2015年5月に「企業移転要因の分析から見た大阪の主要なオフィスセンターの特性と変容 Ⅱ」( http://www15.plala.or.jp/n7ohshima/oosaka%20office%20center%202.pdf )として、2008年から13年3末まで577件の移転を論文にとりまとめた。その後、17年末までの約5年間を分析しているが、大阪のオフィス不足は深刻だ。
最近、東洋経済「再開発」記事(https://str.toyokeizai.net/magazine/toyo/)があり、大阪はオフィス不足が深刻化とあるが、京都もそうだ。神戸も足りない。というのも、リーマンショック後の空室増加と賃料下落をうけ、オフィス開発が止まり、インバウンド狙いのホテルか住宅開発になったからだ。
しかし、ホテル(旅館)と簡易宿泊所、民泊の大量供給があり、CBRE調査では「ホテル過剰」( https://www.cbre-propertysearch.jp/article/hotels_hotel_market-outlook2020-vol4/ )との分析もある。
ホテルは需要の伸びが、稼働率の向上と客室単価の増加により収益が急増する収益特性があり、景気の影響を大きく受ける、収益変動の大きい産業だ。(似ているのは、受注と単価のゼネコンだ)そのため、今後は競争が激しくなると予想される。また、マンション供給も多かったが値段が高くなり需要は頭打ちとも聞く。
その一方、大阪と京都はオフィスがなく、空室率の低下と賃料の上昇が続いている。京都では、京都市もオフィス開発を促進するため都市計画の高さ規制を見直す動きもある( https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45968230R10C19A6LKA000/ )
ホテル開発へのラッシュ的参入は、マクロ的見解で「飽和しない」と思われていたこと、収益が「現在は」良いということなどで、ディベロッパーが踊らされていたとしか思えない。マンションも同様で、新規案件が少なく、中古の売却と取引に向かっているようだ。
その結果、都市として安定的に必要なオフィスが不足している。大阪と京都ではオフィス開発や再開発を急ぐ動きがある。しかし、更地でも大型オフィス竣工には、設計・許可・建設で2~3年はかかる。2022年以降にやっと新規ビルができる頃合いになる。その頃にはオフィス不況が始まっているかもしれない。
歴史は、慌てて作って、竣工したころには経済が変わっているというサイクルを証明している。マクロ経済を読んで、競合を分析し、独自の道を歩むディベロッパーは少ない。また、行政の規制・緩和も後手に回り勝ちだ。
不動産の用途、競合、需要をマクロで分析するのが基本だ