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邦題が「砂漠でサーモン・フィッシング」となっているので、イメージが果てしのない水一滴もない広大な砂の大地に川を作ってサーモンを放流するというお話かなと思ったが……原題は「イエメンでサーモン・フィッシング」とあり、なんのことはないイエメンでも東部には山岳地帯もあるようだし赤茶けた砂の広っぱを想像することもなかった。
フィリッツ&プライス投資コンサルタントのハリエット・チェトウォド=タルボット(エミリー・ブラント)から漁業・農業省のアルフレッド・ジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)宛にメールが届く。
曰く「私の依頼人は大変な資産家です。イエメンに鮭を導入し、娯楽としての鮭釣りを紹介したいそうです。まずはお会いして、プロジェクトの展開についてご相談しましょう。英国とイエメン協力体制の象徴として外務省の支持も得ています」
ジョーンズ博士の返信は「魚の専門家として一言。回遊性の鮭は、産卵のため酸素の多い冷たい水が必要です。さらに幼魚が生きていくためには、ヨーロッパ北部の河川に棲息するハエが餌として必要になります。インド洋や紅海はヨーロッパからは遠すぎます。外務省は理解していないようですね。イエメンでの諸条件も含め、このプロジェクトは実行不可能です。残念ながら、この件に関しこれ以上お手伝いできません」
実行不可能から理論的に可能になり実際に実現可能になるという人間の力強い意志は、同じ目的を持った男と女にもかなりの影響を及ぼす。男も女も一番輝くときとは、仕事でもスポーツでも一心不乱に追い求める姿だ。
「理論的」がキーワードのジョーンズ博士とハリエット(チェトウォド=タルボット こんな舌をかみそうな名前を考え出すよなあ)は、理論的に恋が可能の状態から、内から湧き出る情熱が実現可能へと導く。妻ある男と恋人のある女であっても、この情熱は差別しない。
ジョーンズ役のユアン・マクレガーは、不思議な魅力の持ち主に思えてならない。映画に余情を残すといえばいいか。この映画も英国らしい上品な雰囲気を漂わせていた。
いうなれば、表示誤りだと弁解する日本の超一流レストランと違って、名もない田舎のレストランで本物の料理を食べたときの至福のひと時といえばいいか。2012年12月劇場公開
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監督
ラッセ・ハルストレム1946年6月スウェーデン、ストックホルム生まれ。
キャスト
ユアン・マクレガー1971年3月イギリス、スコットランド生まれ。
エミリー・ブラント1983年2月イギリス、ロンドン生まれ。
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