道6km先の出雲に急行する。
なんとか間に合って、地福寺に9講がそれぞれの塔婆を持ち寄る状況を撮らせてもらった。
大字出雲は庚申塔婆の願文を統一している。
K区長からいただいた「庚申塔華の文言(樫の木に書く文章)」のタイトル紙面がある。
表面に「〇〇〇〇〇 奉勧請 青面金剛童子 村内無事 家内安全 五穀成就 如意吉祥修」とある。
「〇〇〇〇〇」を記した五文字は梵字。
僧侶に書いていただくとあった。
塔婆の裏面も統一しており「平成二十九年四月二日 願主 〇〇〇〇」である。
願主名はそれぞれであるが、9講ともまったく同じ、統一された願文になるわけだ。
願文書き方案内にあるように、大字出雲が庚申トウゲを充てる漢字は「塔華」である。
旧暦閏年の庚申行事をはじめて知ったのは平成21年5月24日に取材した桜井市の瀧倉である。
そのときにはじめて耳にした「トアゲ」。
充てる漢字は塔婆を揚げるから「塔揚」。
または「塔上」でも良いんやと村の人が言っていた。
瀧倉と同じように「トアゲ」と呼称する地域もあれば、「トウゲ」若しくは「トウアゲ」もある。
塔を揚げる読みが地域によって訛ったのであろう。
これが明日香村や隣接する桜井市山田、高家や田原本町の八尾、唐古では呼称が「モウシアゲ」になる。
念仏を申し上げることから「申し上げ」ということだろう。
なお、地域によっては「生塔婆」と呼ぶ場合もあることを付記しておく。
映像はそれぞれの講のトーヤ家が供える白餅である。
(H29. 4. 2 EOS40D撮影)
下見を兼ねて訪れたのは平成24年の4月7日だった。
地福寺や十二社神社付近を中心に集落民家を探してみれば玄関軒に塔婆があった。
辺りを歩けば掲げている家が何軒も見つかる。
刻みの段を入れたところに五文字の梵字。
その下に「奉勧請 青面金剛童子 村内無事 家内安全 五穀成就 如意祈修」の文字が書いてあった。
材はカシの木である。
街道を通りがかった高齢の婦人に聞けば、9組の講中があるという。
行事の日を教えてもらったが、生憎のブッキング。
それから5年も経った今年。
精力的に語り部活動をされている知識人、奈良まほろばソムリエの会の雑賀耕三郎さんが出雲の旧暦閏年の庚申トウゲの日程を伝えてくださった。
ところがこれもまた生憎のブッキングであるが、その日の取材先は出雲よりそれほど遠くない宇陀市榛原の大字柳。
ここもまた旧暦閏年の庚申行事。
午前の部を終えた昼からは午後の部。
その間に少しでも拝見できればと思って片道6km先の出雲に急行する。
なんとか間に合って、地福寺に9講がそれぞれの塔婆を持ち寄る状況を撮らせてもらった。
大字出雲は庚申塔婆の願文を統一している。
K区長からいただいた「庚申塔華の文言(樫の木に書く文章)」のタイトル紙面がある。
表面に「〇〇〇〇〇 奉勧請 青面金剛童子 村内無事 家内安全 五穀成就 如意吉祥修」とある。
「〇〇〇〇〇」を記した五文字は梵字。
僧侶に書いていただくとあった。
塔婆の裏面も統一しており「平成二十九年四月二日 願主 〇〇〇〇」である。
願主名はそれぞれであるが、9講ともまったく同じ、統一された願文になるわけだ。
願文書き方案内にあるように、大字出雲が庚申トウゲを充てる漢字は「塔華」である。
旧暦閏年の庚申行事をはじめて知ったのは平成21年5月24日に取材した桜井市の瀧倉である。
そのときにはじめて耳にした「トアゲ」。
充てる漢字は塔婆を揚げるから「塔揚」。
または「塔上」でも良いんやと村の人が言っていた。
瀧倉と同じように「トアゲ」と呼称する地域もあれば、「トウゲ」若しくは「トウアゲ」もある。
塔を揚げる読みが地域によって訛ったのであろう。
これが明日香村や隣接する桜井市山田、高家や田原本町の八尾、唐古では呼称が「モウシアゲ」になる。
念仏を申し上げることから「申し上げ」ということだろう。
なお、地域によっては「生塔婆」と呼ぶ場合もあることを付記しておく。
映像はそれぞれの講のトーヤ家が供える白餅である。
(H29. 4. 2 EOS40D撮影)