工程と作品 2016-03-08 | おきにいり オーストリアの指揮者ニコラウス・アルノンクールが亡くなりました。 オリジナルを追求する厳密な指揮に加えて、古楽の演奏や歴史的楽器のコレクションでも知られています。 以前に収録されたインタビューが、追悼番組として再放送されました。それによると、父親が音楽的才能に優れ、本当は音楽家になりたかったようですが、家柄のためもあってか海軍将校となり、その後エンジニアになりました。両親揃って反ナチスでしたが、息子ニコラウスは、家柄と金髪青目のため、ナチスの理想的アーリア人の少年ということで学校では特別のクラスに入れられ、それが非常に不快な思い出であると語っています。 私もアルノンクールの指揮によるコンサートやオペラを何回か見て(聴いて)いて、尊敬する指揮者でした。そのアルノンクールがベートーヴェンの第5番「運命」を指揮しているYouTubeがありました。 リハーサルの様子(指揮者の制作工程) 同じオーケストラによる本番、「運命」の第1楽章(指揮者の作品) リハーサルの中でアルノンクールが「美とは破局の崖っぷちだ」と言っているのが印象的です 日本語ウィキでは英語風にアーノンクールと表記されていますが、現在のオーストリアの発音ではハルノンクール、本来のフランス語人名の発音にはアルノンクールが近いと思います。 フルネームがJohannes Nicolaus Graf de la Fontaine und d’Harnoncourt-Unverzagt(ヨハネス・ニコラウス・グラーフ・ド・ラ・フォンテーヌ・ウント・ダルノンクール-ウンフェアツァクト)。父方の祖先はロレーヌ公国(ロートリンゲン)の貴族でアルノンクール(当時ロレーヌの領土、現在ベルギー)に移住してから苗字にダルノンクールが付け加えられました。ニコラウス・アルノンクールの母は、ヨーデルでも知られるヨハン大公の曾孫に当たります。 夫人のアリス・アルノンクールはバイオリニスト、メゾソプラノのエリーザベト・フォン・マグヌスは娘の一人です。 蛇足ながら、ロレーヌはややこしい、つまり、とてもヨーロッパ的な地域です。 ロレーヌ地域圏 アルザス=ロレーヌ