オーストリアでは、昨年「
聞くも涙語るも涙」で紹介した政界大スキャンダルで内閣不信任が可決され9月に選挙が行われました。
それまで連立政権を構成していた極右政党は当然後退しました(スキャンダルの壊滅的内容にもかかわらず得票の減り方は「控え目」でした)。
連立政権を主導していた国民党も、スキャンダル政党とは連立しにくく、
緑の党と連立政権の交渉が行われ、新年早々に連立政権が発足。
その連立政権で法務大臣になったのが緑の党のアルマ・ツァディッチです。
近頃は女性の大臣や首相、大統領も珍しくありませんが、彼女は
ユーゴスラビア紛争の戦火を逃れて、
ボスニア・ヘルツェコビナからオーストリアに来た両親の子供で、当時は10才でした。
ウィーン大学で法学を専攻したあと、幾つかの国際機関に勤務、イタリア留学のほか、ニューヨークのコロンビア大学にも留学しています。現在は法学博士号も有し、35才とはいえ申し分ない人選と思いますが、残念なことながら当然にもネオナチや排外主義者から集中攻撃を浴びています。ヘイトポスティングだけでなく、直接の暴力攻撃もあるのではと懸念されます。
戦火を逃れてきた難民の子供が受け入れ先の国で高等教育を受け、国際舞台でも活躍し、法務大臣になったのは、その国の民主主義を証明する喜ばしいことだと思います。
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パイオニア
ツアディッチについては
ドイツ語ウィキの記事のほか数ヶ国語の記載がありますが英語はありません。そのうち英語ウィキの記事も現われるかも・・・