金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

52:干刈あがた 『野菊とバイエル』

2009-11-06 23:43:32 | 09 本の感想
干刈あがた『野菊とバイエル』(集英社文庫)
★★★★☆

戦後間もない昭和20年代の半ば、小学3年生になったミツヱは
町が市になったのに伴い、新しい小学校に通うことになった。
家に下宿することになった音楽の男の先生からピアノを習い、
若い男の先生と母との間に流れる空気に気を揉み、
別の小学校からやってきた隣の席の女の子との距離に
もどかしさを感じる。
子どもの日常と、時折垣間見える大人の世界を
少女の視点で描いた物語。

*****************************************

Kライブラリーより拝借。
これ、もう絶版なんだなあ。

時代背景としては、わたしの生まれた年の30年も前なのだけど、
描いているのが普遍的な子どもの世界なので、
どこかで知っていたような、なつかしさを感じる。
始業式に若くてきれいな先生を見て、
「あの先生が自分の担任だったらいいなあ」
と思ったことあるなあ。
時代背景のせいか、舞台設定のせいか、
「枠」の中に納まった現代の少年少女の物語にくらべると、
描かれた世界に広がりが感じられる。
たぶん、時代の空気がそういうものだったのね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

51:村上龍 『半島を出よ〈下〉』

2009-11-06 11:46:47 | 09 本の感想
村上龍『半島を出よ〈下〉』(幻冬舎文庫)
★★★★☆

日本政府は福岡を封鎖、反乱軍の占領下となった福岡では
日本政府や中央に対する反感を強めていた。
市民を巻き添えにした大阪府警のSATの急襲により
反感はますます強められることになる。
反乱軍によって行われる逮捕や拷問、郡内の粛清を目にした
被占領者たちが苦悩する一方で、
イシハラグループの若者たちは
ある計画を実行に移そうとしていた。

************************************

「話進まないなあ~!!」というところは
飛ばし読みしていたのだけど、
肩透かしを食らわされることなく楽しめました。

チョ・スリョンとキム・ヒャンモクの回想シーンでは
涙が……
犯罪者であるイシハラグループの連中には
ちっとも感情移入できないので
最後の盛り上がりは半減といった感じだけど、
読み終えた!見届けた!という達成感は味わえる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする