都市と楽しみ

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ルポ 生活保護 本田良一 : まとまりがよく考えるもとになります

2010-10-22 06:07:14 | マクロ経済

筆者は北海道新聞の委員。道理で生活保護の多い釧路市の事例に詳しいと合点がいった。内容は、ルポとあるだけに、生活保護の法律的位置付け、意義、行政の対応実態と問題点、生活保護を受ける側の課題、対応策とまとまりが良い。とても分り易く、入門にぴったりだ。<o:p></o:p>

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生活保護の実態についてまとめると;<o:p></o:p>

厚生労働省「福祉行政報告例」では20106月における生活保護世帯は137万世帯、生活保護の受給者数は190万人とある。大体6人に1人の割合だ。貧困について、国立社会保障・人口問題研究所によると(200912月)、「過去1年の間に必要な食料を買えなかった」割合は15.6%で、厚生省の相対的貧困率15.7%と符合しているが、ほぼ生活保護の割合と同じだ。これはOECDの中でもアメリカについで2位の高さとある。生活保護費2.8兆円(150万円/人にあたる、なおこのうちうち約半分が医療費1.4兆円)<o:p></o:p>

日本は所得の二極化にともなってか貧困の率が高い社会だと驚いた。<o:p></o:p>

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 生活保護とは、生活保護法に①国家責任、②無差別平等、③最低生活保障、④補足性 の各原理に基づく。また社会保障は①社会保険、②社会福祉、③保健医療・公衆衛生、④公的扶助がある。<o:p></o:p>

ここで生活保護とは「事後救済」であり、「丸裸の人に着物」が前提で資産が無くなってからが問題との指摘がある。また、逆に恥ずかしいというスティグマ(心理的嫌悪感)もある。その前に、住宅費用の保護などの提案があり、実際的であると賛同する。<o:p></o:p>

経済自立偏重も課題で、支給額を減らすため「水際作戦」(生活保護申請)、「硫黄島作戦」(辞退届)などがあったが、本当に必要なのは、働けるように、日常生活意欲、就業体験、就労、資格取得という自立助長のための行政システムつまりはケースワーカーや職員が必要とある。また、就労への対応が、結局コストも掛からないとある。<o:p></o:p>

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特に指摘されているのが教育問題で、「貧困の連鎖」の元凶とある。そのためには、ボランティアの勉強会や地域、知り合いのネットワーク強化と広い視点の確保、子供の保護が挙げられている。また、特にシングルマザーで、働いたほうが生活保護より収入が少ないのも問題としてある。教育のため、また働くインセンティヴにも、税制の税額控除、奨学金、住宅補助などが挙げられている。<o:p></o:p>

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貧困でもっとも考えるべきは子供と教育だ。これはアップタウン・キッズでも同様だった。学ぶことと学ぶ場、それを生かせる生活を考えなくてはと感じた。<o:p></o:p>

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コメント
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