みみずのしゃっくり

みみずのしゃっくりのように役に立たないことを不定期に書き込むブログ。
専属スターはいませんが、猫っぽい内容です。

渦中の人

2020-12-13 | その他

最年少でフリードリヒ・カール・クラウジンクを紹介した続きです。







先ず、第二次大戦中ドイツ軍の神経中枢を掌握し指揮していた人。
エーリヒ・フェルギーベル通信兵大将です。
通信部門は神経系統ですから、軍の移動や作戦遂行の中枢と言えます。しかも、この人は極めて優秀な通信技術の専門家でした。ヒトラーに対しても批判的で、これはヒトラー自身も分かっていたのですが、フェルギーベルが不可欠の存在であったため更迭できませんでした。
1944年7月20日の事件後、フェルギーベルもゲシュタポに逮捕され、いわゆる人民法廷(反ナチスの人々を殺すための法廷)で死刑の判決を受けました。死刑を言い渡したフライスラー司法長官に対しフェルギーベルは「それなら急いだ方がいいですよ。さもないと私たちがあなたを処刑しますから」と言ったそうです。自らの選んだ方向と行動について確信を持つ人の発言だと思います。

ところが!ゲシュタポはフェルギーベルについて出鱈目の書類を残しました。そして映画「ワルキューレ」では、ゲシュタポが残したデタラメに基づいてフェルギーベルが描かれているということです。私は映画を見ていませんし、見る気もありません。しかしゲシュタポの資料だけで平気で役作りするという安易さはオソマツだと思います。それに信頼できる本格的な歴史書や伝記を読む人よりは、映画だけ見た人の方が遥かに多いでしょうから、間違ったフェルギーベル像を記憶する人が遥かに多いでしょう。しかし、いずれは正しい歴史的事実が残されると期待しています。








ワルキューレ作戦の計画・修正・実行を担った実質的中心人物ヘニング・フォン・トレスコウ少将
沈着・冷静・粘り強さを併せ持つ、いわば武人と言える人でしょう。

その粘り強さはヒトラー暗殺計画を読むと良く判ります。





私はドイツを中心とする西洋史を専攻したので、もともとナチスに関する本も読んでいました。しかし7月20日事件にかかわる人々の伝記として最初に読んだのはヘルムート・シュティーフの妻に宛てた書簡集でした。それからゲオルク・エルザーの伝記を読みました。いずれもドイツの週刊紙Die Zeitの書評を読んで興味を持ったからです。
最近になって漸く読んだのが盲目の鏡で触れたハインリヒ・フォン・レーンドルフの伝記です。この伝記の著者が、もうひとりの歴史家と共著で出版されているのが下の本です。ドイツ語から素朴に直訳すると「シュタウフェンベルクの道連れ」。つまり同志ですね。







以前にも書いていますが、第一次世界大戦の戦後処理ヴェルサイユ条約は、フランスとイギリスの間で戦争が始まるのを避けるため、ドイツに酷い条件を押し付けるものでした。ですから、ヒトラーが登場した当初は、多くの人々がドイツ再生への道と期待したのです。しかしユダヤ人差別と虐待、更にドイツ軍占領下での残虐行為などを目の当たりにして、明確に反ヒトラー・反ナチスに回った人も多かったのです。
そういう人たちが黒いオーケストラのメンバーでした。


多分、暫くしてからあと2回くらい続くかも・・・





最新の画像もっと見る

コメントを投稿