長男のフイアンセが決まれば人生初めて経験する両家の顔合わせ。
数カ月前までは、考えもしなかった家族のイベント。
二人にとって具体化し始めたのは昨年の夏ころであるらしいが、方向性が明確に決まったのは平成30年11月3日。
メールで知らせてきたとかーさんがいう。
彼女さんが我が家に来て初めて紹介された日は平成31年の3月2日。
それから3週間後には両家の親がともに顔合わせ。
目出度い喜びの会場は東京都文京区にあるホテル椿山荘。
おふくろが当時勤めていた損害保険会社の表彰式に度々のごとく出かけていたという由緒ある椿山荘。
ホテルが建つ周辺地域は台地。
南北朝時代から椿が自生する景勝の地であることから「つばきやま」と呼ばれていたそうだ。
江戸時代の初期、松尾芭蕉が深川の芭蕉庵に移るまでの4年間は隣接する関口竜隠庵(※のちに関口芭蕉庵)に住んでいた。
明治11年、山形有朋が私財を投じて「つばきやま」を手に入れ、庭や邸宅を整備して「椿山荘」と名付けた。
大正7年、関西財界の藤田組・二代目当主である藤田平太郎は、山形有朋の意思を受け継いだが、昭和20年の空襲によってほとんどが灰燼に帰した。
昭和27年11月、ガーデンレストランとしてオープンした「椿山荘」。
以来、結婚式場の名門としても利用されてきた。
昭和58年に椿山荘新館のオープン。
昭和62年には庭園内に数寄屋料亭「銀水」が、さらに翌年の63年に現チャペルのヴァンベール。
平成の時代も数々の施設を拡げてきた。(※椿山荘HP参照)
さて、私どもが顔合わせに利用する施設は木春堂(もくしゅんどう)である。
会席の予定時間は午後3時。
15分前に到着したフロアーでまずは顔合わせ。
お会いしてすぐさま自己紹介にご挨拶にふっと思った。
昔から存じているような感覚に陥ったのである。
目と目が合った瞬間に打ち解けたと思った不思議な感覚である。
お話は木春堂でと和服姿の職員さんが案内してくださった椿山荘の庭園。
生憎の曇り空にしっとり落ち着いた感のある庭園が映えない。
林泉回遊式庭園に植生する桜樹はほぼ満開。
晴れておれば美しく撮れると思ったプリンセス雅(みやび)。
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空が映えないから幹から直接的に咲く櫻花をとらえていたが、プリンセス雅の名に由来がある。
大島系山桜と緋寒桜との自然交配でできたとされるプリンセス雅。
新元号とともに天皇陛下になられる皇太子殿下と雅子様がご成婚されたのを記念に雅子様の名をいただいて命名されたようだ。
命名当時はプリンセス雅であったが、いつしか「雅」の一文字に移ったが、ここでは、私ども二人の新しき喜びの日にちなみ、祈念のプリンセス雅と呼ばせていただく。
すぐ傍に咲いていた櫻花は交雑種の陽光。
ホテル室内からガラス窓越しに拝見した櫻花は河津桜かなと思えるぐらいに輝いていた櫻花であるが、見込み違いをしていた。
さらに下ったところは赤い欄干が鮮やかな弁慶橋。
対岸から静々と歩く和装姿の新郎新婦が・・。
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和服姿の女性職員がついているから新郎新婦の前撮り。
欠かせない番傘は後方につく男性職員が持っていた。
ラッキーチャンスととらえて撮らせてもらうハレの日の予行演習のようなものである。
さらに下ったところに数体の羅漢さんがある。
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椿山荘HPによれば、江戸時代中期に京で活躍した絵師の伊藤若冲の羅漢さんのうち19体が、ここ椿山荘に寄せたようだ。
伊藤若冲が晩年に暮らした隠棲寺は京都伏見・深草にある禅宗黄檗宗石峰寺(おおばくしゅうせきほうじ)。
寛政年間(1789~1800)に同寺で伊藤若冲が描いた下絵をもとに石工が造立した五百羅漢像。
明治時代の廃仏毀釈の折りに同寺から散財、流出。
明治時代、山形有朋から譲り受けていた藤田平太郎の先代である藤田伝三郎に移り渡った19体の五百羅漢像。
一挙に椿山荘に移ったわけでなく大阪・都島区の網島屋敷に据えた。
やがて、長子平太郎のときの大正14年に椿山荘へ移設したようだ。
ここまで詳しい解説はしていなかった椿山荘の史跡巡りHP。
隣接する位置に、昔からこと地にあったとされる寛文九年(1869)作の庚申塔もある。
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深い彫りで作られた青面金剛をじっくり見たいが、先を急ぐ。
古香井(ここうせい)もあるらしいが、会食の時間が迫ってきた。
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時間もないから流水に着水した椿山荘に相応しい椿の花やシャガの花が咲き、熊笹から滴る秩父山系からの地下水が湧き出る湧水の流れを撮っていた。
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二人の記念写真はご神木など数か所。
スマホに撮ってもらっていた。
午後3時ジャスト、入口に着いた木春堂(もくしゅんどう)。
