どかーん、シリーズ名718、型式名982と呼ばれている現行ボクスターさまは、ミッドに4気筒エンジン搭載でここまでやってこられました。が、やはりというか当然というか、ここへきて6気筒エンジンが搭載されたモデルが発表されますた。
ボクスターといっても別格あつかいのスパイダーに載せられたというのが今回のモデル追加ですが、なんとNAの4リットル搭載だというから、さまざまな面でニュースです!
ボクスターのスポーツカーとしてのパッケージは911よりも圧倒的に上なのはよく知られた事実ですが、ポルシェのラインナップ上、ボクスターのパフォーマンスは911をけして上回らない、というのが伝統です。というか社会のルール(爆)。
このお約束は、倍のプライスタッグを下げて売られる911の存続のために守られなければなりません。911をあの価格で販売するためにはけして侵してはならないパフォーマンスの壁がボクスターには生まれながらに立ちはだかっているのです。
ポルシェもショーバイなわけ。といって、諦めていた、というか、お互いにすみ分けていたわけですが、今回の4リットルスパイダーのリリースはそれらの呪縛から解き放たれた印象。
ボクスターのパッケージに4リットル400hp超のパワーユニットを積んでしまった時点で禁断の果実。ボクスターと911のあいだに長年あったヒエラルキーを自ら崩壊させた、というのがこのモデルの意味です。
もちろんスパイダーは並みのカレラよりは高額なわけですからパフォーマンスは上なのが当たり前だろう、というのはありますけど、それでも画期的。というかバーゲン(爆)。
スパイダーだからいいだろう、というのでもなく、911とボクスターは明確に別々の道を歩み始めた、というのが正確なところか。
ボクスターのリリースからは、はや23年が経過しておりますが、このように進化するとはまったく予測不可能でございました。
ふりかえりますと、そもそものボクスターの誕生にはユーノスロードスターの世界的な成功が深く影響していたと思います。ロードスターが爆発的に売れて、マーケットの存在が明らかになったからこそ、ポルシェのような弱小がオープン2シーターのリリースに踏み切れたのだ、というのが推察されます。
ボクスターの成り立ちでは、フロントセクションを911との共通としてコストを下げながらも、パフォーマンスは徐々に改善されたおかげで、モデルが継続できた、というのがデカイ。
ロードスターは、どちらかといえば地道に進化を遂げて、いまや4世代目。つい先日30thアニバーサリーモデルをリリースなさった、とのことでご同慶の至りですが、パワーに走ったりせずに、ブレないコンセプトには敬服するしかないです。
ものすごい不況下でも生産が継続されたのもリッパ。
これに対比して、ボクスターの進化もまた徹底的にコンサバ。が、コンセプトそのものは不変でもスパイダーのようなスペシャルをシリーズ化させたりしたのはポルシェの面目躍如!
ここへきて、さらに911の呪縛からも解き放たれたというのはボクスターにとってはまた新たな展開なわけです。
内燃機関が風前の灯火となったこの風潮の中で、今回の4リットルスパイダーのリリースは最後っ屁に近い画期的な発表であった、といって梅雨のさなか、喜んでいるところでございます(自分にはカンケーないが)。