「愛してる。狂おしいほどに……あなたが必要だし失いたくない!」恋愛の始まりは大体こんな気持ちだろう。
その二人は、ジェイコブ(アントン・イェルチン)とアンナ(フェリシティ・ジョーンズ)だ。ロサンジェルスの大学を今卒業するところだった。
アンナは、イギリスからの留学生で卒業間もなくビザがきれる。ジェイコブは決まりどうり一旦帰国したほうがいいというが、アンナは燃え上がった炎に焼き尽くされたのか、あるいは法を超越する存在だと勘違いしたのかビザの期限を無視した。
アンナはアメリカに不法滞在したとして再入国が許可されない。これが二人を遠距離恋愛に落とし込む。ジェイコブは家具デザイナーとしてロサンジェルスで開業。アンナはロンドンで雑誌社の編集の仕事をしていた。二人をつなぐのは、携帯のメールと会話だけ。遠く離ればなれというのは、いい結果をもたらすことはない。
ジェイコブにもアンナにも恋人が出来た。しかし、心のどこかにお互いを消し去れない残滓が漂っていた。それでも会ったときには口げんかに発展することもある。やっと再入国の許可が下り、ロサンジェルスのジェイコブの家に落ち着いた。
広い仕事場や部屋を眺め回すアンナ。頭の中では、ここでジェイコブと恋人だったサム(ジェニファー・ローレンス)との生活に思いを馳せ表情に影が浮かぶ。ジェイコブとアンナには、卒業時の燃えるような感情が残っていないかに見える。
映画は、そういうやりきれない二人の表情のままエンディングとなる。二人が一緒になって、暗い表情のまま終わる映画は少ないだろう。
しかし、考えてみればこの映画も明るいハッピーエンドにしようと思えばできる。ちょこっと脚本を書き換えるだけでいい。でもあえてそうしなかったのは何故か。
彼らは、真っ白なキャンバスに絵を描こうとした。ところがうまく描けなかった。余計な線が引かれた上に新しい線を引くことになっただけ。どうするかは二人の問題。白い絵の具で消すのもいいし、そのままの上に描いてもいい。時間と知恵で解決出来るはずだ。二人に祝福あれ!
未公開が不思議だが、品格漂う映像と細かい心理描写で印象に残る映画だった。アンナを演じたフェリシティ・ジョーンズがキレイだった。その雰囲気を少しでも味わっていただくために、YouTubeのトレイラーをご覧ください。
映画『今日、キミに会えたら』
監督
ドレイク・ドレマス1983年3月カリフォルニア州オレンジ生まれ。
キャスト
アントン・イェルチン1989年3月ロシア、サンクトペテルブルク生まれ。
フェリシティ・ジョーンズ1984年1月イギリス、イングランド バーミンガム生まれ。
ジェニファー・ローレンス1990年8月ケンタッキー州ルイヴィル生まれ。
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