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「フラッシュ・フォーワード」

2019年03月09日 | 日記・エッセイ・コラム
 今年も震災忌3.11が近づいてきた。原発事故に伴う帰還困難者が今なお4万人を超え、避難生活をしている。その中で、精神疾患を抱え、そこから身体の病気を併発し亡くなる「震災関連死」が福島では今でも増え続けてているという。

 「フラッシュ・フォーワード」とは、3月2日(土)夜に放映されたNHKのETV特集で取り上げられ、紹介された概念。ただし、まだ心理学会で認定されてはいないという。「フラッシュ・バック」というのは周知の概念で、要するに辛い過去が映像のように蘇ってくるPTSDの症状のひとつ。それに対して「フラッシュ・フォーワード」とは、自分の辛く深刻な未来が脳裏に浮かび上がってくる症状だという。それだけ、周囲に悲惨な死に方をした人が多く、それを実際に見ている経験から将来に希望を見いだせない、ということだろう。辛い現実だ。

 そんな中で、来年にはオリンピックが開催される。「復興五輪」などと銘打っている。が、東京からさほど遠くは無い福島で、将来に希望を見いだせない辛い現実の中で息をするのも苦しい人が数多くいるのに、スポーツ観戦に浮かれる気にはとてもなれない。
 折しも、今年になり水泳の10代の女子選手が白血病を発症して報道番組でも多く取り上げられた。子供のような選手を世界中に転戦させて飛行機で移動すれば、時差により生活は不規則になり、高高度の飛行で自然の放射線量は高く被曝の恐れもある。成長期にある10代なのだ。つまり、内臓も発達段階にある。真剣に選手の事を考えるのなら、過度な練習や、日程的に無理のある移動は規制すべきだ。一時的な成功を称賛するよりも、有意義な一生を送れるように配慮し、リスクを避けるように環境を整えるのが「大人」というものではないだろうか。

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