昨年まで唯一国民の休日がない月の六月が始まりました。
この月はそんな行事的にも人気もない月のようですが、私には
最も重要月です。例年この梅雨の季節に各町内会では衛生という
行事を行い、町中で畳を上げて大掃除をしたものです。
わが町内でも床下消毒や庭木の消毒という業務がありました。
もっと郊外の町では今でも町内一斉清掃は行われていて、道普請とか
川攫いや側溝の清掃などを行っています。なにかと行政に頼り、人任せで
町内の助け合いとか、人つきあいの希薄な世の中になり、町内で道を直すとか
除草や清掃をするという事もなくなりました。側溝の蓋をかつてのどぶさらいを
するため上げらるという事もなくなりました。
昨年生まれて初めて秩父にも茅の輪くぐりがあることを知り敢行しましたが、
この梅雨の季節だからこそ汚れを払い清潔を保つという事が生活の安全に
繋がると昔の人はこの季節に町中できれいにしたことを思うと厳かにこの月を
迎えその気持ちに沿いたいという感じになります。
そして、例年なら雨模様のぐずつき湿度の高い日になるはずが、今年は結構
晴れる日が多く、五月は記録的な高温になるという流れがあり、梅雨の晴れ間に見られる
例年の光芒をテーマにした光のイディアを作る気になれませんでした。
実は、ここ数カ月はしばらく使っていなかった豆を使用してきた流れがあり、
この流れを保ちたいというのもあり、するとこれはその流れの終着点的なものが
ぼんやりと浮かんできました。
それは珈琲の根源的な味のものになるという事やかつてこの味を愛した人が
いたことや諸々のイメージと思いを込めて収束させた味に仕上げました。
深くしっとりと落ち着くこの一年の中間点にふさわしいものとなりました。
名前は光のイディアを使うにはイメージが違うため『早夏』としました。
五月に記録的な暑さを示し、そしてまだ梅雨の走りもないという今年には
似合いのブレンドかなと思います。