King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

『宇宙創成』サイモン・シン

2009年05月17日 00時41分13秒 | 読書
『宇宙創成』サイモン・シン


この本は、私に新たな概念を持たせてくれました。

それは長く悩んでいた宇宙像です。

知識として、我が宇宙は膨張していて、各銀河は
恐ろしい速度で遠ざかっているというのは今までの
読書経験から知っています。

しかし、地球から見て等速度にみんな遠ざかっている
のなら地球は果たして宇宙の中心にいるのか。
相対性理論から遠くの銀河ほど早く遠ざかっていると
なると宇宙とはどんな形をしているのか長らく謎でした。

この本は、その疑問にも答えてくれました。

またもうひとつ長く悩ませてきたのは、重力の問題です。
なぜ、地球は太陽の周りを回っているのか。

人はそんなの簡単だよ、引力というものがあり、周り
続けるんだよといいます。

しかし、そんな人にじゃあどうして月は地球に落ちてこないの
と聞いてもそんなのしらねえというだけです。

どうして、月は地球に落ちてこないのか説明できない人も
是非この本を読むといいでしょう。

そしてもっと重要なこととして、ガリレオの異端裁判をした
時と今もまったく変わっていなくて、ビックバンがより進んだ
宇宙論でその歩みを知るにつけ、実際には何も解っていない
ガリレオのそれでも地球は回っているといったときと何も変わって
いないという思いを強くしました。

人類は全て知っているように地球上で暮らしていますが、その実
肝心の所は解らないまま何もないところから突如爆発が起きて
、今の宇宙ができてさらにその爆発の後宇宙は膨張し続けて
いるといいます。

日本人は、無宗教で無神論な人が多いから、神のために死んで
しまったり、大統領に就任するのに聖書に誓ったりする人達を
みてもちょっと馬鹿にしてみてしまうように、宇宙の創生に
ついても神の力が必要なのを馬鹿にしてしまいます。

しかし、やはりビックバンという理論を得てもやはりなぜ宇宙が
できたかというものについては、科学とか理論とかの果てには
人知を超えたものが顔をだしてしまいます。

その神話ですら日本では、せいぜい日本の島ができた話までで
宇宙や星の話は出てきません。その点聖書などでは宇宙のことも
タイムスケジュールつきで語られているところはそのスケールと
ともに認めなくてはならないでしょう。

そのキリスト教と物理法則や宇宙感が衝突してきた歴史を知る
のにもこの本はもってこいです。

どのように人類が身の回りの世界から宇宙へ目を向け、謎を
解いてきたか、人類がどのように科学して宇宙を眺めて
来たのか知ることができます。その卓越した物語の整理と
語り口は『暗号解読』でも実に見事でしたが、今回も井戸を覗いて
太陽までの距離を測ることを見出したところから、ビックバンまで
一気に読めてしまいます。

最後は、ビックバン理論が世の主流となり、この先もあと
50年は取って代わられることがないだろうという予想を
掲げますが終わり方は駆け足で終わってしまったように
思います。

そのそしりは自分でも感じたのか、『ビックバン宇宙論』と
いう本を書いています。
コメント
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