マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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米谷町・ノヤスミのタケノコ飯

2018年05月25日 09時35分26秒 | 奈良市(旧五ケ谷村)へ
奈良市米谷町に鎮座する白山比咩神社。

この日は宮座の四大行事の一つである「タケノコ飯」行事。

四大行事は2月の「田楽飯」、5月から6月にかけての「タケノコ飯」、10月の「マツタケメシ」、12月の「くるみ餅」がある。

宮座十一人衆が季節の節目に旬のものをよばれる座行事は村神主が接待する行事。



参拝前に献饌しておく御供。

洗い米に小豆を包んだ御供にパンも供えている。

それ以外の御供に季節ものの野菜もあるし、サイラ(サンマ)の開きなどなど。



座中、一人、一人がめいめいの参拝。

いつもと同じように参拝する姿に、これもまたいつもと同じようにシャッターを押す。

手水で清めて本社拝殿より正面に向かって拝礼する。

次はチンジさん(鎮守社)と呼んでいる山王神社にその横に建つ遥拝所の参拝。

大正六年四月三日に建之された神武天皇の遥拝所にも参られる。

月例であっても村行事であってもかわらない参拝の在り方である。

参拝を済ませた座中は参籠所に籠る。



所の炊事場のテーブルいっぱい並べた料理皿がある。

一つは筍の木の葉和え。

木の芽を添えている料理である。

二つ目は筍と蕗の煮物。

三つ目に菊菜とほうれん草のおひたし。

四つ目の料理が金時豆の甘煮。

香の物もある料理は村神主家が心を込めて作った手造り調理でもてなす座の料理である。



参列者全員が揃ったところで供えていたお神酒を下げる村神主。

それが座の始まり。



早速、動いた二人のサタニン(佐多人・助侈人とも)が給仕する。

席についた座中にお神酒注ぎ。



席にあるパック詰め料理に加えて、手造りの筍料理や香の物も運ぶ。

これらの皿盛りは一人前が一皿でなく、数人に対しての一皿になる。



お神酒や膳が揃ったところで一同は乾杯。

一口、二口よばれてからのしばらく。

冷酒のお神酒から熱燗になった。



それからのサタニンといえば、とにかく忙しく動き回る。

お酒の注ぎの声がかかれば、熱燗の酒を席に運ぶ。

いつ、お声がかかるかもしれない。

突然のお声に反応して直ちに温めていた熱燗をお銚子に注いで座中のお席を巡る。

座が始まってから1時間半ほど。

汁椀を座卓に配られるよう、お声がかかる。



時間を見計らって吸い物汁を温めていた。

熱いすまし汁をお椀に注ぐ。

汁椀はハマグリのすまし汁。

注がれたとたんに海の香りがする汁椀である。

すまし汁をいただいている間はお声もかからない。



その間に動き回っていたサタニンさんもよばれに移って食を摂る。

2月に行われた「田楽飯」の座行事も早かったという。

あるときは昼寝をしていたこともあって、遅くなることもある。

座行事が終わった時間帯がこれまで一番遅くなったのは午後5時。

やっと解放されたと思いだす人もいる。

この日の行事に「昔の行事は小豆粥をよばれてから終わりだった」という人も。

時代、時代の変革に行事食はこれからも変容していくこともあるだろう。

(H29. 5. 7 EOS40D撮影)