妹のきんかんは遺跡海岸最後の作品作りに懸崖松を選んだ。
きんかんはこのしたたかに生き抜いてきた懸崖松を見たとき”母だ”と言った。
私たちの96歳になる母はいろんな身体機能が落ちているが楽しいことを見つけ元気に生きている。
通称ヤエコ松、遺跡海岸も私たちが勝手につけた名前だ。
母は死ぬまで買い物をすると言っていたが同じく買い物好きなきんかんと今でも出かけている。
下に生える苔で滑ると大騒ぎしながら作っていたが風雨や波と戦いながらしたたかに生き抜いてきた懸崖松もきんかんの手にかかると苦労で曲がった枝さえも軽やかに見えてくる。
クラフト展(イエツァオグループによる)の参加作家の和子さんより頂いた網の籠の中には華やかな色合いの帯地が入っている。
きんかんの作業風景。
がっちりと岩に食い込んだ根が力強い。