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これは一級のミステリーだと思う。運河を行き来するエンジン付き艀の雑役夫ジョー・テイラー(ユアン・マクレガー)は、女性の水死体を発見する。
引き上げたシュミーズ一枚のその遺体に意味ありげに手を触れるジョー。この艀にはレズリー(ピーター・ミュラン)とその妻エラ(ティルダ・スウィントン)とその息子が住んでいる。
そこへジョーが加わり狭い船室の仕切りは薄い板壁一枚だった。レズリーとエラ夫婦の夜の営みも筒抜けで板の割れ目からもその行為が覗ける。その日は、エラの「飲みすぎたのね」と言う言葉が聞こえた。
ジョーがエラを見る眼に淫らな気配が漂いだした。ジョーはレズリーに「ダーツに行こう」と誘われ同行したが酒場で頭が痛いといって一足先に船に戻った。エラを手に入れるのが魂胆だった。その目的は川辺の茂みで達せられた。
その行為はレズリーの目を盗んでたびたび行われた。やがてレズリーも二人の関係を知ることになり、エラの元を去った。ジョーの心に過去のキャシー(エミリー・モーティマー)の存在が影を落としていた。と言うのも、キャシーから妊娠を告げられ一緒に育てようと言うのを振り切ったときキャシーは足を滑らせて埠頭から運河に転落してしまう。ジョーはキャシーの名を呼ばわったが、キャシーは再び浮上することはなかった。
そして、のちに引き上げた水死体がキャシーなのを知っていながら、彼は動揺もしないし悲しみにくれることもない。そ知らぬ顔で女を漁ることをやめない。
警察は水死体を殺人事件として捜査していて付き合いのあった配管工を逮捕した。ジョーは裁判を傍聴した。陪審員は有罪とし、判事は絞首刑を宣告した。
ジョーの口元にかすかに笑みが見えた気がする。そして、キャシーの転落した埠頭に行き、「自分を見て 私を想って 愛を込めて C」と書いたキャシーの手鏡を投げ捨てた。あゆみ去るジョーの後姿をカメラは焦点を合わせずに追う。多分、見たくもない男だという軽蔑の意味を込めてあるのかもしれない。
相手の心と体をもてあそび、不要になれば簡単にゴミ箱に投げ捨てるように振り向きもしない。自己本位で鼻持ちならない男がジョーだ。好色で自分勝手な男を描いてある関係でセックスシーンはかなり大胆なものになっている。ジョーがエラの乳房を愛撫するシーンなどはかなりリアルだった。
それにしても、くそ野郎! と思われる男をユアン・マクレガーがよく演じたと思う。俳優のイメージと言う点ではマイナスに働かないだろうか。それとも「大きなお世話だぜ。大丈夫だよ」とユアン・マクレガーは言うかもしれない。
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監督
デヴィッド・マッケンジー1966年5月イギリス、スコットランド生まれ。
キャスト
ユアン・マクレガー1971年3月イギリス、スコットランド生まれ。
ティルダ・スウィントン1960年11月イギリス、ロンドン生まれ。
ピーター・ミュラン1959年11月イギリス、スコットランド生まれ。
エミリー・モーティマー1971年12月イギリス、ロンドン生まれ。
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