天理市柳本町・新町中に五智堂が建つ。
東の山麓下にある長岳寺の飛び地境内に建つ五智堂。
太く丸い(※上部は角形)心柱構造から傘堂(※傘塔とも)、或いは眞面堂とも呼ばれている建物。
明治41年4月23日に指定された国の重要文化財である。
形態が珍しいことから五智堂を訪れる人たちは多く、ブログに取り上げる数も多い。
その五智堂のすぐ傍、同敷地内に建つ小堂はあまり意識されていないように思う。
私もそのうちの一人であるが、1年に2度の開帳、法要をされていたとは・・。
何のキーワードであったのか、まったく覚えていないが、ネットに引っかかったPDFシートに書かれていた情報で、「薬師さん」の存在を知った。
シートのタイトルは「やまとし美し(※うるはし) 柳本」。
柳本町の略歴史に年中行事や観光施設を案内する観光マップ。
柳本町自治連合会町づくり推進委員会と奈良県地域デザイン課が共同作成したマップは平成27年3月に発行したとある。
さて、そのマップに書いてあった年中行事。
7月8日、7月12日は「薬師さん」。( )表記に「五智堂」とある。
五智堂敷地内に建つ薬師堂で行われる「薬師さん」行事は、柳本もてなしのまちづくり会が調査しまとめた『柳本百選』によれば、「薬師如来の縁日に、長岳寺本堂の薬師如来を五智堂に移して祈願する。200年ほど続けてきた行事である。」、とあった。
どなたが祈祷され、どのような形態であるのか、見聞きしたいと思って出かけた。
行先は、五智堂の所在地。
近くにあるお店の人に尋ねてわかったことは、毎年の7月8日と12日は薬師さんの縁日であること。
その日は、たくさんの露店が出店。
子どもたちが大勢やってきて愉しんでいたそうだ。
ところが、行き交う車が増えたことによって、子どもたちが危険に晒される。
安全重視、トラブルに巻き込まれるようなことのないように、という配慮から、夜店には行かないように、と教員指導が出たのは昨年だった。
薬師さんが盗まれてはたいへんなことになるから長岳寺に預かってもらい、8日と12日の両日だけに限って、薬師さんは元のお住いの薬師堂に移し、祈願してもらっている、と話してくれた。
だいたいの時間を推測して訪れた12日。
8日に続く縁日の二日目である。
早めに着いて、長岳寺住職を待っていた。
縁日に露店が数店舗。
聞き取りした店主が話していた通りの寂しい縁日。
子どもたちの安全を見守っていると推定される教職員やPTA役員が立ち止まって状況伺い。
薄暗くなる前に、交通整理員を配置するようだ。
予め、薬師如来座像を移していた薬師堂。
幕を張り、蝋燭を立て、提灯を吊るしていた。

大きな西瓜に黄マッカやトマトの他、パンも盛ったお供えも準備済。
薬師さんの縁日に当番の人が供えていたのであろう。
法要前であろうと手を合わせて姉弟仲良く拝む子たちも居る。

