過日の香港からのお客様のコメントに音楽と同じものを珈琲に感じたという
エピソードに感銘され試飲者は私も何か気の利いたコメントをせねばという肩に力の入った
方が増えてしまいました。
そんな試験ではないのですからと和みの増す話題を出して場を緩めようとするも昨今
こういうときに合う話題が乏しいぎすぎすしたことが多いのが頭を悩ますところです。
マスコミでは盛んに春節で訪れる中華民により賑わい変わった事態を追っていますが、
ひところ時代の寵児のように次々破綻したリゾートやスキー場や旅館など買っては再生
させる企業が注目されその成功に明るいものを見る思いでした。
スキー場ではマックアースという企業が次々にスキー場を再生させてくれていました。
ところが、最近聞くのはそういう再生のため買収されるもまた次に売り渡したという話が
多くなっているのです。
先日の福島で聞く話も星野リゾートから次の会社に売られたり、その売られる先も金融資本の
ように投資先としてポンポンと売り買いされる時代になって気になるのはその今までのテイストは
どうなるのかという事です。
福島の猪苗代スキー場からみた猪苗代湖をみて久しぶりに野尻湖を雪の間から眺めてみたいと
いう欲求が増し、昨年は行かなかった野尻湖周辺へ行く計画をしました。ちなみにミネロを買収し
猪苗代スキー場として一体化してくれたのもマックアースです。
ところが、斑尾を買収して林間などの新コースを開発し、アドベンチャーアイルとしてバックカントリー
のようなコースを開発して多くのパウダー地域を滑走可能にしたりと安ツアーで群れるボーダーのスキー
場というイメージを払拭してくれたのもマックアースですが、それが今季からは中華資本へ移譲されたと
いいます。
ホームページの様子からはまるで解らないそういう事情も消費者やユーザーの思いとは裏腹に
世の中移り変わるさまはもはや資本主義の幻影と強欲ばかりを浮き彫りにするかのようです。
今朝飲んだいつものブラジルはこんな昨日されたカウンター越しの会話などを思い浮かべながら
二月に入りはっきりとかわった寒さの質や空気の感じを思い出し、二つの味の要素を強く感じる
のでした。ブラジルの質感の増す冬の寒さの中、スタンダードのストレートでもこのフル―ティー
さは際立つのです。
こういう当たり前に感じる味の特長をひとこと漏らすときの表情の変化は皆同じだというこちらの
感想により自分の思いを一生懸命言い募る方が多いのですが、今珈琲を飲んで気が付いたとか
思い出したという話の方が面白かったり、いつも繰り返される話より新鮮だったりします。
私は今、初めて見た猪苗代湖の風景のつまらなさを思った時になぜ野尻湖は神秘的だったり、
自己存在の確認につながる印象があるのかとずっと考えていました。
するとぽつぽつと思い浮かぶことやついでに訪れたことで知ったことなどが気にかかるのでした。