美術史博物館の
ひっぽ(青カバ)様とともに、必ず思い出す人物。
オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフの弟でメキシコ皇帝となった
フェルディナント・マックスです。
ひっぽ様は、もともとフェルディナント・マックスのコレクションで、居城であった
ミラマーレ城に展示されていたのです。
メキシコでマクシミリアン皇帝が共和国軍によって銃殺された後、他の所蔵品とともにウィーンに引き取られました。
青カバ様を見ると、フェルディナント・マックスの趣味の良さを感じるのです。
メキシコに傀儡の皇帝を擁立するというのは
ナポレオン3世の野望で、フェルディナント・マックスは始め辞退したのですが、妻の
シャルロッテに説得されて受諾したということです。
ベルギー王女の彼女にとっては、夫が皇帝となるのは喜ばしいことと考えられたのでしょう。
メキシコ国民の要望で皇帝に即位するのだと考えていたフェルディナント・マックスですが、メキシコの国情は全く違うものでした。
当初はメキシコ皇帝を援護したナポレオン3世も、国際情勢の変化と共和国軍優勢という事態に直面しフランス軍を引き上げてしまいました。
フェルディナント・マックスは、それでも彼に従うという帝国軍とともに
ケレタロに撤退、そこで共和国軍に逮捕され銃殺刑となったのです。
メキシコ皇帝としてのフェルディナント・マックスの最期の様子からは「矜持」という言葉を思い出します。
他国語には翻訳されていないと思いますが、フェルディナント・マックスに従ってメキシコへ移り、最後まで皇帝に従ったオーストリアの
ケーヴェンヒュラー伯爵の日記が出版されています。
「事実は小説より奇なり」の典型例と言えるでしょう。
共和国軍の勝利、皇帝の処刑の後、外国人は国外退去となり、ケーヴェンヒュラー伯爵の日記も本人とともにオーストリアへ戻ったのです。