じいちゃん、ばあちゃんに両親の教えがわかる幼い姉弟の作法に思わずシャッターを押した。
そのころにやってこられた長岳寺住職に取材主旨を伝えて法要のあり方などを撮らせていただく。
7月8日と12日は薬師さんの縁日。
12日は、十二薬師さん。
12日の“12”は、1200年に亘って薬師如来を守ってきた十二神将にちなんでいるが、8日は八日薬師であるが、8日の“8”は、さて・・・と北川慈照住職が話してくださった代わり身の札。
それが何であるのか聞きそびれた。
あらためて調べたネットの情報によれば、「※薬師如来を信仰し、徳を講讃する“薬師講”法会に由来すると考えられおり、薬師経を百座に分けて、講説し、仏讚歎(さんだん)する」ことのようだ
そういえば、奈良県内に薬師さん行事がたくさんある。
1月8日の初薬師を年初に、当該月の8日、12日。
私の知る範囲であるが、1月8日の八日薬師行事は、★東吉野村木津川・薬師堂の八日薬師、上北山村河合・景徳寺の八日薬師、大和郡山市長安寺町・薬師堂の初祈祷、★平群町久安寺・薬師堂のオコナイ、桜井市三輪・薬師堂の初薬師、田原本町唐古・養福寺の初薬師講、★大和郡山市矢田町・東明寺の薬師祈願会、奈良市高畑・新薬師寺の初薬師、東吉野村小・天照寺薬師堂のオコナイ、五條市中之町・草谷寺の八日講などが。
また、1月12日の★奈良市月ヶ瀬嵩・薬師寺の初薬師講がある。
他にもあるので、参考までに列挙しておく。
3月8日は、奈良市奈良阪町・西福寺の薬師如来祈願会。
花祭りが多くみられる4月8日は、★川上村高原・福源寺の薬師観音大祭、桜井市三輪・薬師堂の八日薬師、高取町清水谷・冷水寺西室院の薬師講の薬師如来祈願会。
5月8日は、★天理市楢町・薬師堂の薬師講法会。
7月8日は、天理市楢町・薬師堂の初成りかぼちゃ薬師(※法会なし)、★大和郡山市長安寺町・薬師堂の夏の薬師さん、天理市柳本町新町中・薬師堂の八日薬師。
9月8日は、★奈良市南田原町・南福寺薬師堂の八日薬師さんのイセキ(会式)、桜井市脇本・妙楽寺の薬師会がある。
10月8日、桜井市三輪・薬師堂の八日薬師、奈良市西ノ京・薬師寺天武忌(※十二神将練供養)。
毎月8日に講中が営む田原本町唐古・養福寺の薬師講、大和郡山市豊浦町・薬師堂の薬師講もある。
7月12日に、★奈良市中院町・薬師如来の縁日、★天理市柳本町新町中・薬師堂の十二薬師。
9月12日が、宇陀市大宇陀栗野・十二薬師堂の十二薬師さん、★天理市山田町下山田・薬師寺の薬師さんの六日会式(※地蔵会式と合祭されたが元々は12日)、宇陀市大宇陀本郷・薬師寺の十二薬師、★山添村桐山・薬師堂の薬っさんのボタモチイセキ(会式)、★桜井市瀧倉・薬師堂の薬師さん会式、★奈良市都祁相河・薬師さんの薬師ごもり、桜井市修理枝の薬師さん、★奈良市都祁南之庄・歓楽寺のボタモチ籠り薬師会式、★奈良市都祁藺生町・青龍寺の薬師会式、★桜井市小夫・秀円寺の薬師籠り、奈良市月ヶ瀬嵩・薬師寺の薬師会式。
また、県外であるが、大阪府能勢町天王・長杉寺では「八日薬師のトウ(塔)」がある、と聞いている。
存知しないだけで、他にもたくさんの行事があろうかと思う。
さて、長岳寺住職による十二薬師さんの法要がはじまった。

後ろに就いた参拝者。
親子連れなのか、それとも夜店に来ていた子どもたちなのか・・・。

法要の営みを見ていた子どもの親は別だった。
狙いはりんご飴なのか、冷たい氷。それとも当てもん、いや射的なのか。
ごくごく数店舗になった露店の夜店にあれもこれもという愉しみは多くない。

