1915年コート・ダジュール。ピエール=オーギュスト・ルノワール(ミシェル・ブーケ)の屋敷へと続く山道を自転車に乗って向かうアンドレ通称はデデ(クリスタ・テレ)。ルノワールのモデルになるためだった。
母屋から離れたところにあるルノワールのアトリエに入り取り留めのない会話が始まる。デデは、率直で明るくルノワールをして「君とは一緒にやっていける」と言わしめた。
デデの裸体は部屋の中や屋外の光の中などルノワールがリューマチに悩みながらも絵筆が活発に動く。「肌が好きなんだ。若い娘のビロードのような肌理(きめ)が……」とルノワールは言う。
ルノワールは、1919年78歳で他界するが、その4年前ということになる。ルノワールの裸婦の絵を見ながら、どのような気持ちで描いていたのだろうと想像していたが、やはり男の視線に変わりなかった。ただ低次元の劣情とは無縁だろう。少なくとも絵筆が動いている間は。写真でいう被写体に過ぎないのかもしれない。
それ以外の時間にはれっきとした男に戻っているはず。モデルになった女性を妻にしているんだから。映画は、ルノワールの次男ジャン(ヴァンサン・ロティエ)が負傷して戦線から一時帰宅してデデとのロマンスも描かれる。
音楽もよかったし、なぜか心安らぐ雰囲気があった。それは、デデを演じたクリスタ・テレのヌードの見事さも大いに関係しているかもしれない。
ルノワールの裸体画も好きだが、「舟遊びをする人々の昼食」も好きな絵だ。特にテーブルの赤ワイン・ボトルの描き方が気に入っている。あれ意外に難しい。
監督
ジル・ブルドス1963年生まれ。
キャスト
ミシェル・ブーケ1925年11月パリ生まれ。
クリスタ・テレ1991年6月パリ生まれ。
ヴァンサン・ロティエ1986年フランス生まれ。
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