木造の木春堂に対して、向かいに建つ茅葺造りの茶室長松亭の全景を撮りたかったが、時間はない。
遅れないように顔合わせの部屋に案内する女性職員の後を追うばかり。
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木春堂は、昭和28年に神奈川県中津渓谷沿いに東急グループ創始者の五島慶太が所有していた田舎家を譲り受けて移設した建物である。
建物に風情を感じる趣のある木造階段を上がる。
床板もそうだが古びれた照りが素敵だ。
1階はフロアー。
全席がテーブル席のようだが2階にある“中庵”は個室。
明治から昭和の実業家である藤山雷太氏別荘の茶室。
昭和26年に移築した“中庵”は掘り炬燵だった。
お部屋は“中庵”でなく、個室“大椿”。
足元が温まって身も心もほぐれる掘り炬燵に祝いの会席。
椿山荘HPによれば15000円で贅沢に味わう大切な記念日にご利用をと案内していた映像はまさに同じ情景。
2カ所ある窓から眼下を覗けば桜の木に提灯が・・。
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目白台2丁目町会に文京目白台二郵便局の銘があるから神田川堤にある桜トンネルの散歩道を照らす提灯吊りのようだ。
撮った映像は「冠木門入口」辺り。
実は冠木門入口から入った散歩道。
林泉回遊式庭園は無料だと・・。
会席に付くスパークリングの飲み物に生ビール。
向かいの席に座られたお母さんも生ビール。
他は烏龍茶だったかな。
木春堂(もくしゅんどう)会席料理のお品書きは次のとおりである。
始めに配膳されたのは何。
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呑んでみてわかった塩漬けの桜花。
いわゆる桜湯である。
この時季に相応しい桜湯に和ませる。
前菜は紅白膾(なます)、いくら、子持ち昆布、祝い黒豆、松笠慈姑、竹胡瓜、梅花人参、的場海老、青菜おひたし、合鴨味噌漬け。

どれから箸をつけてよいやら、迷い箸。
どれもこれも味わい深い会席料理に舌鼓。
生ビールがあっという間に2杯目のお代わり。
話題が弾む顔合わせ。
当初は何を話してよいやらと思案していたが、お母さんが上手く話題を引き出してくれる。
それに乗る私の話題提供。
帰り際に言った長男。
二人が話していた時間は9割だったと・・。
次の配膳は吸い物。
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蛤真丈(はまぐりしんじょう)、寿人参、青味、茸である。
このころ確か生ビールは3本目だったような気がするが・・。
次はお造り。
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本日の三種盛り合わせに妻一式である。
次は多喜(炊き)合わせ。
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鶴長芋、亀人参、海老旨煮、茄子揚げ煮、青味である。
和食会席に4杯目。
次の焼き物は国産牛サーロイン。
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焼き野菜、サラダも美味しくいただくころは切り替えて何かのチューハイだったような気がするが・・。
食べた料理はこうして撮っておいたからわかるものの、飲み物は撮るよりも口と喉が要求するから撮る気は起らない。
箸休めは茄子鴨炊き、糸賀喜、葱、唐辛子。

これがむちゃ美味かった。
先ほどのサーロイン肉は美味いに決まっているが、これはとても上品な味。
そういえばこれまでいただいた食事はすべてに亘ってお上品。
ホホホ、と言いたいが・・肌に合わない。
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食事のご飯ものは赤飯。
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お味がよろしいからそのまま食べてしまいそうだが、香の物も。
赤出汁はとうとう撮り損ねた。
ここと温まる話題に酔いしれて、ラストの甘味は本日のもの。
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なお、「お米は国産米を使用しております」と書いてあったことを付記しておく。
会食時間は3時間。
お開きを催促されてバタバタした清算は二人が全額を支払ってくれた。
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忘れ物はないですか・・。
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椿山荘のロビーから撮った盛り花が美しい。
どうかこれからもよろしくお願いしますと挨拶し、椿山荘をでた。
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(H31. 3.23 EOS7D撮影)
数カ月前までは、考えもしなかった家族のイベント。
二人にとって具体化し始めたのは昨年の夏ころであるらしいが、方向性が明確に決まったのは平成30年11月3日。
メールで知らせてきたとかーさんがいう。
彼女さんが我が家に来て初めて紹介された日は平成31年の3月2日。
それから3週間後には両家の親がともに顔合わせ。
目出度い喜びの会場は東京都文京区にあるホテル椿山荘。
おふくろが当時勤めていた損害保険会社の表彰式に度々のごとく出かけていたという由緒ある椿山荘。
ホテルが建つ周辺地域は台地。
南北朝時代から椿が自生する景勝の地であることから「つばきやま」と呼ばれていたそうだ。
江戸時代の初期、松尾芭蕉が深川の芭蕉庵に移るまでの4年間は隣接する関口竜隠庵(※のちに関口芭蕉庵)に住んでいた。
明治11年、山形有朋が私財を投じて「つばきやま」を手に入れ、庭や邸宅を整備して「椿山荘」と名付けた。
大正7年、関西財界の藤田組・二代目当主である藤田平太郎は、山形有朋の意思を受け継いだが、昭和20年の空襲によってほとんどが灰燼に帰した。
昭和27年11月、ガーデンレストランとしてオープンした「椿山荘」。
以来、結婚式場の名門としても利用されてきた。
昭和58年に椿山荘新館のオープン。
昭和62年には庭園内に数寄屋料亭「銀水」が、さらに翌年の63年に現チャペルのヴァンベール。
平成の時代も数々の施設を拡げてきた。(※椿山荘HP参照)
さて、私どもが顔合わせに利用する施設は木春堂(もくしゅんどう)である。
会席の予定時間は午後3時。
15分前に到着したフロアーでまずは顔合わせ。
お会いしてすぐさま自己紹介にご挨拶にふっと思った。
昔から存じているような感覚に陥ったのである。
目と目が合った瞬間に打ち解けたと思った不思議な感覚である。
お話は木春堂でと和服姿の職員さんが案内してくださった椿山荘の庭園。
生憎の曇り空にしっとり落ち着いた感のある庭園が映えない。
林泉回遊式庭園に植生する桜樹はほぼ満開。
晴れておれば美しく撮れると思ったプリンセス雅(みやび)。
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空が映えないから幹から直接的に咲く櫻花をとらえていたが、プリンセス雅の名に由来がある。
大島系山桜と緋寒桜との自然交配でできたとされるプリンセス雅。
新元号とともに天皇陛下になられる皇太子殿下と雅子様がご成婚されたのを記念に雅子様の名をいただいて命名されたようだ。
命名当時はプリンセス雅であったが、いつしか「雅」の一文字に移ったが、ここでは、私ども二人の新しき喜びの日にちなみ、祈念のプリンセス雅と呼ばせていただく。
すぐ傍に咲いていた櫻花は交雑種の陽光。
ホテル室内からガラス窓越しに拝見した櫻花は河津桜かなと思えるぐらいに輝いていた櫻花であるが、見込み違いをしていた。
さらに下ったところは赤い欄干が鮮やかな弁慶橋。
対岸から静々と歩く和装姿の新郎新婦が・・。
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和服姿の女性職員がついているから新郎新婦の前撮り。
欠かせない番傘は後方につく男性職員が持っていた。
ラッキーチャンスととらえて撮らせてもらうハレの日の予行演習のようなものである。
さらに下ったところに数体の羅漢さんがある。
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椿山荘HPによれば、江戸時代中期に京で活躍した絵師の伊藤若冲の羅漢さんのうち19体が、ここ椿山荘に寄せたようだ。
伊藤若冲が晩年に暮らした隠棲寺は京都伏見・深草にある禅宗黄檗宗石峰寺(おおばくしゅうせきほうじ)。
寛政年間(1789~1800)に同寺で伊藤若冲が描いた下絵をもとに石工が造立した五百羅漢像。
明治時代の廃仏毀釈の折りに同寺から散財、流出。
明治時代、山形有朋から譲り受けていた藤田平太郎の先代である藤田伝三郎に移り渡った19体の五百羅漢像。
一挙に椿山荘に移ったわけでなく大阪・都島区の網島屋敷に据えた。
やがて、長子平太郎のときの大正14年に椿山荘へ移設したようだ。
ここまで詳しい解説はしていなかった椿山荘の史跡巡りHP。
隣接する位置に、昔からこと地にあったとされる寛文九年(1869)作の庚申塔もある。
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深い彫りで作られた青面金剛をじっくり見たいが、先を急ぐ。
古香井(ここうせい)もあるらしいが、会食の時間が迫ってきた。
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時間もないから流水に着水した椿山荘に相応しい椿の花やシャガの花が咲き、熊笹から滴る秩父山系からの地下水が湧き出る湧水の流れを撮っていた。
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二人の記念写真はご神木など数か所。
スマホに撮ってもらっていた。
午後3時ジャスト、入口に着いた木春堂(もくしゅんどう)。
木造の木春堂に対して、向かいに建つ茅葺造りの茶室長松亭の全景を撮りたかったが、時間はない。
