映画のロケーション・スカウト、ジョン・ペラムが遭遇するトラブル。ロケーション・スカウトとは、制作する作品にふさわしいロケ地を探す仕事のこと。
ミズリー州のうらびれた町にふらりとビールを買いに出たのがその発端だった。それは紺色のリンカーンのそばを通りかかり不意に開いたドアに買ってきたばかりのビールが入った袋をぶつけられる。何本かが割れて白い泡を吹きあげた。
この車に乗っていたのは、地元の不動産業者フィリップ・ロンブロと殺し屋のラルフ・ベイルズ。ビール壜を割られたペラムがリンカーンの窓を叩いたが、車はすばやく走り去った。
その後、男と女が射殺されおまけに警官も撃たれる。実際はペラムが見ていないにも拘らず、重要目撃証人として警察と殺し屋から追い掛け回される。ペラムも逃げてばかりいるわけにも行かず手がかりを求めて苦闘する。すんなりとことは解決しないように出来ていて、チョットひねりを利かせて面白くしてある。
ストーリーを追うのもいいけれど、私はむしろ映画制作現場の描写に興味を持った。アクション場面の銃撃シーンに。銃を撃つのは空薬莢というのは知っているし、着弾地点に土塵を上げるのもコンピューター制御の爆竹を使うのも想像できる。ただ爆竹を取り付けられないもの、窓や水の表面の衝撃効果を得るためにワックス弾を発砲するとは知らなかった。現在でもそうなのかは確かでない。これらは著者の映画制作経験が役に立っているそうだ。