浄妙寺
杉本寺から歩いて数分のところに、このお寺はある。稲荷山と号し鎌倉五山第五位の寺格をもつ臨済宗建長寺派の古刹であり、臨済宗は釈迦如来を本尊とする。
源頼朝の忠臣で豪勇の士であった足利義兼(よしかね)(1199没)が文治4年(1188年)に創建し、はじめ極楽寺と称した。開山は、退耕行勇(たいこうぎょうゆう)律師(りっし:戒律を保ち、徳望の高い僧)で、当初は密教系の寺院であったが、建長寺開山蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)の弟子月峯了然(げっぽうりょうねん)が住職となってから禅刹にあらため、次いで寺名も浄妙寺と称した。
寺名を改称したのは正嘉年間(1257年~1259年)とみられる。中興開基は足利尊氏の父貞氏で、没後当寺に葬られた。至徳3年(1386年)足利義満が五山の制を定めたころは七堂伽藍が完備し、塔頭(たっちゅう)二十三院を数えたが、火災などのため漸次衰退し、現在は総門・本堂・客殿・庫裡等で伽藍を形成している。
境内は、国指定史跡。浄妙寺バス停の脇に寺の専用駐車場があって500円が必要。杉本寺と比べるとこちらの方が参拝者や観光客が多い。仁王門はなく(禅宗はないと思う)総門を入ると拝観料100円で入場を許される。
この禅宗のお寺は、どこでも神社を連想させられるのはわたしだけか。本堂から読経がかすかに流れてきた。庭の手入れで脚立が木に立てかけてあった。
レストランで順番を待つ人たち
そしてここには、石窯ガーデンテラスというレストランがあってかなり賑わっていた。お寺にレストランとは、商魂たくましい。墓場の陰か天上からか知らないが、開基の高僧は“後世の人間は高潔さに欠けるなあ”と苦笑いしているかもしれない。
竹 林
報国寺
浄妙寺からすぐのところにある。ここも人気のあるお寺のようだ。孟宗竹の竹林でも有名。建武元年(1334年)天岸慧広(れんがんえこう)の開山により創建されたと伝えられ、開基については足利尊氏の祖父足利家持とも上杉重兼ともいわれている。臨済宗における寺格は諸山に列せられていた。
永享10年(1438年)に起きた永享の乱で敗れた鎌倉公方足利持氏の子、義久がこの寺で自刃した。臨済宗建長派の寺院で、本尊は釈迦三尊(シャカとその両側に並ぶ文殊(もんじゅ)・普賢(ふげん)・三菩薩の三体)。
総 門
高級料亭を思わせる総門を入っていくとなだらかな上り坂の途中から本堂の屋根が見える。不謹慎かもしれないが、その本堂が宴会場に見えた。今から芸者を挙げて宴会でも始まる雰囲気だった。どうも仁王門で仁王像の門番に会わないと、料亭と錯覚するわたしはとんでもないヤツなのだろう。
本 堂
しかし、本堂の前に立つと、そこはやはり仏のお住まいだった。