7時、起床。
私にとっては非常に早起きである。でも、前夜は10時半に就寝したので、睡眠時間としては足りている。
今日もいい天気だ。
7時半、朝食。これは私にはなかなかつらい。第一に、こんなに早い時間に朝食はふだんはとらない。たいてい起きてから2時間くらい経過してから朝食をとる。第二に、私は朝はパン(トースト)と決めている。ご飯は重い。まして昨日の夕食はふだんはしないご飯のお替りをしてしまった。空腹感はない。しかし、郷に入らば郷に従えである。とはいうものの、やはりこんなに早い時間にご飯をしっかり食べるのはつらい。ならば、朝食はビュッフェ形式だから、ご飯の量やおかずの量も少なくすればいいのだが、調理人さんたちのご苦労を思うと、ちゃんと食べないといけないという気持ちになるのである。時間をかけて完食する。
食後、ベランダにいた学生たちの写真を撮る。「1・2・3」でジャンプしてみて。
1・2・3(ジャンプ!)。はい、ワンテイクでOK。青春っぽい一枚。
1時間ほど部屋でのんびりしてから、チェックアウトのためのあれこれの作業(布団カバーやシーツや枕カバーを外して処定の場所に持って行く、ゴミ出し、荷造り、食費の清算、ルームキーの返却などなど)。
9時半に荷物を持ってロビーに集合。
夏の雲が出ている。
管理人さんに挨拶をすませてから、集合写真を撮る。
ほとんどの学生はチェックアウトの後に鴨川シ―ワールドで遊んから帰ることになっている。私と法事で帰らなければならないHHさんはタクシーを呼んで安房鴨川駅までゆき、10時発のアクシー号で東京へ帰る。
アクシー号を待ちながらベンチから見た駅前の空。ヤシの木とイーオンが地方のさびれた観光都市の雰囲気を醸し出している。
バスは順調だった。
パスの中で、HHさんに「みんなと親しくなれましたか?」と聞いたところ、「はい。でも、私たち合宿に来る前から仲がいいですよ」とのことだった。そうですか。それはなによりです。
首都高でたまに渋滞に巻き込まれるのだが、今回はそれもなく、12時10分に東京駅八重洲南口駅前のバス亭に到着した。HHさんはバスが亀田湖に差し掛かったあたり(全行程の4分の1ほど)までは起きていたが、その後はずっと寝ていた。
私は東京駅から中央線に乗って、阿佐ヶ谷へ。卒業生のサワチさん(論系ゼミ7期生)が出演する芝居を観るためであるい。
阿佐ヶ谷駅北口のスターロードという飲み屋街を地図を頼りに進む。
開演は2時なので、その前にどこかで昼食をとりたいのだが、飲み屋街にカフェは見つからない。中華料理屋やラーメン屋はあるが、私はトーストとコーヒーがいい。
住宅街にちょっと入った辺りに「cafe Liberto」という明るいカフェを見つけて入る。
フレンチトーストとコーヒーを注文。おお、美しくて、美味しい。
コーヒーは「ブラックで飲んでいただくことをお勧めしています」と言われる。はい、スイーツと一緒のときはいつもそうしています。
劇場(ザムザ阿佐ヶ谷)には開演15分前に着いた。客はもうだいぶ入っていて、後方の高い場所にある席に案内される。合宿帰りで両手にバッグを持っている私は危うく階段を落ちそうになり、慌てたフタッフが「荷物お持ちします!」と言って持ってくれた。どうもすみません。
演目は『有末剛緊縛夜話第十七夜 銀河鉄道の夜ー露ー』(緊縛師:有末剛、演出:夢乃屋毒花、脚本:西瓜すいか)
サワチさんから今回の芝居の案内をもらったとき、「緊縛」と「芝居」のコラボ企画の芝居と説明されて、「ほう」と思った。「緊縛」といったら女性を縄で縛って天井から吊るすあれですよね。団鬼六のSM小説(およびそれを原作にした成人映画)でおなじみのやつです(私はポスターでしか知りませんが)。彼女曰く、「登場人物の心象表現として縄が使われる舞台です。とっつきにくいイメージがあるかもしれないのですが(私も観るまでそうでした)、美しく、とても面白いです」とのこと。
「緊縛」と『銀河鉄道の夜』を掛け合わせると一体どうなるのかと思ったが、『銀河鉄道の夜』そのものではなく、その童話を書いた宮沢賢治の実人生と「緊縛」を交錯させるという趣向の芝居だった。賢治については、生涯童貞だったという説もあれば、遊郭に遊んだこともあったという説もあり、同性愛者だったという説もある。浮世絵の収集に熱心だったとも言われ、芝居では春画を挿絵にした「大人のための絵本」を出版しようとしている賢治が描かれる。そいうことであれば、「緊縛」というSM的世界と賢治の世界は隣り合っているわけだ。触れてはならないと忌避しているものに、滅茶苦茶に触れてみたいという欲望が交錯するところに、「緊縛」という世界が成立しているように私には思える。
サワチさんが演じるのは高瀬露という女性。賢治の運営するサロンに出入りする小学校の教師で、賢治を慕っている。しかし、賢治は生涯妻を娶るつもりはないので、賢治は露とは一定の距離を置いて接していた。そのため露はしだいに賢治の悪口を吹聴して歩くことになる・・・と評伝では描かれているが、芝居では「大人の女」を描くために賢治が生涯でただ一人その肌に触れた女性として登場する。サワチさんは私が観たこれまでの芝居で、優等生からヤンキーな女性まで、ドМからドSの女性までを、幅広く演じてきた。今回も「大人の童話」の中の「大人の女」を凛としてそして妖艶に演じていた。
蒲田に戻ってきたのは5時頃、「phono kafe」に寄ってカキ氷を食べていこう。
メロンとレモンのカキ氷。ああ、生き返る。
夕食はオムライス、冷奴とオクラ、味噌汁。
我が家では冷蔵庫のラップご飯が一定量に達するとオムライスになる。
デザートはメロン。
1時半、就寝。