9時、起床。ウィンナーソーセージとキャベツの炒め、トースト、里芋の味噌汁の朝食。今日も暖かなよい天気だ。
午後、散歩に出る。山種美術館で開催中の「桜さくらサクラ―さようなら、千鳥ヶ淵―」を観に行く。山種美術館が日本橋兜町から千代田区三番町に引っ越して11年目になる。毎年、この時期には、隣接する桜の名所である千鳥ヶ淵にちなんで桜を描いた絵画(日本画)の展示会を開いていたが、それが今回で最終回。本年、10月に広尾に引っ越すからである。
九段下の駅を降りると(地上に出ると)、目の前の昭和館で「ワーナー・ビショップ写真展 ~新しい日本と永遠なるもの 1951-52年~」と題した特別企画展をやっていた。しかも入場無料である。山種美術館へ行く前にまずこちらから。昭和館に入るのは初めてである。
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昭和館の隣は九段会館(旧軍人会館)
ビショップは、ロパート・キャパの発案で生まれた写真家集団「マグナム」のメンバーの一人で、世界各地を回って、日々刻々変化する世界の様子をカメラに収めることを仕事にしていた。ビショップが日本にやってきたのは1951年の夏で、1年余りを過ごした。しかし、1954年5月、ビショップはペルーを取材中にアンデスの谷間に自動車が転落して亡くなる。享年38歳。没後、写真集『Japon』が刊行された。今回の写真展は、『Japon』に掲載された作品と未発表作品から構成されている。とりわけ興味深かったのは、ビショップが任意に選んだ二人の若い世代(ジェネレーションX)の男女の日常を追ったシリーズ。男性はスマ・ゴローという京都の大学生。女性はミチコという東京の洋裁学校の学生。二人の姿勢や表情がいい。大学のラウンジで、下宿で、友人たちと一緒にいるスマ・ゴロー。自宅の台所で調理をしている、電話を掛けている、学校でデッサンの勉強をしている、神田のホームで電車を待っている、銀座を歩いているミチコ。二人に共通するのは未来を信じていることだ。スマ・ゴローは仮名で、本名は成田洋一。当時、京都大学大学院の国文科の学生だった。2008年10月に亡くなっている。一方、ミチコは本名飯沼道子。目黒のドレスメーカー学院(現在の杉野学園ドレスメーカー学院)のデザイナー養成科の3年生だった。自宅は浦和にあり、父親は裁判官だった。しかし、卒業後の消息は不明(今回の企画にあたって徹底したリサーチが行われたはずだが、それでも不明なのだから、ちっとやそっとのことではわからないと思うが、万一、お心当たりの方は昭和館の方へご一報下さい)。台所で調理をしながらこちらを振り返った一瞬の表情が印象的だ。私にはミチコが結婚前のサザエさんのように見える。後に皇太子の妻となる女性と同じ名前をもった彼女のその後の人生がとても気になる。それは1つの事例でありながら、同世代の女性たちの典型のように思えるのだ。写真展は4月19日まで。通勤・通学に地下鉄東西線、新宿線、半蔵門線を使っている方は、ぜひ九段下で下車して立ち寄ってみてください。定期券を利用しているなら電車賃もかからない。入場料も無料。絶対損はさせません。千鳥ヶ淵や靖国神社の桜もこれから見ごろになります(広報担当か)。
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台所に立つミチコ、浦和、1951年
山種美術館は、九段坂を登り、千鳥ヶ淵の桜並木を歩き、途中で鍋割坂を上がって内堀通りに出たところにある三番町KSビルの1階にある。さほど広い美術館ではないが、内容は充実している。桜は日本画の題材としては富士山に並ぶものであろう。接写してもよし、遠望してもよし。一本桜を描いてもよし、群生する桜を描いてもよし。真昼の桜もよし、夜桜もよし。今回、一番心惹かれたのは、奥村土牛の「醍醐」(1972年)。京都の醍醐寺の枝垂桜を描いたもので、土牛83歳のときの作品である。うっとりしてしまう。売店で絵葉書を30枚購入(全部違う作品)。一枚100円とはいえ、30枚となるとそれなりの出費である。「醍醐」の複製画(ミニチュア)が額付きで1万円で売っており、あやうくそれも購入しそうになったが、かろうじて思いとどまる。観たくなったらまた実物を観にくればいい。
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近くまできたついでなので、竹橋の東京国立近代美術館にも行ってみる。常設展だが3月14日に展示作品の入れ替えがあり、1月2日に来たときには展示されていなかったお気に入りの和田三造「南風」(1907年)と久しぶりに対面することができた。いつものように申し出て、写真撮影許可のワッペンを肩に貼ってもらう。写真撮影OKの件はあまり知られていないようで、同じような人と一緒になったことがない。盗み撮りをしていると勘違いされないように、構図を定めて、堂々と撮る。
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売店で買物をしてから、併設されているレストラン「クイーン・アリス アクア」で遅い遅い昼食(スパゲッティ・ナポリタンと珈琲)をとる。出品作品リストとデジカメの写真を照合して対応関係を記録しておく(時間が経つとわからなくなってしまうので)。ナポリタンは美味しかった。700円と値段もリーズナブル。ただし珈琲(400円)を一緒に注文しても喫茶店では当たり前のセット料金サービスはない。目の前は皇居。これからの桜のシーズンは混むだろうな。帰りは銀座へ出て、伊東屋で買物(イートンペンシルを赤白各18本購入)。夕方の銀ブラももう寒くはない。
