金木犀、薔薇、白木蓮

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111~117:山岸凉子『日出処の天子〈1〉~〈7〉』

2024-06-03 17:20:44 | 24 本の感想
山岸凉子『日出処の天子(完全版)1~7』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
ときは飛鳥時代前夜、権勢を誇る蘇我氏の後継者たる毛人は14歳。
父に連れられて出仕した朝廷で、10歳の少年、厩戸王子と出会う。
毛人と厩戸、ふたりの激動の物語が、いま始まる。
数多くの貴重なカラー原稿、トビライラスト、予告カットなどを完全再現。
日本の漫画界を代表する山岸凉子の最高傑作「完全版」!
 
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長いこと積読していた漫画。
「1巻の厩戸王子の顔が気持ち悪い」
というだけで幾度となく投げ出し、
読み進められなかったのだった。
 
誰も彼もがままならない、報われない愛の物語だったなあ。
誰かに恋すること、誰かを愛することの業を、
これまでかというくらいに描いていた。
連載開始した1980年当時、わたしは幼児だったので、
当時これが世の中にどう受け止められたのかわからないのだけども、
きっと聖人君子のような「聖徳太子」像は根強かっただろうから、
かなり衝撃的だったんじゃないかと思う。
 
ラストは「ここで終わるの??」とあっけにとられたけれども、
なぜ蘇我蝦夷が山背大兄王を攻め滅ぼすことになるのか、
という「その先」まできちんと導線が引かれていた。
 
王子は超常的な力を持っているのに、
恋のライバルを遠ざけるために変装したり潜入したりして
せっせと物理的な小細工をしているのが、なんとなく可笑しい。
 
続編たる『馬屋古女王』、事情を知らない人々にとっては
刀自古郎女がただのビッチになってしまっていて、とんだ風評被害。
そして、ここまで近親婚を繰り返していたら、そりゃあ、
遺伝的な障害はいろいろ生じるさ……。
 
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