法要を終えた住職は、しばらくの時間は椅子に座って参拝者を待っていた。
参拝に来られる人もまた少ないが、30分ほど経ったころ。

腰をあげた住職は、東に向かって歩いていった。
これより始まる檀家参り。
お家、1軒ごとに出向いて法要をするという。

檀家さんのお家まではついていくわけにはいかず、しばらくは私も参拝者を待っていたが・・。
(※ ★印は取材・ブログ公開中)
(H30. 7.12 EOS7D撮影)
東の山麓下にある長岳寺の飛び地境内に建つ五智堂。
太く丸い(※上部は角形)心柱構造から傘堂(※傘塔とも)、或いは眞面堂とも呼ばれている建物。
明治41年4月23日に指定された国の重要文化財である。
形態が珍しいことから五智堂を訪れる人たちは多く、ブログに取り上げる数も多い。
その五智堂のすぐ傍、同敷地内に建つ小堂はあまり意識されていないように思う。
私もそのうちの一人であるが、1年に2度の開帳、法要をされていたとは・・。
何のキーワードであったのか、まったく覚えていないが、ネットに引っかかったPDFシートに書かれていた情報で、「薬師さん」の存在を知った。
シートのタイトルは「やまとし美し(※うるはし) 柳本」。
柳本町の略歴史に年中行事や観光施設を案内する観光マップ。
柳本町自治連合会町づくり推進委員会と奈良県地域デザイン課が共同作成したマップは平成27年3月に発行したとある。
さて、そのマップに書いてあった年中行事。
7月8日、7月12日は「薬師さん」。( )表記に「五智堂」とある。
五智堂敷地内に建つ薬師堂で行われる「薬師さん」行事は、柳本もてなしのまちづくり会が調査しまとめた『柳本百選』によれば、「薬師如来の縁日に、長岳寺本堂の薬師如来を五智堂に移して祈願する。200年ほど続けてきた行事である。」、とあった。
どなたが祈祷され、どのような形態であるのか、見聞きしたいと思って出かけた。
行先は、五智堂の所在地。
近くにあるお店の人に尋ねてわかったことは、毎年の7月8日と12日は薬師さんの縁日であること。
その日は、たくさんの露店が出店。
子どもたちが大勢やってきて愉しんでいたそうだ。
ところが、行き交う車が増えたことによって、子どもたちが危険に晒される。
安全重視、トラブルに巻き込まれるようなことのないように、という配慮から、夜店には行かないように、と教員指導が出たのは昨年だった。
薬師さんが盗まれてはたいへんなことになるから長岳寺に預かってもらい、8日と12日の両日だけに限って、薬師さんは元のお住いの薬師堂に移し、祈願してもらっている、と話してくれた。
だいたいの時間を推測して訪れた12日。
8日に続く縁日の二日目である。
早めに着いて、長岳寺住職を待っていた。
縁日に露店が数店舗。
聞き取りした店主が話していた通りの寂しい縁日。
子どもたちの安全を見守っていると推定される教職員やPTA役員が立ち止まって状況伺い。
薄暗くなる前に、交通整理員を配置するようだ。
予め、薬師如来座像を移していた薬師堂。
幕を張り、蝋燭を立て、提灯を吊るしていた。

大きな西瓜に黄マッカやトマトの他、パンも盛ったお供えも準備済。
薬師さんの縁日に当番の人が供えていたのであろう。
法要前であろうと手を合わせて姉弟仲良く拝む子たちも居る。

