“空腹の兎は跳ぶ“ 空腹が人間性で、兎は理性、跳ぶは、正義。法に従わず人間性や理性、正義に従うという組織の暗号である。この組織の対象とする人物は、殺人者やレイプ犯それに幼児性愛者といったところ。
高校で国語の教師を務めるウィル(ニコラス・ケイジ)の妻ローラ(ジャニュアリー・ジョーンズ)がレイプされひどい傷を負う。病院の休憩室で男が近づいてきた。サイモン(ガイ・ピアース)という。
「犯人を殺してやる。金は要らない。代わりにちょっとした頼みを聞いてくれるだけでいい」一見代理殺人であるが、そのちょっとした頼みが交換殺人になるのは目に見えている。
で、思い出すのは1951年ヒッチコックの「見知らぬ乗客」だ。要するに殺人には動機が必ず絡んでくる。ところが交換殺人になると、被害者との動機が全く見えてこない。そういう状況がものすごいサスペンスを生み上質のミステリーだった。
この映画は交換殺人というアイデアを引き継ぎ、それを組織的にしてあるのが目新しい。一旦この組織に絡めとられると確実に命を狙われるだろう。警察も1951年当時と捜査能力は格段に上がっている筈だ。仮にウィルが交換殺人を実行したとして、警察の捜査がウィルに迫ったとすると組織は確実にウィルを抹殺するだろう。なにせ警察にも組織の一員がいるんだから。
で、悪をがんがんやっつけるこういう組織を立ち上げたいと空想したことを思い出した。特に暴力団に対して強く思ったものだ。暴対法が出来たとはいうものの、相変わらず悪がはびこるのを見ていると歯がゆくなる。さて、ウィルは殺人を実行しなかったために組織に追われるハメになる。
観ても観なくてもどちらでもいい映画かな。
監督
ロジャー・ドナルドソン1943年11月オーストラリヤ生まれ。
キャスト
ニコラス・ケイジ1964年1月カリフォルニア州ロングビーチ生まれ。
ジャニアリー・ジョーンズ1978年1月サウスダコタ州生まれ。
ガイ・ピアース1967年10月イギリス生まれ。