Sさんに「クリック音を正解と教えるためにオヤツをあげて
音を良いものとまず最初に関連付ける必要はないの?」と聞いてみました。
犬が今までとは違うアクションを起こしたときに、クリックをしてご褒美をあげることを
繰り返していると、自然とこの音が正解のマークとして認識されるので
その必要はないということでした。
これはクリック音じゃなくてもオモチャの音でも何でもいいそうです。
正解に対するクリックと報酬は2回までだそうです。
実際に子犬を使ってやって見せていただいたのですが、不思議なことに
2回ほど正解だったことが3回目にやってみるとご褒美が出ない。
すると「アレ??」って表情をして、手で触ってみたりするわけです。
2つ目の正解の出現ですね。
驚きました。服従訓練では、一つの正解が最終目標としてあるわけです。
そこを崩さないように少しづつ誘導を外して選択させるわけです。
なので正解をマークするまでに物凄く時間をかけて行くんですね。
誘導を外して犬が「分かった!!」ってなるまでに慎重に時間を費やすんです。
ところが、クリッカーを使用した場合、2つ目の行動の出現が意外と速く訪れる。
犬って一つの行動にもっと執着するものだと思っていたのですが、
意外と柔軟性があると言うことに気づきました。
Sさん曰く、「これは頭の体操だから」だそうです。
そして気付いたのは、クリック音は報酬ではなくて、単なる正解のマークでしかないと言うこと。
犬にとって、この音は、「OKってことだよね」の納得のしるしなのですね。
私が欧介でやっていて失敗したのは、服従訓練のやり方でオヤツをクリック音に
すり替えようとしただけだったから、上手くいかなかったのでしょう。
良さそうなところを摘まんで取り入れてもダメなんですね。
本来の目的がずれちゃってるんです。
その時は、「な~んだ、クリッカーってこんなものなんだ~」ってバカにしたのも確かです。
「カチカチ鳴らしてないで、ちゃ~んと褒めてやればいいんじゃない?」
って思ったのも確かです。
でも、服従訓練と言う一つの方法を私なりに10年間続けてきて、欧介と蒼太を育て、
家庭犬として満足のいく結果を得たことで、犬育てに自信が持てるようになりました。
あらためてクリッカーに出会ってみると、以前とは全く違った見方ができる。
それは、一つの事を10年もの間追求し続けたからこそ見えてきた視点だと思うのです。
今までは、「犬の執着」と言う部分が私の訓練の中で最も大きなキーワードでした。
これをいかに作るか、持たせるか、ここを追及した10年間でした。
新たに、「犬の柔軟性」と言う部分を追及してみたいと思った出会いでした。
今日もお帰りの際には欧介兄さんのお鼻をポチットしていただけると嬉しいです。