このまほろ駅前狂騒曲が一番面白く作家の実力と真骨頂を
観た思いです。
ですが気になることは最後のシーンで反社会的勢力も肯定し
今後多田便利軒と付き合いが深まりそうなハングレとの
関係が深くなりそうな予感を抱かせるところなどはどうかな
という感じです。
もともとこの架空の町は容易にあそこだと感じられる書かれ方
をしていて、それをまほろという架空の町として閉じ込めたような
現在からすれば少し過去のことであり、便利屋というありそうな
展開も安易で誰でも可能な自営開業法という手段にもろもろを
込めやすかったという簡単な舞台装置にも思えます。
秩父でも便利屋の広告が過去何度も折り込みに入り、その後
いつのまにか無くなっていたという経過を見ていると職態として
継続性には疑問があり、事業性としての将来も明るくはない
のです。
しかしこんなことがあってほしいと誰もが思ってしまう登場人物の
配置と展開はやはり作家の力でしょう。
そんな人生は簡単ではないよというのを知っている大人が
でもそうなってくれればというのが感じたい人にはおすすめ
ということになります。