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午後、散歩に出る。山種美術館で開催中の「桜さくらサクラ―さようなら、千鳥ヶ淵―」を観に行く。山種美術館が日本橋兜町から千代田区三番町に引っ越して11年目になる。毎年、この時期には、隣接する桜の名所である千鳥ヶ淵にちなんで桜を描いた絵画(日本画)の展示会を開いていたが、それが今回で最終回。本年、10月に広尾に引っ越すからである。
九段下の駅を降りると(地上に出ると)、目の前の昭和館で「ワーナー・ビショップ写真展 ~新しい日本と永遠なるもの 1951-52年~」と題した特別企画展をやっていた。しかも入場無料である。山種美術館へ行く前にまずこちらから。昭和館に入るのは初めてである。
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昭和館の隣は九段会館(旧軍人会館)
ビショップは、ロパート・キャパの発案で生まれた写真家集団「マグナム」のメンバーの一人で、世界各地を回って、日々刻々変化する世界の様子をカメラに収めることを仕事にしていた。ビショップが日本にやってきたのは1951年の夏で、1年余りを過ごした。しかし、1954年5月、ビショップはペルーを取材中にアンデスの谷間に自動車が転落して亡くなる。享年38歳。没後、写真集『Japon』が刊行された。今回の写真展は、『Japon』に掲載された作品と未発表作品から構成されている。とりわけ興味深かったのは、ビショップが任意に選んだ二人の若い世代(ジェネレーションX)の男女の日常を追ったシリーズ。男性はスマ・ゴローという京都の大学生。女性はミチコという東京の洋裁学校の学生。二人の姿勢や表情がいい。大学のラウンジで、下宿で、友人たちと一緒にいるスマ・ゴロー。自宅の台所で調理をしている、電話を掛けている、学校でデッサンの勉強をしている、神田のホームで電車を待っている、銀座を歩いているミチコ。二人に共通するのは未来を信じていることだ。スマ・ゴローは仮名で、本名は成田洋一。当時、京都大学大学院の国文科の学生だった。2008年10月に亡くなっている。一方、ミチコは本名飯沼道子。目黒のドレスメーカー学院(現在の杉野学園ドレスメーカー学院)のデザイナー養成科の3年生だった。自宅は浦和にあり、父親は裁判官だった。しかし、卒業後の消息は不明(今回の企画にあたって徹底したリサーチが行われたはずだが、それでも不明なのだから、ちっとやそっとのことではわからないと思うが、万一、お心当たりの方は昭和館の方へご一報下さい)。台所で調理をしながらこちらを振り返った一瞬の表情が印象的だ。私にはミチコが結婚前のサザエさんのように見える。後に皇太子の妻となる女性と同じ名前をもった彼女のその後の人生がとても気になる。それは1つの事例でありながら、同世代の女性たちの典型のように思えるのだ。写真展は4月19日まで。通勤・通学に地下鉄東西線、新宿線、半蔵門線を使っている方は、ぜひ九段下で下車して立ち寄ってみてください。定期券を利用しているなら電車賃もかからない。入場料も無料。絶対損はさせません。千鳥ヶ淵や靖国神社の桜もこれから見ごろになります(広報担当か)。
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台所に立つミチコ、浦和、1951年
山種美術館は、九段坂を登り、千鳥ヶ淵の桜並木を歩き、途中で鍋割坂を上がって内堀通りに出たところにある三番町KSビルの1階にある。さほど広い美術館ではないが、内容は充実している。桜は日本画の題材としては富士山に並ぶものであろう。接写してもよし、遠望してもよし。一本桜を描いてもよし、群生する桜を描いてもよし。真昼の桜もよし、夜桜もよし。今回、一番心惹かれたのは、奥村土牛の「醍醐」(1972年)。京都の醍醐寺の枝垂桜を描いたもので、土牛83歳のときの作品である。うっとりしてしまう。売店で絵葉書を30枚購入(全部違う作品)。一枚100円とはいえ、30枚となるとそれなりの出費である。「醍醐」の複製画(ミニチュア)が額付きで1万円で売っており、あやうくそれも購入しそうになったが、かろうじて思いとどまる。観たくなったらまた実物を観にくればいい。
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近くまできたついでなので、竹橋の東京国立近代美術館にも行ってみる。常設展だが3月14日に展示作品の入れ替えがあり、1月2日に来たときには展示されていなかったお気に入りの和田三造「南風」(1907年)と久しぶりに対面することができた。いつものように申し出て、写真撮影許可のワッペンを肩に貼ってもらう。写真撮影OKの件はあまり知られていないようで、同じような人と一緒になったことがない。盗み撮りをしていると勘違いされないように、構図を定めて、堂々と撮る。
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売店で買物をしてから、併設されているレストラン「クイーン・アリス アクア」で遅い遅い昼食(スパゲッティ・ナポリタンと珈琲)をとる。出品作品リストとデジカメの写真を照合して対応関係を記録しておく(時間が経つとわからなくなってしまうので)。ナポリタンは美味しかった。700円と値段もリーズナブル。ただし珈琲(400円)を一緒に注文しても喫茶店では当たり前のセット料金サービスはない。目の前は皇居。これからの桜のシーズンは混むだろうな。帰りは銀座へ出て、伊東屋で買物(イートンペンシルを赤白各18本購入)。夕方の銀ブラももう寒くはない。
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