じいちゃん、ばあちゃんに両親の教えがわかる幼い姉弟の作法に思わずシャッターを押した。
そのころにやってこられた長岳寺住職に取材主旨を伝えて法要のあり方などを撮らせていただく。
7月8日と12日は薬師さんの縁日。
12日は、十二薬師さん。
12日の“12”は、1200年に亘って薬師如来を守ってきた十二神将にちなんでいるが、8日は八日薬師であるが、8日の“8”は、さて・・・と北川慈照住職が話してくださった代わり身の札。
それが何であるのか聞きそびれた。
あらためて調べたネットの情報によれば、「※薬師如来を信仰し、徳を講讃する“薬師講”法会に由来すると考えられおり、薬師経を百座に分けて、講説し、仏讚歎(さんだん)する」ことのようだ
そういえば、奈良県内に薬師さん行事がたくさんある。
1月8日の初薬師を年初に、当該月の8日、12日。
私の知る範囲であるが、1月8日の八日薬師行事は、★東吉野村木津川・薬師堂の八日薬師、上北山村河合・景徳寺の八日薬師、大和郡山市長安寺町・薬師堂の初祈祷、★平群町久安寺・薬師堂のオコナイ、桜井市三輪・薬師堂の初薬師、田原本町唐古・養福寺の初薬師講、★大和郡山市矢田町・東明寺の薬師祈願会、奈良市高畑・新薬師寺の初薬師、東吉野村小・天照寺薬師堂のオコナイ、五條市中之町・草谷寺の八日講などが。
また、1月12日の★奈良市月ヶ瀬嵩・薬師寺の初薬師講がある。
他にもあるので、参考までに列挙しておく。
3月8日は、奈良市奈良阪町・西福寺の薬師如来祈願会。
花祭りが多くみられる4月8日は、★川上村高原・福源寺の薬師観音大祭、桜井市三輪・薬師堂の八日薬師、高取町清水谷・冷水寺西室院の薬師講の薬師如来祈願会。
5月8日は、★天理市楢町・薬師堂の薬師講法会。
7月8日は、天理市楢町・薬師堂の初成りかぼちゃ薬師(※法会なし)、★大和郡山市長安寺町・薬師堂の夏の薬師さん、天理市柳本町新町中・薬師堂の八日薬師。
9月8日は、★奈良市南田原町・南福寺薬師堂の八日薬師さんのイセキ(会式)、桜井市脇本・妙楽寺の薬師会がある。
10月8日、桜井市三輪・薬師堂の八日薬師、奈良市西ノ京・薬師寺天武忌(※十二神将練供養)。
毎月8日に講中が営む田原本町唐古・養福寺の薬師講、大和郡山市豊浦町・薬師堂の薬師講もある。
7月12日に、★奈良市中院町・薬師如来の縁日、★天理市柳本町新町中・薬師堂の十二薬師。
9月12日が、宇陀市大宇陀栗野・十二薬師堂の十二薬師さん、★天理市山田町下山田・薬師寺の薬師さんの六日会式(※地蔵会式と合祭されたが元々は12日)、宇陀市大宇陀本郷・薬師寺の十二薬師、★山添村桐山・薬師堂の薬っさんのボタモチイセキ(会式)、★桜井市瀧倉・薬師堂の薬師さん会式、★奈良市都祁相河・薬師さんの薬師ごもり、桜井市修理枝の薬師さん、★奈良市都祁南之庄・歓楽寺のボタモチ籠り薬師会式、★奈良市都祁藺生町・青龍寺の薬師会式、★桜井市小夫・秀円寺の薬師籠り、奈良市月ヶ瀬嵩・薬師寺の薬師会式。
また、県外であるが、大阪府能勢町天王・長杉寺では「八日薬師のトウ(塔)」がある、と聞いている。
存知しないだけで、他にもたくさんの行事があろうかと思う。
さて、長岳寺住職による十二薬師さんの法要がはじまった。

後ろに就いた参拝者。
親子連れなのか、それとも夜店に来ていた子どもたちなのか・・・。

法要の営みを見ていた子どもの親は別だった。
狙いはりんご飴なのか、冷たい氷。それとも当てもん、いや射的なのか。
ごくごく数店舗になった露店の夜店にあれもこれもという愉しみは多くない。

法要を終えた住職は、しばらくの時間は椅子に座って参拝者を待っていた。
参拝に来られる人もまた少ないが、30分ほど経ったころ。

腰をあげた住職は、東に向かって歩いていった。
これより始まる檀家参り。
お家、1軒ごとに出向いて法要をするという。

檀家さんのお家まではついていくわけにはいかず、しばらくは私も参拝者を待っていたが・・。
(※ ★印は取材・ブログ公開中)
(H30. 7.12 EOS7D撮影)