9時、起床。寝坊した。今日は句会(オンライン)があるのだが、いつものように午後からではなく、午前中にあるのである。
チーズトースト、目玉焼き、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。
10時からいろは句会(第64回)。主催の直美さんの都合なのだが、一種の朝活である。参加者は(画面左上から)恵美子さん、たかじ(私)、さやかさん、月白さんと渺さんご夫婦、直美さん、犬茶房さん。ほかに事前投句・選句で蚕豆さん、花さん。
今回の作品は24句。兼題(投句の3句中1句)は「百以上の数字を入れること」。
直美さんが24句を読み上げ、選考タイムに入る。各自、天(5点)一句、地(3点)二句、人(1点)二句。
私は以下の5句を選んだ。
天 風呂敷をまといて凛々し歳暮酒(せいぼざけ)
年末に、一升瓶を風呂敷で包み(独特の包み方がある)、手に提げて、知人宅を訪ねるのである。粋で、リズミカルで、格調の高い句である。初句会にふさわしい。
地 土大根(つちだいこ)わたしは清廉潔白です
畑から抜いて、水で洗う前の、まだ土のついたままの大根の台詞である。「色白美人です」ではなく「清廉潔白です」というところが、おかしくて、かわいい。
地 蕉門の目立たぬ人の冬囲い
芭蕉にはたくさんの弟子がいた。そのトップ10が蕉門十哲(しょうもんじってつ)と呼ばれる人たちである。そういうレベルの人ではないが、裕福な商人(スポンサー的存在)なのであろう、庭の木に冬囲い(雪で折れることを防ぐ)を始めているのである。文化的な豊かさを感じさせる句である。
人 夕千鳥飛び立つ彼方星生まる
「星光る」ではなく「星生まる」としたことで、古風でありながら、ファンタジックな美しい句になっている。「千」の字を入れた兼題句である。
人 冬麗の朝信号はみんな青
もし見回す信号機がみんな青であったら、それは信号システムの故障であり、危険な事態である(「みんな赤」の方がましだ)。しかし、この句はそういう意味ではなく、車を走らせながら、一度も赤信号で止まることなく、走り続けている冬の朝の句である。よい気分であろう。「ずっと青」が誤解なき表現だが、「みんな青」の方が面白い。
各自が自分の選句を披露し、集計が行われ、高得点の作品人に選句理由が語られた後、作者が明らかにされる。
16点 風呂敷をまといて凛々し歳暮酒 渺
今回の特選句は渺さんの作。恵美子さんと私が天を付けた。ただし、恵美子さんはお酒の入った箱を風呂敷で包んでいると解釈していた。う~ん、それはちょっと風情に欠ける。もちろん渺さんは一升瓶を風呂敷で包んで、手にぶらさげて、酒宴の場へと出かけたのである。
13点 土大根わたしは清廉潔白です 恵美子
渺さん、さやかさん、蚕豆さん、私の4人がそろって地を付けた。私の選句理由はすでに述べたが、「私は清廉潔白です」と自分で言っているところに滑稽味がある。なんだか法廷のシーンみたいだ。家庭裁判所(家裁)ならぬ野菜裁判所(野裁)か。
11点 六千の墓碑銘光る阪神忌 月白
犬茶房さんが天を付けた。阪神淡路大震災(1995年1月17日)からちょうど30年。神戸(芦屋)にお住いの月白さん(渺さんも)は被災され、その後、いまのお住まいに引っ越された。句は「神戸ルミナリエ」という追悼イベントの様子をモチーフにしたもので、兼題句になっている。
11点 寒紅を選び別れを告げに行く 月白
渺さんが天を付けた。寒紅とは寒中に作った紅のことで、とくに色鮮やかである。それを唇に塗って「別れ」を告げに行くというのは、告別式とかではなくて、愛人との別れであろう。坂本冬美か藤あや子が歌えばヒットするであろう。
11点 冬麗の朝信号はみんな青 月白
これも月白さんの句。さやかさんが天を付けた。句の意味は私が選句のときに解釈した通りのものである。それにしても月白さん、今回の三作品がいずれも「11点」での上位入選である。特選こそ渺さんに譲ったものの、もし「総合点」という考え方があれば、「33点」で断トツの総合優勝である。
9点 億年の孤独も楽し冬の旅 蚕豆
直美さんが天を付けた。昨年11月13日に92歳で亡くなった詩人、谷川俊太郎への追悼句で、最初の詩集『20億光年の孤独』をモチーフにしている。今回の兼題句の中で一番大きな数字である。
9点 夕千鳥飛び立つ彼方星生まる 渺
月白さんが天を付けた。夫婦ともに相手の句に天を付けるとは仲睦まじいことであるが、インサイダー疑惑については否定されていた(笑)。
7点 元日や烏の黒の艶の増す 恵美子
渺さん、月白さんの強力ペアに割り込んで恵美子さんも頑張っている。カラスという鳥はちょっと怖い印象があるが、それと元日という季語との取り合わせが面白い。「烏の黒」というダメ押し的な言い方も効いている(「白いカラスがいたら連れてこい」と夏井先生ならいうところだ)。