遅れないように顔合わせの部屋に案内する女性職員の後を追うばかり。
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木春堂は、昭和28年に神奈川県中津渓谷沿いに東急グループ創始者の五島慶太が所有していた田舎家を譲り受けて移設した建物である。
建物に風情を感じる趣のある木造階段を上がる。
床板もそうだが古びれた照りが素敵だ。
1階はフロアー。
全席がテーブル席のようだが2階にある“中庵”は個室。
明治から昭和の実業家である藤山雷太氏別荘の茶室。
昭和26年に移築した“中庵”は掘り炬燵だった。
お部屋は“中庵”でなく、個室“大椿”。
足元が温まって身も心もほぐれる掘り炬燵に祝いの会席。
椿山荘HPによれば15000円で贅沢に味わう大切な記念日にご利用をと案内していた映像はまさに同じ情景。
2カ所ある窓から眼下を覗けば桜の木に提灯が・・。
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目白台2丁目町会に文京目白台二郵便局の銘があるから神田川堤にある桜トンネルの散歩道を照らす提灯吊りのようだ。
撮った映像は「冠木門入口」辺り。
実は冠木門入口から入った散歩道。
林泉回遊式庭園は無料だと・・。
会席に付くスパークリングの飲み物に生ビール。
向かいの席に座られたお母さんも生ビール。
他は烏龍茶だったかな。
木春堂(もくしゅんどう)会席料理のお品書きは次のとおりである。
始めに配膳されたのは何。
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呑んでみてわかった塩漬けの桜花。
いわゆる桜湯である。
この時季に相応しい桜湯に和ませる。
前菜は紅白膾(なます)、いくら、子持ち昆布、祝い黒豆、松笠慈姑、竹胡瓜、梅花人参、的場海老、青菜おひたし、合鴨味噌漬け。
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どれから箸をつけてよいやら、迷い箸。
どれもこれも味わい深い会席料理に舌鼓。
生ビールがあっという間に2杯目のお代わり。
話題が弾む顔合わせ。
当初は何を話してよいやらと思案していたが、お母さんが上手く話題を引き出してくれる。
それに乗る私の話題提供。
帰り際に言った長男。
二人が話していた時間は9割だったと・・。
次の配膳は吸い物。
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蛤真丈(はまぐりしんじょう)、寿人参、青味、茸である。
このころ確か生ビールは3本目だったような気がするが・・。
次はお造り。
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本日の三種盛り合わせに妻一式である。
次は多喜(炊き)合わせ。
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鶴長芋、亀人参、海老旨煮、茄子揚げ煮、青味である。
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次の焼き物は国産牛サーロイン。
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焼き野菜、サラダも美味しくいただくころは切り替えて何かのチューハイだったような気がするが・・。
食べた料理はこうして撮っておいたからわかるものの、飲み物は撮るよりも口と喉が要求するから撮る気は起らない。
箸休めは茄子鴨炊き、糸賀喜、葱、唐辛子。
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これがむちゃ美味かった。
先ほどのサーロイン肉は美味いに決まっているが、これはとても上品な味。
そういえばこれまでいただいた食事はすべてに亘ってお上品。
ホホホ、と言いたいが・・肌に合わない。
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お味がよろしいからそのまま食べてしまいそうだが、香の物も。
赤出汁はとうとう撮り損ねた。
ここと温まる話題に酔いしれて、ラストの甘味は本日のもの。
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なお、「お米は国産米を使用しております」と書いてあったことを付記しておく。
会食時間は3時間。
お開きを催促されてバタバタした清算は二人が全額を支払ってくれた。
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忘れ物はないですか・・。
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椿山荘のロビーから撮った盛り花が美しい。
どうかこれからもよろしくお願いしますと挨拶し、椿山荘をでた。
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(H31. 3.23 EOS7D撮影)