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みみずのしゃっくり

みみずのしゃっくりのように役に立たないことを不定期に書き込むブログ。
専属スターはいませんが、猫っぽい内容です。

脱原発へ踏み出すスイス

2019-09-25 | その他

9月23日付けNZZの記事です。


「愈々カウントダウン:ミューレベルク原発廃炉計画開始まで、あと2ヵ月」というタイトル




以前書きましたが、最初の原発計画段階で国民投票により原発を拒否したオーストリアとは対照的に、スイスは原発に積極的でした。
そのスイスが、福島第一原発事故によって脱原発に大きく方向転換しました。

2011年スイス各地で脱原発のデモが行われ、国民が脱原発を表明すると、国も企業も、これを受け入れたのです。
これを民主主義と言うのですよね
そして廃炉第1号であるミューレベルク原発の廃炉実施計画が詳しく新聞に紹介されています。これも民主主義です
廃炉実施計画は6年前から作成されていたそうです。

記事の内容、というより廃炉への道程は複雑で、これを詳しく紹介しようとすると、私が原子炉のしくみその他を勉強しないといけないので、詳しい紹介は諦めます

先ず目につくのは、計画の最終達成段階が2037年に設定されていることです。
18年かかるのです。

2019年12月20日に発電が停止されます。2020年核燃料が取り出されます。ここから段階的にクールダウンさせ2024年に核燃料を施設から運び出します。ここから段階的に次の作業が進められ2030年には放射能事故の可能性皆無の状態とし2031年に廃炉が完了します。
更に2034年まで通常の解体作業が段階的に進められます。
ここから施設の新たな利用が始められ2037年に全プロセスが終了します。

しかも、莫大な費用を調達する具体的な資金計画も作成されています。「国に泣きついて国民の税金をまわしてもらおう」などという安直な態度ではありません。

原子炉を廃炉にするのは、電気のスイッチを切って「はいおしまい」というようなわけにはいきません。何十年もかかり膨大な費用を要する廃炉を実施するのは無理だと言う人もいるかも知れません。
しかし100%安全な原発が永遠に運用できるなどということは皆無なので、世紀単位で地球の未来を考えれば、新たなエネルギー源を開発し長期計画で脱原発を実施するよりほか安全な道はないと思います。


 追記

スイスのミューレベルク原発は廃炉まで18年です。これは、この原発が放射能漏れなどの事故を一切起こしていない「健全な原発」だからです。大事故が起こってしまってからでは、放射能汚染の拡大を抑え除去するなど膨大な「事故対策」が必要となります。しかも放射性同位体の放射能が物理的に十分の一となるまで、最長の例では150億年で、まあ人類にとっては永遠ということになります。

国に頼らず自立している原子炉運営主体の立場からは「健全な原発」を廃炉にすることが最良の策となります。






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2 コメント

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🌱 (イクラ)
2019-09-27 07:51:48
こんにちは!
台風被害で千葉県は行政の運営のあり方に疑問や不満が噴出している様ですが、国民一人一人の責任がこの様な場面ではっきり形となって出てくるのでしょう。
目先の事だけでなく、しっかり自分の目で判断できる考えを持って日々暮らす事が如何に大切かを知らしめている様にも感じます。

さて、福島第一原発事故によりスイスが考え方を改めた事は本当に大事件であることの証しでしょうか?にも関わらず当事国の日本はなんのその、汚水処理水の問題で責任の押し付けごっこを只今勃発中。
原発に関しては前にも述べましたが、チェリノブイリの跡地を見れば一目瞭然、なのに忘れられている様な状況・・・
よくは知らなかったのですが、原発処理(廃炉)までの道のりは50年やら100年やらの単位で実施されるのだと思っていたので、2035年の15年先の話であれば現実的な行動として受け止められそうですが、現在の日本は行き当たりばったりのその場しのぎの行動が多くの国民を不安にし、再稼働が次々、なぜでしょ〜なぜだろ〜と時間が流れています。
この場で新しいインフォが得られたのは私だけかもしれませんが、少し希望が見える様にも感じています。
そうですね、経済第一に走る日本の課題は、新しい安全なエネルギー源をどこに求めるかが第一の課題の様な気がします。
そして多額を出資して完成したものには多額の費用をかけて処理しなければならないと言う事。

参考になるインフォメーション、有難うございます。
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イクラさん (ななみみず)
2019-09-27 21:56:15
ウィーンは今27日の金曜日で、金曜日の環境保護デモが行われている最中です。新聞HPでもトップ記事になっていて、オーストリアの歴史上最大の環境保護デモになると報じられています。オンラインの同時報道も続いています。今回は世界数十カ国で集会やデモが行われる(行われている)ということです。
しかし日本の主要な新聞HPを見たところ、世界規模での環境保護デモに関する報道は全くありません。集会やデモ行進は国民が意思表明するための国民の権利のはずですが、何も報道がなければ多くの国民が知らないまま過ぎてしまうことになります。

スイスの廃炉第1号の作業が20年以内で完了するのは、この原発が正常に稼動している「健康な原子炉」だからです。
チェルノブイリや福島第一のように大事故が起こって放射能汚染が極めて危険な状況になっている場合は、当然50年かそれ以上の歳月が必要になるでしょう。

以前にも書きましたが、地震と台風が多い先端技術の国である日本こそ、世界の先頭に立って安全なエネルギーを開発してほしいと思うのです。
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