5点 階段を一段飛ばしで年の暮れ 犬茶房
花さんが天を付けた。階段一段飛ばしですか。元気でいいですなぁ。わたしゃ、「懐かしの一段飛ばし」ですよ。
5点 初風や500マイルを吹かれけり たかじ
私の句。1月7日に86歳で亡くなった「ピーター、ポール&マリー」のピーター・ヤーロウへの追悼句である。彼らがカヴァーしてヒットした『風に吹かれて』と『500マイルもはなれて』を詠みこんである。フォークソング世代の蚕豆さんから天をいただいた。
4点 赤ん坊は百年生きた喪正月 恵美子
「じいさんは百年生きた」と普通はするところを、「赤ん坊は百年生きた」と始点に着目したところが工夫。もちろん赤ん坊のまま百年生きたわけではない(それは怪奇的である)。実際、恵美子さんの祖父は百歳近くまで生きたそうで、兼題句にするために、百歳まで生きたことにして詠んだ句である。
4点 何ごともなく三日目の夕べかな たかじ
私の句。4人の方から揃って「人」をいただいた。直美さんから「人職人の句ですね」とお褒めの言葉をいただいた。派手さはないが、しみじみとした味わいがある句というのが「人」に選ばれやすいのである。去年は元日の夕方に能登の地震があり、二日目の夕方に羽田飛行場で飛行機の炎上事故があり、落ち着くいとまのない正月であったから、「何ごともない」ことのありがたさが身に染みた今年の正月だった。季語は「三日」。1月限定の季語である。
以下は時間の関係で入選句のみを示す。
3点 レノン忌にHelp!とひとり口遊む 蚕豆
3点 蕉門の目立たぬ人の冬囲い 蚕豆
2点 入試かな百のつむじを監督す 犬茶房
1点 二つ三つ秘密抱える月冴ゆる 花
1点 晴天の神様おわす去年今年 たかじ
1点 いよいよだ晦日にそなえ麦酒(むぎしゅ)かう 犬茶房
1点 福笑い無理をしてめっちゃ笑っている 直美
次回の句会は4月13日(日)、オンラインではなく、久しぶりの対面開催を予定している。みなさんとお会いできるのを楽しみにしています。
そして誰もいなくなった。
句会を終えて食事に出る。呑川沿いの道を池上まで歩く。「俳句」のあとは「ハイク」である。
本門寺の参道にある中道院。
ここの梅の木は地域で一番早く咲く。
すでに一輪、二輪、ほころんでいる。
本門寺の総門の前を通る。あとでお参りしよう。
「花くるま」は今年初めての訪問。
先週末から営業を始めている。
先客はいなかった。カウンター席に座り、たらこ、昆布(葉唐辛子)、いなり、すいとんを注文する。
私の後に女性の一人客が入って来て、たらこ、昆布(葉唐辛子)、すいとんを注文した。「あと、いなりを注文したら私と同じになります」と言おうかと思ったが、やめておいた。店主さんにこっそり「あちらの女性にいなりをさしあげて」と言うのも、もちろんやめておいた。
店主さんは毎朝、本門寺のあの階段を三往復されているという。それはすごいですね。
食後の腹ごなしにその階段を上る。約百段。「一段飛ばし」などもってのほか。
階段を上がると、山門。
山門は仁王門とも呼ばれる。
山門をくぐると正面に大堂。
節分の豆まきの舞台の準備が進んでいる。
大堂に参拝。
いまの時期、線香は束ではなく、一本の太い線香である。
大香炉に線香を置き、煙を体に浴びる。
五重塔を横に見て、
階段を下りる。階段は上りより下りの方が要注意である。膝への負荷が大きいのだ。
総門の前の「寶屋」で煎餅を購入。
参道の「藤乃屋」で葛餅を購入。長い間、テイクアウトのみで営業していたが、ようやくイートインも再開したようである。
帰りも歩いて帰る。往復で8000歩。
買ってきた葛餅を妻と食べながら、『プレバト』3時間スペシャル(録画)の俳句コーナー(冬麗戦)を観る。15人が選抜されて「大ピンチ」をお題にした俳句を詠み、成績上位3名が決勝ラウンドに進むというⅯ1‐グランプリのような方式。森口裕子(名人九段)、北尾渉(永世名人)、千原ジュニア(永世名人)が決勝ラウンドに進み、同じお題でもう一句。千原ジュニアが優勝した。
病窓は暗闇慣れぬ尿瓶凍つ 千原ジュニア
葛餅のあとはしょっぱい煎餅。
少し横になってから、昨日のブログにとりかかる。途中で夕食になる。
シシャモのアヒージョ、カニカマのサラダ、数の子の松前漬け、豆腐とワカメのスープ、ごはん。
食事をしながら『法廷のドラゴン』の初回(録画)を観る。将棋の奨励会三段まで行った女性が弁護士に転進して将棋で培った読みの力を駆使する物語。う~ん、どうも設定に無理があるような・・・。
昨日のブログを書き上げて、アップしたのは夜も9時半になっていた。
本日の句会ブログの下準備をしてから風呂に入る。
風呂から出て、今日の日記を付ける。
2時、就寝。