文化逍遥。

良質な文化の紹介。

飯綱寺(いづなでら)

2019年06月04日 | 旅行記
 5/31(木)に友人といった外房へのドライブでは、千葉県いすみ市岬町にある飯綱寺(いづなでら)という古刹に寄った。



 以下リーフレットによる。開山は西暦808年で、慈覚大師によるとされている。元もとは天台宗の寺で、当初は満蔵寺と号していた。戦国時代に、広まった飯綱信仰により太東岬に「飯綱大権現」を本尊に迎え「飯綱寺(いづなでら)」と改めた。さらに、江戸中期には上野の東叡山寛永寺の直轄となり、江戸からの参詣も多く、かなりな栄華をみたらしい。
 つまりは神仏融合の寺で、信仰というよりも「おまじない」あるいは手っ取り早い「ごりやく」を求めた参詣人で賑わい、ゆえに、財力もあった、ということだろう。下の写真に見える、すばらしい彫刻や天井絵などは豊かな財力を基に作られたもの、と考えられる。



 上に見えるリーフレットの写真は、本堂内を撮影したもので、左上に伊八の欄間彫刻、右上には「三代目堤 等琳」作『龍』。彫刻家の初代伊八、俗に「波の伊八」といわれるほど波の彫刻は巧みで葛飾北斎に多大な影響を与えたと言われている。リーフレットには、名は「武志伊八郎信由」で現在の鴨川市出身とある。

 信仰上は、やはりここ飯綱寺の欄間として展示されるのが良いのかもしれない。が、夜間は入口を閉めるのだろうが、これほどの文化財が外気の入る場所に設置されているのは長期的には劣化の心配がある。今はまだ昨日彫られたような迫力があるが、いずれ朽ち果ててゆく。今のうちに、湿度や光線をしっかりコントロール出来る展示方法に換えるべきではないか。そう感じざるを得なかった。実際、天井絵などはかなり色が退行している。ちなみに、拝観料は300円。寄付を募れば、やれそうな気もするが、どうだろう。

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