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あれほど情熱を燃やして二人は結婚した。二人の子供は成人して所帯を持った。ふと気づいた時、寝室は別々、朝の食卓は、夫がスーツの上着とカバンを持って席に着く。ベーコン・エッグを食べながら新聞に目を通す。これが365日同じ。
夜、アーノルド(トミー・リー・ジョーンズ)は、ベッドでゴルフの雑誌を読んでいた。ドアにノックの音。
「入って!」ドアが開いて妻のケイ(メリル・ストリープ)が胸元も露なブルーのネグリジェ姿で立っていた。
「何? どうした?」とアーノルド。
ケイは、「思いついたんだけど、今夜ここで寝る」
「君の部屋どうかしたか。暑いか? エアコンなら……」
「違うの」
「じゃあ、何だ?」
「あのね。したいの」
「ああ、そうか……ちょっと俺は気分が悪い。昼にポークを食ってね。多分今夜はよした方が……」
「分かったわ」
「別に……」言い訳のようにアーノルド。
「じゃあね」とケイは出て行く。
妻はまだ枯れていないのに夫はあまり乗り気でない。寝室が別になるのは、決定的にこうなるのは分かりきったこと。そうではあっても、もうべたべたした夫婦関係にも飽きてくる。
この場面でメリル・ストリープの表現力のすごさが分かった。キスもしてくれないし触ってもくれない夫。満たされない欲求に翻弄される妻の表情が秀逸だった。
てっきり妻は浮気に走ると思って観ていたが、なんと精神科医フェルド医師(スティーヴ・カレル)のセラピーを受けることになる。夫婦間の不満の根源にはセックスがあると主張するフェルド医師の療法は、セックス・セラピーが主体となる。あれやこれやの面白いやり取りの後、もとの夫婦関係を取り戻すというハッピー・エンド。
しかしねえ。そんなに簡単に夫婦関係が青春時代のようになるとも思えない。ここで思ったのは、男女の関係で嫉妬という感情の効果もあるということ。
時間の経過と共に夫婦は性的無関心状態に陥っていく。年をとればとるほどその傾向は強くなる。そんな時、なにかの集まりなどでわが妻に異様な関心を寄せる男がいたとする。遠くで見ていると、妻もまんざらでもないようで二人の会話が盛り上がっているのが分かる。最近ほとんど見せない妻の笑顔がはじける。夫は少し妬みを感じる。
そういう場面が増えていき、近頃では妻が男の腕に触れたり、男が妻の肩を抱いて歩いたりするのを見ると強烈な嫉妬に包まれる夫。その夜、夫はレイプ犯もどきに変身する。まあ、こういうのもありかと連想させられた映画だった。
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監督
デヴィッド・フランケル1959年4月ニューヨーク生まれ。
キャスト
メリル・ストリープ1949年6月ニュージャージ州生まれ。
トミー・リー・ジョーンズ1946年9月テキサス州生まれ。
スティーヴ・カレル1962年8月マサチューセッツ州生まれ。